動画配信サイトyoutubeでは多くの配信者が独自の動画を配信し、その広告ビュー数によって収益を得ている。
そんな中にVtuberという通常の動画配信とは違う異色の形態があることをご存じだろうか。
今回はVtuberとはなんなのか、その生まれや動画配信の中身を解説するとともにそこに秘められたマネタイズの可能性、メリット・デメリットを解説していく。
目次
1. 「Vtuber」って何?
Vtuberとは、ヴァーチャルユーチューバー(Virtual YouTuber)の略称。
youtubeで動画を配信しているユーザーの中でも実人物ではなく仮想キャラクターを使用しているyoutuberを指す名称である。
3DCGなどで作成したキャラクターのアバターを、実際の配信者がモーションチャプターなどを用いて動きをつけ、声を当てて配信する手法が多く使われている。
初めてVtuberを名乗った人物は「キズナアイ」というキャラクターで、2016年12月から配信を開始した。
2017年の2月頃に海外のメディアに紹介されたことで認知度が広まり、同年12月にはチャンネル登録者数100万人を突破し、今ではVtuberの先駆け的存在として知られている。
2. そもそもYoutubeでどう収益化するのか
Vtuberを始めとして多くの配信者は、youtubeでマネタイズを図るために動画配信を行っている。では、youtubeの配信はどのように収益化を生み出しているのだろうか。
まず、もっとも一般的なマネタイズの手法は動画に広告をつけ、その再生数に応じた報酬を受け取る形式だ。
ただし、広告をつけるためには「収益化を有効にする」ためのパートナープログラムに合格しなければならない。
このプログラムの審査を受けるには、チャンネル登録者数1000人以上、総再生時間4000時間という要件のほかに、公序良俗を乱す動画でない、コンテンツの重複がない、などの条件を満たしている必要がある。
審査に通ると動画の一覧にドルマークが表示され、動画再生中に流れる広告のビュー数によって収益を受け取れるというつくりだ。
今ではyoutubeの収益だけで生計を立てるプロyoutuberが存在するなど、youtuneの収益化には大きな可能性を感じさせられる。
3. Vtuberでマネタイズを行うメリット
youtubeの配信者は多くが、実際に人間が出演する形の動画を配信している。録音機材や編集機材があれば動画が作成できるもっとも手軽な手法だからだろう。ではそんな中、あえて仮想キャラクターを使用したVtuberで動画配信を行いマネタイズ化するにはどのようなメリットがあるのだろうか。
3-1. 自社ブランドに合わせてカスタマイズ可能
Vtuberで使用するキャラクターはフリーで提供されている既存のアバターを流用することもできるが、自社で0から作り出すことも可能である。衣装、容姿、人種などが自由に設定できるだけではなく、動物など人外のキャラクターを動かすことも可能なため、自社キャラクターを起用するなど自由度の高い動画を作り出せるのだ。
自社イメージに合った人材を起用するのはコスト・時間の面から言って難しい場合でもVtuberならすぐにイメージに合ったキャラクターで配信を開始できるだろう。
3-2. スキャンダル・トラブルが発生しない
Vtuberは仮想キャラクターを前面に据えて配信を行うため、実在の人物を起用した時に起こりうる異性関係や倫理道徳関係のトラブルが発生しにくいのもメリットの一つだ。
起用した人物がSNSでトラブルに巻き込まれたり、異性関係のスキャンダルを告発されたりすると、企業によってはブランドイメージを損なう恐れがあるだろう。
Vtuberならば、そういった「炎上」に繋がるリスクを抑えやすい。
ただし、Vtuberを動かしている配信者、インターネット上で「中の人」などと呼ばれる人物にはコンプライアンス研修を行い、トラブルに巻き込まれないような指導が必要となる。
3-3. できる企画の幅が広がる
Vtuberは実在の人物に比べると比較的できることの幅が広い。
スケジュールの調整をする必要もないので、実現しにくいコンテンツや予定調整が必要なコンテンツも配信しやすいという点も評価できるポイントの一つだ。
Vtuber配信では、キャラクター以外の背景やシチュエーションも2D、3Dで生み出せるので世界観を統一した独特な配信を提供することもできるだろう。
4. Vtuberでマネタイズを行うデメリット
自由度が高く配信しやすいVtuberだが、使用するには押さえておかなければならないデメリットも存在する。
これらを把握しておかなければ、いざというときに大きな課題となってマネタイズに立ちふさがる恐れもあるので、あらかじめ対策を考慮しておこう。
4-1. 現実空間でのコンテンツが作れない
Vtuberは映像の中でしか活動できないというデメリットがある。
チャンネルの規模が拡大してイベント開催などでさらなるマネタイズを目指す場合、Vtuber自体がイベントに参加できない、実況中継ができない、などのリスクも加味しなければならない。
イベント開催の計画がある場合には、モニターを使用するなどの対策を練ってVtuberとファンやユーザーが触れ合える仕組みを構築しておこう。
4-2. 制作コストのバランスが難しい
2Dや3Dで作る動画はクオリティとコストが直結しがちだ。コストをかければクオリティが高く高品質なものが出来上がるが、ビュー数に見合っていなければマネタイズどころか赤字になってしまうだろう。
しかし、クオリティが低い動画を配信していても登録者や再生数が増えず、マネタイズを始められないままになってしまうかもしれない。
Vtuber動画を作成する際には、動画にかけるコストを組み立て無理のない範囲でクオリティとのバランスを取らなければならないだろう。
5. Vtuberでのマネタイズ成功事例を紹介
企業の中では、実際にVtuberでのマネタイズに成功した事例が数多く存在する。
特に注目したいのは配信収益以外の成功事例だ。
それらの企業がVtuber市場のどこに注目して収益を得ているのか、事例を紹介しよう。
5-1. Vtuberマネジメント会社のマネタイズ事例
Vtuberでのマネタイズ成功の事例に「マネジメント事務所」というビジネスモデルがある。
これは、個人で活動するVtuberに対して制作サポートやメディア対応、グッズ作成など認知度を高め収益を上げるためのサポートをする企業事例だ。
人気Vtuberを所属させ、それぞれが収益を生み出すことで、事務所にも大きな利益がもたらされるという仕組みである。
現在では人気Vtuberミライアカリが所属する「エンタム」やアイドル系のVtuberに特化した「カガヤキスターズ」などニーズに合った多数の事務所がVtuber業界に参戦し始めている。
今まで個人で収益を出していたVtuberをまとめ、そこからさらに大きな収益を生むためのマネジメントを取り仕切るこれらの事業は今後のVtuber収益化に対する鍵になっていくだろう。
5-2. Vtuber支援ツールのマネタイズ事例
Vtuber業界では、Vtuber自身が生むマネタイズ以外にも収益化に成功した事例がある。
例えば、誰でも手軽に3Dキャラクターを作成できるソフトや、iphoneのfaceIDを利用してVtuber配信ができるアプリなどクリエイターを支援するツールの提供がマネタイズの一例だ。
これらは今まで3Dキャラクターを作る技術がないためにVtuberに参戦できなかった層を取り込むこと一定の収益を得ることが目的だ。
しかしそれだけではなく、市場拡大の可能性も担う非常に有効なマネタイズ事例と言える。
6. 仮想アバターで動画マネタイズを成功させよう
生身の人間ではない仮想キャラクターが自在に動き回るVtuberは他では見られない独特な魅力と可能性を秘めている。
ただし、配信でマネタイズを図るためにはyoutubeのチャンネルで収益を有効化し、一定のファンを集める必要がある。配信をメインにおいて安定した収益を得るためには長期的で質が高い動画配信が求められる。
また、Vtuber市場には配信収益以外にも周辺ツールやマネジメント、制作サポートなど多くのマネタイズの可能性が眠っている。
国内市場規模219億円にもなるyoutuber市場で勝ち残るためにVtuberを利用したマネタイズについて考えてみよう。