サイボウズの歴史から学ぶ! 世界展開に必要なビジネスモデルの条件

グループウェア「サイボウズ Office」は、リリースから20年以上経った現在もサイボウズ社の主力製品だ。

今や活躍の場を世界にも広げる同社だが、その歴史を見れば決して順風満帆ではなかったことがうかがえる。

そこで、サイボウズのビジネスモデルの変遷から、世界展開に必要な条件をひも解いていく。

1. サイボウズの歩みから学べること

サイボウズ

6万社以上で導入されている「サイボウズ Office」は、日本ではグループウェアの代表格のような存在だ。実際に業務で利用した経験があるという人もいるだろう。

しかし、そのイメージとは裏腹に、サイボウズ社は成功と失敗を繰り返してきた企業だ。

その歩みを振り返ってみれば、苦労しながらも「サブスクリプションへの移行」と「クラウド化」というICT業界の世界的な流れに対応してきたことがわかる。

この事実を「結果論だ」と言って片付けるのは簡単だ。

しかし、同社の現在の成功は、常により良いビジネスモデルを求め続けてきたからこその結果でもある。
これから新しいビジネスを始める際には、参考にできることも多いはずだ。

2. 顧客は大満足!しかしサイボウズの初期バージョンはもうからなかった

1997年にリリースされた「サイボウズ Office」の初期バージョンは、買い切り型のソフトウェアとして提供され、販売経路はインターネットからのダウンロードのみだった。

1度購入すれば小さな修正や機能追加、セキュリティ対応等を含むバージョンアップ版も無償で入手することができ、サポートも無償提供された。

中小企業で使用する際のニーズを捉えたこのグループウェアは、多くの企業で受け入れられることになり顧客満足度も非常に高かった。

その結果、サイボウズ社は設立からわずか3年後の2000年に上場を果たしている。

しかし、上場からまもなくしてサイボウズ社は窮地に陥る。

「サイボウズ Office」が徐々に売れなくなっていったのだ。
新バージョンを出しても売り上げは思うように伸びない。

顧客は、1度お金を払うだけで使い続けられるこのソフトウェアに満足し感謝の念すら抱いていたが、それゆえに新バージョンを購入することはなかったのだ。

こうして、サイボウズの最初のビジネスモデルは早くも限界を迎えることになる。

ソフトウェアを販売した後も継続的に利益を得る方法がなければ、新バージョンを提供していくことさえできなくなってしまうのだ。

3. サイボウズのサブスクリプション化は当初受け入れられなかった

たとえ買い切り型のソフトウェアでも、サポートやメンテナンスにはコストがかかる。
サービスを改善していくためには継続的な利益が必要だ。

そこで、サイボウズ社は2001年に年間保守契約の導入を開始することになった。

今でいう「サブスクリプション」である。

ソフトウェアのさまざまな提供方法が確立された現在では当たり前ともいえる手法のひとつだが、当時はまだパッケージソフトウェアが主流の時代だ。

契約を取るのが決して甘くなかったことは想像にかたくない。

また、すでに無償でサイボウズを利用してきた顧客にとって、新しい保守契約のメリットは小さかった。

ここで念を押しておきたいのは、「保守契約を導入する」というビジネスモデルそのものが誤っていた訳ではないという点だ。

ソフトウェアの新バージョン開発やサポートに費用がかかるというのは、本来ならば受け入れられるはずの理屈だろう。

しかしサイボウズのケースでは、これまで無償で提供されていたものが有料化したのだ。顧客にとって受け入れがたいというのもまた道理といえる。

実際、この時期の売り上げの回復効果は小さなもので、保守契約が受け入れられるまでには数年の期間を要することになった。

4. 大企業にリーチし売り上げを伸ばすも米国では文化の壁に阻まれる

「サイボウズ Office」は中小企業や企業内の1部門では受け入れられたが、サブスクリプションへの移行は簡単ではなかった。

では、大企業ならどうか。

規模の大きな組織全体にグループウェアを導入するとなれば、リスクを避けるためにも保守契約は歓迎されるだろう。

しかしこの時点で、サイボウズのグループウェアは大企業には対応していなかった。

さらに、インターネットからのダウンロード販売という方法も、大企業へのリーチを困難にしていた。

2002年、サイボウズ社は数万人規模の組織でも利用可能な新しいグループウェア「Garoon(ガルーン)」をリリースする。

また、既に大企業と取引のある販売パートナーと提携することで販路も確保していった。

このビジネスモデルは成功し、実際に「Garoon」は大企業へリーチした。

保守契約も歓迎され、順調に売り上げを伸ばしていくことになったのだ。

もし「サイボウズ Office」の段階でサプスクリプションはうまくいかないと切り捨てていたら、この成功はなかっただろう。

これと同時期に、サイボウズ社は海外進出にも挑戦している。

同社のビジョンは「チームワークあふれる社会を創る」ことであり、このビジョンに基づいて「世界で一番使われるグループウェアになる」という目標を掲げている。

これは、海外進出は避けて通れないということでもあったのだ。

この目標に向かって、サイボウズ社は2001年にグループウェアパッケージの米国での販売に乗り出すことになる。

しかし、そこには思わぬ文化の壁があった。

米国では各自のスケジュール情報は「プライベート」であり、グループで共有するという発想がなかったのだ。

かくして2005年、サイボウズ社は米国からの撤退を余儀なくされる。

挑戦は失敗に終わったが、ただ負けて帰ってきた訳ではない。

「文化に依存した製品を作っても世界では戦えない」という教訓を得たのだ。

後に、この教訓が新製品に活かされることになる。

5. ついにクラウド化!新サービスのリリースで世界にも受け入れられる

世界のICTの流れがクラウドへと向かっていく中で、サイボウズ社はクラウドへの転換がビジネスを成長させると確信していた。

そのため、これまでのパッケージ販売からクラウド型サービスへとシフトしていくために、時間をかけて入念に準備を行った。

そして2010年、無償で利用できるグループウェアのwebサービスとして「サイボウズ Live」がスタートする。

5-1. フリーミアムモデルを採用した「サイボウズLive」

このサービスは、フリーミアムモデルを採用したものだ。

サービス開始当初は既存製品の売り上げへの悪影響を懸念する声もあったが、蓋を開けてみれば家族や学生サークルといった新しいユーザー層にリーチする結果となった。

ブランドとしての認知も広がり、既存製品との相乗効果も生み出した。
なお、「サイボウズ Live」はその役目を終え、2019年4月にサービス終了予定となっている。

5-2. 新しいクラウド型サービス「kintone(キントーン)」

「サイボウズ Office」と「Garoon」がクラウド化を果たしたのは2011年のことだ。

しかし、この年のより注目すべき出来事は、新しいクラウド型サービス「kintone(キントーン)」の登場だろう。

「kintone」もグループウェアだが、豊富なコミュニケーション機能を備えていることが特徴だ。

また、アプリによる高度なカスタマイズ性能により、企業ごとに異なるワークフローを簡単にシステム化できる。

単にデータを処理するためのツールではなく、そのためのプロセスとコミュニケーションをまとめて支援することが可能になっているのだ。

サイボウズ社によると、「kintone」は単なるPaaS製品ではなく、「チームワーク・プラットフォーム」と呼ぶべきものだという。

「kintone」は、先の米国進出失敗で得た教訓に基づいて「文化に依存しないプラットフォーム」を実現したものでもある。

5-3. 世界に認められたサイボウズ

いわば、今度こそ世界で戦えるサービスだ。かくして2014年、サイボウズ社は米国と中国を足がかりに世界展開への再挑戦を開始し、確実に成果を得ている。

クラウド事業そのものも順調に伸びており、2016年以降の決算では売り上げの50%以上がクラウドによるものだ。

今やサイボウズ社はクラウドサービス企業として、またグローバルにヒットしている「kintone」の開発元としても、目が離せない存在となった。

「世界で一番使われるグループウェアになる」というサイボウズ社の目標は今も変わっていない。

その達成に向けて、米国における「kintone」の運用基盤にはAWS(Amazon Web Services)の採用を決めた。

好調を維持している日本国内のビジネスに影響を与えることなく、米国市場向けのアップデートをよりスピーディーにするための「攻め」の姿勢だ。今後は米国を中心として、さらなる世界展開を加速させていく。

6. サイボウズが目指す未来とは

サイボウズ社の成功と失敗の歩みは「売り切りからサブスクリプションへ」、「パッケージからクラウドへ」という流れを体現している。

これは同社がビジネスモデルについて考え抜いてきたからこその結果だろう。

「チームワークあふれる社会を創る」というビジョンに向けて進化するサイボウズは、今後も注目の企業だ。

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