民泊新法が追い風? 日本でも勢いを増すairbnbのビジネスモデルの秘密とは

airbnb(エアービーアンドビー)は、世界最大級の民泊プラットフォームサービスだ。

いわゆるシェアリングエコノミーの代表格とされるスタートアップ企業で、2019年現在では世界190ヵ国、3万4000以上の都市で150万人のホストを抱える巨大なビジネスモデルとなっている。

1. airbnbとはどんなサービスなの?

airbnb

airbnb(エアービーアンドビー)は、2008年、サンフランシスコで創業した民泊プラットフォームサービスを提供している会社である。

日本では民泊に関する規制の存在や民泊そのものの利用率が低いことにより、まだそれほどなじみのあるサービスではない。

しかし、今やairbnbはすでに世界190ヵ国以上で展開され、企業価値としての評価額は1兆円を超えるという、巨大なビジネスモデルへと成長しているのだ。

では、airbnbとはいったいどういうプラットフォームなのかを簡単に説明しよう。

airbnbでは旅行先の家を提供する「ホスト」と部屋を借りる「旅行客」のあいだを仲介するサービスだ。
airbnb自体は物件を所有しておらず、ホストと旅行客のマッチングを請け負う。

ホスト側は部屋情報をairbnbで掲載してもらい、旅行客はairbnbで借りたい部屋の情報を検索する。

そして、ホスト側は宿泊料金の3%、旅行客側からは宿泊料金の6~12%をairbnb側に手数料として支払う。

宿泊料金については、ホスト側が基本料金と手数料のほかに、清掃料金といったオプションを含めて自由に設定できるようになっている。

そして、料金の支払いに関する決済はすべてairbnbが代行してくれる、というのが大まかなサービスの仕組みだ。

2. airbnbの誇る「ホスト側」への手厚いサービス

airbnbが成功している理由の1つとして、「ホスト側への手厚いサービス」があげられるだろう。

民泊プラットフォームというビジネスモデルでは、ホストの確保という点が非常に重要だ。
ホスト側は面識のない旅行客に対して部屋を提供することになるので、セキュリティーや金銭やりとりでのストレスなど、ホストとなるためのさまざまなハードルというものがある。

こうした手間や不安に関して、万全の態勢でサポートする、という点で、airbnbは徹底されたサービスを展開している。

2-1. 決済やりとりはairbnbが代行

たとえば、金銭のやり取りに関して決済はairbnbが全て代行している。

旅行客はairbnbに対して料金を支払っているので、金銭のトラブルの心配がほとんどない。

2-2. どこの誰が部屋を借りているか把握できる「個人認証」

また、ホスト、旅行客とともに、個人認証は厳しく設定されているので、どこの誰かが部屋を借りているのかわからない、といった事態も避けられる。

2-3. 金銭的リスクを軽減する「ホスト保証」

この他にも「ホスト保証」という保証制度があるなど、ホスト側の金銭的リスクを軽減するためのサービスにぬかりはない。

2-4. 集客の手厚いサポート

集客についても手厚いサポートがある。

集客で重要とされる貸し出す部屋の写真については、無料でプロのカメラマンによる撮影を依頼することが可能だ。

さらに部屋を大切に使ってほしいという要望に関しては、ハウスルール、キャンセルルールをホストそれぞれが自由に決められるようになっている。

このように、限りなくホストの意向にそったサービスを提供することで、airbnbは急成長してきたといえるのだ。

3.  airbnbの誇る「ゲスト側」への手厚いサービス

1.ホテルに宿泊するよりも低価格
2.選択することに迷うくらい部屋情報が豊富で見やすい
3.普段は泊まれないようなお洒落で特別感のある部屋に泊まれる

普段は、別荘として利用されているようなお洒落な部屋に、ホテルよりも低価格で泊まれることが、airbnbnを利用するゲスト側の最大の魅力だろう。

また、ホテルより部屋情報が詳細に書かれていたり、利用者によるレビューがきちんと表示されていることから、運営側がきちんと管理していることが伺える。

これはゲスト側にとって利用することに、安心感を与えていると言える。

部屋情報は、どれもオリジナルティ溢れるお洒落な空間であるため、ただ閲覧するだけでも、ワクワクするだろう。

4. 徹底したマーケティングこそが成長のカギ

そもそもairbnbは、サンフランシスコに住んでいた3人の創業者(Joe Gebbia, Brian Chesky, Nathan Biecharczyk)たちが、家賃が高すぎて支払えなくなった時に考え出したビジネスモデルだ。

彼らはまず、自分たちの家の空きスペースにエアマットレスを敷いて貸し出そう、と思いついた。

そこで、部屋の借り手を探すためにまずはウェブサイトを作り、宿泊と朝食の提供をメインとしたサービスを開始した。

この朝食と宿泊(Airbed and breakfast)こそが、airbnbというサービス名の由来となっている。

ところが、当初はなかなかビジネスがうまくいかなかったのだ。このフォーマットをもとに、新たに他のホストを募集してビジネスモデルを拡大していこうとしたのだが、肝心のホストがなかなか集まらない。

その理由は、サービスの柱の1つであるはずの「朝食」だった。

朝食を提供すること、このことが思ったよりホスト側にとって負担になるため、ホストユーザーの数がなかなか増えなかったのである。

そこで、3人はホスト側への徹底したリサーチとヒアリングを行い、社名の由来であった朝食提供サービスを廃止することにした。

これが1つのブレイクスルーとなり、airbnbの飛躍のきっかけとなっていく。
このようなビジネスの経緯があるため、以降のairbnbでは市場やホスト、旅行客へのマーケティングに関して徹底する、ということが大きな特徴となっている。

5. 競合ビジネスモデルの代表格「カウチサーフィン」との違いは?

カウチサーフィン

airbnbとならんで有名な民泊マッチングサービスが「カウチサーフィン(Couch surfing)」だ。

サービスの内容としては非常に似ている部分も多いが、その特徴には大きな違いがある。

まず、端的に言ってカウチサーフィンは「宿泊先」を探す点ではairbnbと変わらないものの、より「人」とのマッチングに重点を置いたサービスだといえる。

単に「部屋を貸す」というよりも、ホストと旅行客との「人と人との交流」に重点を置いているのだ。

カウチサーフィンはもともと非営利団体(現在は営利団体)として始まっているというのも大きな理由だろう。

したがって、基本的にカウチサーフィンは手数料を徴収することもなく、またホストと旅行客の間での部屋の提供は無料がベースとなっている。

したがって、カウチサーフィンの方がビジネスとしての色あいはうすめといえるだろう。
そのため、マッチングの際の連絡などは自分ですべて行う必要があるので、単純に部屋を借りたい、という作業に関してはairbnbの方が格段に楽だ。

airbnbはホストと旅行客の間に発生する手続き全般をサクサク代行してくれるし、借りたい部屋を見つけて予約すればそれですべてが済んでしまう。

このように、同じ民泊プラットフォームでも、宿泊先を便利よく探すことに注力しているairbnbと、低コストながら宿泊先のホストとの交流に重点を置いたカウチサーフィン、というように、微妙にビジネスモデルの違いがあるのだ。

6. airbnbの日本での展開と民泊新法との関係は?

日本でもようやく「民泊」という言葉が市民権を得始めたところだが、まだまだ法整備や利用者の意識も含めて、追いついていないというのが現状だ。

6-1. 民泊新法について

法規制に関しては、2018年6月から「住宅宿泊事業法」、いわゆる「民泊新法」が施行されることになった。
新法の定めるところによる「民泊」とは、「旅行業以外の者が、住宅に人を宿泊させる行為で、年間180日以内に収まるもの」ということになっている。

ただし、この「旅行業者以外の者」というのは誰でもいい、というわけではない。
法律によれば「住宅宿泊事業者」「住宅宿泊管理者」「住宅宿泊仲介者」となっている。

要するに、この3者になるためには法律で定められた機関に対して、登録と許可の申請が必要ということだ。

6-2. airbnbの日本進出における今後の展開

airbnbはすでに2014年から日本に進出しているが、かねてからairbnbのサービスを悪用したケースや、近隣トラブルを抱えている物件の貸し出しなどの問題が指摘されていた。

そこで、新法施行後、airbnbは法律に抵触する物件の掲載を取り消すなどの対応に追われている。

新法施行の前後で、実に掲載物件の8割が利用不可となった、という報道もあり、airbnbとしては、日本の事情にあったサービス展開の必要性が迫られているといえるだろう。

そこで、airbnbは2018年、民泊関連事業を手掛ける日本企業36社と提携した「エアビーアンドビー・パートナーズ」という協業組織を立ち上げた。

この他にも全日空空輸とピーチアビエーションとの提携、さらには日本の旅行、ホテル組合との宿泊予約仲介を提携を開始するなど、airbnbは日本企業との共同提携という方向へかじを切り始めているようだ。

7. ホスト側の人材育成に乗り出すことでさらに成長

さらにairbnbが日本で打ち出しているビジネスモデルとして注目すべきは、民泊に関わる人材の育成だ。

airbnbは人材派遣大手のパソナと連携し、室内清掃や集客用のホームページ作成に携わる人材を育成研修する、という方針を打ち出した。

airbnbは日本進出が2014年と最近であるため、新たなサービス拡充にかけられる人材リソースは日本進出以降も十分と言える状態ではなかった。

そのため、パソナにその人材を供給してもらい、ホスト側に対して室内清掃や集客用ホームページの作成を代行する、といった新たなサービスリソースを作ろう、というわけだ。

これによってairbnbはサービス内容をさらに強化できるだけではない。

人材の確保と育成を日本の人材派遣会社に委託することで、最小限のリスクで新たなキャッシュポイントを獲得したといえるのだ。

まだまだこの分野で確固たるプラットフォームを持った競合の数は日本では少ないので、airbnbはさらに日本で成長していく余地があるといえるだろう。

8. airbnbの柔軟なビジネスモデルは日本でも成長の余地あり

世界中190ヵ国で展開する、巨大な民泊プラットフォームサービスであるairbnb。

ようやく民泊新法が施行され、これから本格的に民泊事業が広がるとされる日本においても、その勢いはますます加速している。

今後は日本の旅館業、旅行代理店などとさらに連携を深め、より日本のニーズに合ったサービスを展開していくことだろう。

  
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