indeedは世界最大規模の求人サービスだ。日本でも2012年にリクルートが株式を買収して完全子会社となって以降、その知名度はどんどん高まり、急激な成長を遂げている。
なぜ、ここまでの成功を収めることができたのか。その理由を検証しつつ、起業を考えている人のビジネスモデルに応用できる点について解説をしていく。
目次
1. 求人特化の検索エンジン! indeedのサービス内容
求人情報を探す際にインターネットを利用する人は非常に多い。むしろ、インターネットは必要不可欠といった方が正確かもしれない。
確かに、それを利用すれば、家にいながら膨大な数の求人情報を探すことが可能である。だが、そのことが逆に、新たな問題を引き起こすようになった。
1-1. 求人サイトの問題点
あまりにも数が多すぎて目的の求人になかなかたどり着くことができないのだ。
たとえば、従来の方法であれば、求人サイトを探すことから始めることになる。まず、求人サイトにアクセスし、その中にある求人情報をチェックする。
そして、自分の条件に合った求人情報がなければ、別の求人サイトにアクセスするといった作業を繰り返さなければならない。
しかし、これは非常に無駄の多い方法だといえるだろう。求人サイトを探してから求人情報を探すという行為が二度手間であり、複数のサイトで同じ求人情報を何度も目にすることにもなりかねないからだ。
1-2. indeedが解決した求人サイトのあらたな形
それに対して、indeedは希望する職種や勤務地を入力すれば、条件にマッチした求人をまとめて表示してくれる。しかも、求人サイトに掲載しているような求人情報だけでなく、企業のホームページに直接掲載されている求人募集も表示することが可能なのだ。
以上のことから分かる通り、indeedは求人サイトではない。求人に特化した検索エンジンというのがより正確なところだろう。
つまり、検索エンジンと同じようにインターネットの内のwebサイトを巡回し、求人情報をピックアップして表示できるようにしたのがindeedだ。その結果、100万を優に超える求人情報を一括で検索できるようになっているのだ。
2. indeedの成功の理由1:ユーザーに対する顧客目線でのサービス
indeedがビジネスとして大きな成功を収めた背景にはいくつかのポイントがある。
まず、重要なのが徹底的にユーザー視点でサービスが構築されている点だ。
2-1. 会員登録という手間がない
たとえば、ネット上で何らかのサービスを受けようと思えば、会員登録しなければならないケースが多い。
無料でならば会員登録をするぐらいは特に問題ではないと思うかもしれないが、ユーザー側からすると新しいサービスを受けるたびに会員登録をしなければならないのは意外にストレスになるものだ。
受けるサービスが一つだけなら、確かに大した手間ではないだろう。しかし、ネット上にはさまざまなサービスがあり、多くの人は複数のサービスを利用している。もし、そのたびごとに会員登録をしなくてはならないとすればかなり面倒に感じてしまうはずだ。
2-2. 一ヶ所ですべてを済ませられる利便性の高さ
一方、indeedなら会員登録などは一切不要で即座にサービスを利用することができる。
しかも、indeedを使えば、100万を超える求人情報にアクセスできるため、他の求人サイトを利用する必要性が薄くなるだろう。1ヵ所ですべてを済ますことができるので利便性の高さは圧倒的だ。
インターネットという便利な道具を世界中の人々が手に入れて以降、サービスにおける顧客の発言力はどんどん大きなものになっている。
その結果、企業の都合ではなく、顧客の利益を第一に考えているサービスを選ぶようになってきたのだ。そういう意味で、indeedのそれはまさに顧客に選ばれやすいサービスだといえるだろう。
3. indeedの成功の理由2:企業に対しても顧客目線でのサービスを実施
indeedはユーザーに対して無料サービスを行っている。それではどこから利益を得ているのだろうか?
3-1. indeedの収入源
indeedは、求人情報を発信する企業からの掲載料から利益を得ている。
無料で掲載される求人情報の他に、有料掲載枠があり、一定のお金を払うことで求人広告が画面の上部に貼られることになる。
広告の場所というのはその効果に多大な影響を与えるため、お金を払ってでも早く人材を集めたいという企業は有料枠に申し込み、それがindeedの利益となるというわけだ。
ここでポイントとなるのが求人募集を出す企業もindeedにとっては顧客であるという点だ。そのため、indeedはユーザーの場合と同じように徹底して顧客目線でのサービスを実施している。
3-2. 顧客満足度を追求した料金体系
たとえば、料金体系だ。
求人広告を掲載する場合、1日いくらといった具合に期間ごとに掲載料が発生するケースが多い。しかし、それでは効果がなかった場合は払った料金は全くの無駄になってしまう。そこで、indeedではクリック課金制を採用している。
ユーザーが求人広告に興味を覚えてクリックすれば、1クリック何円といった具合に、料金が発生するというシステムだ。これならば、料金と効果が比例の関係にあるため、費用を無駄にしてしまったという顧客側からの不満を最小限に抑えることができるというわけだ。
ただ、この方法でも予想以上のクリックがあった場合、無駄に費用を浪費してしまうおそれがある。極端な例を挙げると、雇用するのは数人だから1000程度のクリックがあれば十分だったのに、クリック数が10万を超えて高額な掲載料が発生してしまったなどといったケースだ。
そうした事態を防ぐために、indeedではチャージ制を導入している。
3カ月に30万円といった具合に、最初に料金を設定しておき、その料金分に相当するクリック数を達成できれば自動的に広告掲載そのものが終了するようになっている。これならば無駄にコストを消費することなく、最小限の費用で目標を達成することができるというわけだ。
以上のように、求人広告を出す企業に対してもいかにすれば、サービスを利用しやすいかといった事柄について考え抜かれている点がindeedの強みだといえるだろう。
4. indeedの成功の理由3:ネット上のビジネスでは欠かせないSEO対策
いくら時流に合ったビジネスモデルを構築し、実際のサービス内容が素晴らしいものだったとしてもインターネット上でビジネスを展開する以上、SEO対策をしっかり行っていなければ大きな成功を望むことはできないだろう。
それを怠れば検索エンジンで上位に表示されることがなくなり、ユーザーがそのサービスを行っているページまでたどり着くことがなかなかできなくなるからだ。
その点、indeedはSEOにも強いという特性がある。
本章ではその特性について記述していこうと思う。
4-1. nofollowタグが極端に多い
情報量が圧倒的に多いため、必然的にSEOに強いという傾向は確かにあるだろう。ただ、決してそれだけではなく、indeedはさまざまな工夫をしてSEO効果の底上げを行っている。
たとえば、その一つとして挙げられるのがnofollowタグだ。
一般的にネット上のページはリンクを多く貼られているほど検索エンジン側から高評価を得て表示順位が上になる傾向がある。しかし、低品質のページとリンクを貼られた場合は逆効果になりかねない。
そこで、nofollowタグを使用すれば低品質のサイトへのリンクを評価対象から外すことができるのだが、indeedはこのnofollowタグが極端に多いのだ。
4-2. 大手企業の広告プログラムのリンクが多い
また、大手企業の広告プログラムのリンクが数多く存在し、それによる顧客の流入がかなりあると推測できる。
ただし、これらを真似すれば誰でも自分のサイトにアクセスを集められるというわけではない。
なぜなら、検索エンジン側のシステムは常に改良が繰り返されており、去年まで有効だったSEO対策が現在では逆効果になるといったことも少なくないからだ。
大切なのは成功を収めているサイトはSEO対策にも力を入れており、常に工夫を重ねているという事実を知っておくことだ。
具体的にどのような工夫をしているかを研究することで、そこから得られるものも多いだろう。
5. これからのビジネスで重要なのはお客様本位の姿勢とSEO対策!
indeedのビジネスモデルから学べることは、まず、お客様本位にならなければならないという点だ。
ビジネスを立ち上げる際にはどうしてもどのようにすれば効率よく儲けることができるかを考えがちだが、それでは顧客を集めるのは困難だろう。なぜなら、企業の都合を優先したサービスは、しばしば顧客に不便を感じさせることにつながるからだ。
インターネットの発達によって、多くのサービスの中からより便利なものを選べるようになった現代では、それをすると顧客に逃げられてしまう可能性が高くなってしまう。
そこで、ビジネスの成功の可能性を高めるには顧客が何を望んでいるか、また、顧客にとってより便利なサービスとはどのようなものかを徹底的に考える必要がある。その上で、それをビジネスとして成立させるためのビジネスモデルを構築していくのだ。
さらに、現代のビジネスにおいてインターネットは欠かせない存在となっている。したがって、どのようなビジネスを立ち上げるにせよ、有効なSEO対策を行って自社サイトにユーザーを集めていくことは極めて重要だといえるだろう。
6. indeedの成功例を参考にしてビジネスモデルを構築しよう
indeedは短期間で急成長を遂げた企業だが、その土台には常に顧客目線のサービスがあった。また、SEO対策の取り組みも見逃せないところだ。
これから起業を検討している人にとってもこの2点は重要なポイントになるだろう。
まずはindeedの成功例を参考にしながら自分なりのビジネスモデルを構築し、成功への足がかりとしていこう。