テンセントが展開するwechatを利用した最強のビジネスモデルの正体

事業を始めるにあたって大切なことは、収益を上げている企業がどのような仕組みを採用しているかをよく考察することだろう。

なぜなら、利益を生み出す仕組みを理解することで、これから始めるビジネスに応用できるかもしれないからだ。

そこで、この記事では最強のビジネスモデルと呼ばれる、テンセントのwechatを紹介する。

1. 時代に即したサービスを打ち出し続ける会社・テンセントの商品

wechatを運営しているテンセント・ホールディングスは、1998年の中国で設立された会社だ。

主に中国国内のインターネットサービス大手として成長し、インスタントメッセンジャーやSNS、eコマース、オンラインゲームなどといった幅広い事業を手掛けている。

そのなかでも、テンセントの代表的なサービスが、メッセージングアプリのQQとwechatだ。

QQのほうがサービスの提供開始時期は早く、当初はテンセントの売り上げの大部分に貢献するアプリであった。実際に、QQの利用者数は多いときで、ユーザーアカウント数8億、アプリの利用者数1億7千万人にのぼったのである。

しかし、時代の変化とともに、コミュニケーションツールはパソコンよりもスマホが占めるようになってきた。

そこで、新たなサービスとして登場したのが2011年に開始されたwechatである。

時代に即したサービスを同業他社と比べて早い時期から導入したことにより、wechatは中国国内で瞬く間に普及したのだ。

しかも、wechatにはQQにはない、スマホアプリならではの機能を付与できることに気づいた。

さまざまなサービスを展開しているテンセントではあるが、wechatの持つ可能性を考え、過去において多大な貢献をしてきたQQよりもこちらをマーケティング面で重要視するようになっている。

2. 圧倒的なユーザー数を誇るためさまざまなビジネスで有利

テンセントはさまざまな業務を運営しているが、基本原則としては「コネクションを作る」という理念を大切にしているのが特徴だ。

これは、Facebookと似たようなビジネスモデルといえ、会社の設立当初からメッセージングアプリの開発をしていたことからもうかがえる。

ただし、ここでいうコネクションとは、単に電話やメールのような個人同士、または個人と法人というような、コミュニケーションを取るための手段のみを指すわけではない。

ビジネスにおけるCtoCやBtoBといった、いわゆるECビジネスも含まれる。つまり、広義な意味でのコネクションというわけだ。

テンセントは日本人にはあまりなじみがないかもしれないが、世界的に見ると非常に大きな企業である。

その証左として、テンセントが展開しているコミュニケーション部門のMAU(月間アクティブユーザー数)はなんと10憶人を超えているのだ。

また、オンラインゲーム市場においては、世界規模で売上1位を誇るアプリ会社を傘下に収めている。このように非常に多くのユーザーを取り込んでいるため、どのような事業でも圧倒的に有利な立場でサービスを展開することが可能だ。

たとえば、近年日本でも普及しつつあるFin Techのスマホ決済においては、WeChat Pay やQQ Walletといったサービスを提供している。

3. 中国版LINEとも呼ばれるwechat

コミュニケーションツールのひとつとして注目を集めているwechatは、QQの進化系として2011年1月にリリースされている。

ユーザー数ではWhatsAppに次ぐ規模であり、世界第2位を誇るようになった。もともとQQだけでもかなり大きな収益を上げていたが、wechatの成長に伴ってさらにテンセントのビジネスは軌道に乗ったのだ。

QQとwechatは一見すると違いが分かりにくいが、wechatはモバイルファーストと海外展開という点でQQとは異なる。QQで培ったノウハウをいかして、より広いユーザーを確保しようとしたのが、wechatというわけだ。

wechatの機能を紹介するにあたっては、日本人におなじみのLINEと比較すると分かりやすいだろう。

wechatにもLINEと同じ機能がある。

・チャット機能

・写真やスタンプを送信

・ビデオ電話やグループトークができる

つまり、一般ユーザーがコミュニケーションツールとしてのみ使用するのであれば、LINEと大差ないサービスを展開しているといえる。しかし、wechatが最強のビジネスモデルといわれる理由は、単なるコミュニケーションツールだけでは終わらなかったからだ。

4. テンセントの3つの経営戦略

テンセントはコネクションを作ることで、さまざまなビジネスが有利に運ぶような仕組みを作り上げた。テンセントの主なビジネスモデルは3つある。

4-1. 課金モデル

1つ目は、ソーシャルネットワークによるコンテンツの課金モデルや定額制ビジネスだ。いわゆるVAS(Value Added Service)とも呼ばれるビジネスモデルである。スマホアプリの利用による課金制度だと言えば、分かりやすいだろう。

4-2. 広告モデル

2つ目は、wechatやQQの利用によって、飛び交う膨大な量のデータを活用して、広告をマネタイズするという方法だ。2018年のテンセントの決算内訳では、広告分野はメディア事業、ソーシャル事業ともに大きく伸びている。これは、LINEの収入における割合で広告事業が増えている状況とよく似ている。

4-3. 決済サービス

3つ目のビジネスモデルとして挙げるのがwechatを利用した決済サービス、つまりWeChat Payだ。テンセントはどのようにしてwechatを収益の柱とするように考えているのだろうか。

5. wechatで利益を生み出すための経営戦略

wechatはLINEと同じように、コミュニケーションツールのひとつだ。しかし、テンセントの経営戦略の素晴らしさは、wechatを一種のプラットフォームとして考えたことだろう。プラットフォーム化することで、さまざまなビジネスがwechatを通して行われるようになるのだ。すると、IT化が進むにつれて、wechatなしでは一般消費者は非常に不自由な生活を強いられる可能性があり、爆発的なユーザー数の増加が見込めるだろう。

実際に、テンセントは「Weixin Mini Programs」という名称で、wechatを開発者に向けて解放し始めている。プログラムを開発者に向けて解放したというのは、Facebookが行った「Facebookデベロッパープログラム」と同様だ。しかし、テンセントでは、WeChatPayとの連携部分だけでなく、クラウドや広告まで提供したのである。

そのため、wechatは開発者側からすると非常に開発しがいのあるツールであり、大きなビジネスチャンスが広がっているといえる。テンセントとしても、より多くのユーザーに利用してもらえれば、手数料や広告収入といった部分で利益を出すことは容易になるのだ。

6. wechatがプラットフォーム化して収益を上げている事例とは

wechatはプラットフォームとなって、自社だけでは対応しきれないニーズを他社の開発力に委ねている。そのなかの代表的な事例として挙げられる。

6-1. QRコード決済

公共交通機関のQRコード決済だ。2018年時点で、90以上の都市でWeChatPayを利用した決済に対応している。日本では、SuicaやPASMOなどのチャージ式の決済方法が浸透しているが、それと同じような機能をQRコード決済で簡単に対応してしまっているのだ。

6-2. WeChatPay

2つ目は、レストランにおける利用事例だ。wechatでクーポンやポイントを貯めるプログラムなどを提供し、決済はWeChatPayで行えば、レストランの集客力は増し、顧客ロイヤリティも発生する。

6-3. 広告

3つ目の事例は、wechatで提供するミニゲームに広告を表示するという方法だ。隙間時間にできるミニゲームに人気が出ており、実際に2018年の決算では広告売上が大幅に伸びていることから、今後も期待できるセグメントだといえる。

7. 日本でも新しいビジネスが普及する可能性がある

テンセントはwechatというひとつのコミュニケーションツールを利用して、非常に幅広いビジネスに応用しているのが特徴だ。

コミュニケーションツールとしてのシェアが高ければ高いほど、手数料や広告収入を得るためのプラットフォームとしての価値は高まるといえる。

日本では、2019年2月時点で、それほどQRコード決済が普及しておらず、世界的に見てもFinTechの普及率は低いと言われている。しかし、将来的に日本においてもQRコード決済が普及する可能性は非常に高い。

そのようなときに、今回紹介した実際にプラットフォームとして機能している公共交通機関、レストラン、ゲームといった3つの事例に対応していく必要があるだろう。

QRコード決済のような便利な機能は、あっと言う間に普及する可能性がある。これから新しい事業を行う予定の人は、大きなビジネスチャンスとして考えておくとよいだろう。

8. テンセントのwechatはプラットフォーム化しているのが特徴

テンセントのwechatはプラットフォーム化することによって、さまざまなビジネスと結びついているのが特徴だ。そのなかの代表的なサービスとしては、WeChatPayが挙げられる。

日本でも将来的にQRコード決済が普及する可能性はあるので、ビジネスチャンスを逃さないようにするべきだろう。

  
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