セブンイレブンフランチャイズの仕組みに学ぶ店舗経営成功の秘訣

フランチャイズで店舗を増やしているといえば、やはりコンビニだ。他の業種に比べると、圧倒的に数の違いを感じる。

しかし、その反面では業績が伸ばせずに閉店に追い込まれる店舗もある。脱サラをして始める人にとっては、やるからには失敗はしたくないはずだ。

今回は、セブンイレブンのフランチャイズについて調べてみた。

1. セブンイレブンについて

出典:https://www.sej.co.jp/

日本で展開するコンビニの中でも、最大手とされるのが「セブンイレブン」だ。現在、日本での店舗数は、全国で20,904店舗とされる(2019年3月時点)。

発祥はアメリカで「トーテムストア」という名称で始まった。その後、1946年に営業時間だった、朝7時から夜11時までにちなんで、「7-Eleven」と名称を変更した。

当時はまだ、24時間営業はなかったことも意外だ。

セブンイレブンが、店舗を着実に増やしてこれたのは、ドミナント戦略によるものだ。これは、「特定の地域に集中的に出店すること」を言う。ご存知の通り、コンビニの商品のほとんどは、メーカーや自社工場から運び込まれてくる。地域が限られていれば、物流の拠点も少なく済む。また、広告や店舗指導においても、地域のカラーや特性に合わせて行えるのも利点だ。

だから、1974年に日本初店舗がオープンしたのが東京で、その後も東京を中心に店舗を増やしていった。地方から出張や遊びにきて、見たことのないコンビニに驚く人も多かったはず。こうして一種の憧れの存在のようにすることで、「あのセブンイレブンが近くにオープンする」というブランド感を出すこともできた。

確かな戦略のもと、「いつも身近な存在」として、店舗を増やしている。

2. フランチャイズというビジネスモデル

フランチャイズとは、どんなものか?
まずは、その仕組みについて説明しよう。

フランチャイズは、フランチャイズチェーンの本部として運営を行う側を、「フランチャイザー」と呼ぶ。それに対して、そのフランチャイズチェーンへ加盟する側を、「フランチャイジー」と呼ぶ。

そして、フランチャイズ契約を結ぶことで得られるものがある。

  • ブランドや商標が使用できる
  • 商品やサービスが提供できる

今回の場合はセブンイレブンなので、セブンイレブンという看板を出して開業と、セブンイレブンが取り扱う商品やサービスを提供することができるということになる。

2-1. 直営店とは

フランチャイズに加盟した個人や企業が行う店舗に対して、「直営店」というものが存在する。これは、フランチャイズチェーンを運営する側が、自ら運営する店舗をいう。従業員や設備など自らが準備することになる。

直営店のメリットは、戦略に合わせて理解されやすく、チェーン全体の統制がとりやすい。

逆にデメリットとしては、出店にコストがかかるため、準備期間が長くなってしまう。そうなると、店舗を増やしていくのにも時間がかかってしまう。

3. セブンイレブンフランチャイズのビジネスモデル

セブンイレブンのフランチャイズによる開店には、2つのタイプがある。

3-1. Aタイプ

Aタイプと呼ばれるのは、加盟を希望する個人または企業が、自身で土地と建物を準備するタイプだ。

加盟条件・・・60歳までの男女で2名で加盟できる人

契約期間・・・15年間

加盟金・・・300万円(研修費50万円・開業準備手数料100万円・開業時出資金150万円)

最低保証・・・オーナー総収入2,200万円(24時間営業/年間)

3-2. Cタイプ

Cタイプと呼ばれるのは、本部が土地や建物を見つけるタイプで、低資金でも開業できるというものだ。

加盟条件・・・60歳までの男女で2名で加盟できる人

契約期間・・・15年間

加盟金・・・250万円(研修費50万円・開業準備手数料50万円・開業時出資金150万円)

最低保証・・・オーナー総収入2,000万円(24時間営業/年間)

3-3. 開業前後の資金バックアップがフランチャイズに参入する魅力

どちらのタイプでも受けられる資金バックアップがある。こうした手厚いバックアップこそがセブンイレブンを始めとした大手コンビニのフランチャイズに加盟する魅力と言えるだろう。

開業前の資金バックアップ

  • 移住希望者 独立支援制度
  • 引っ越し費用 補助制度
  • 加盟金融資先紹介

開業後の資金バックアップ

  • 地域別適用金
  • 水道光熱費80%本部負担
  • 不良品原価相当額の15%本部負担
  • 最低保証制度
  • 従業員募集のHP掲載無料

3-4. ファミリーマートとローソンのビジネスモデル

コンビニと言えば、競合他社として気になるのがファミリーマートとローソンだろう。簡単にビジネスモデルの違いを把握しておこう。ここで注目すべきは、いずれのコンビニも加盟条件に複数名の専業者が必要であることである。24時間営業の為、一人だけで管理することが難しいということを表していると考えられる。

 

3-4-1. ファミリーマート

ファミリーマートでは「土地・建物」と「店舗・内装設備工事費用」を本部とオーナーのどちらが費用負担するかにより4つのパターンに分かれている。どちらもオーナーが負担した場合の契約内容は以下のようになる。

加盟条件・・・健康、勤勉で熱意のある人。店舗運営のための土地・建物を持っている人。

契約期間・・・10年間

契約時必要資金・・・150万円

また、「土地・建物」を本部が準備した場合は、加盟条件に2名以上の専業者などの条件が加わることとなる。

3-4-2. ローソン

ローソンは土地・建物は本部が準備している。複数店舗を経営した場合の支援制度もあるようだ。

加盟条件・・・20歳以上で、店舗専従者2名以上、かつ店舗の近くに住める人。

契約期間・・・15年間

開店準備金・・・約50万円

加盟金・・・100万円(研修費50万円・開業準備手数料50万円)

最低保証・・・年間1,860万円

ファミリーマート

ローソン

4. セブンイレブンフランチャイズのロイヤリティ

ロイヤリティとは、加盟店がブランドや商標などを使用する権利や、経営のノウハウを受け取る代わりに、その対価(お金)を本部に支払うことを言う。

一般的には、売り上げの何%をロイヤリティとされ、本部に支払われる。
セブンイレブンの場合は、以下の通りだ。

Aタイプのロイヤリティ

  • 売上総利益に43%の率を乗じた金額(5年経過後、条件によりチャージ率が減少)
  • セブン‐イレブン・チャージ1%特別減額

Cタイプのロイヤリティ

  • 売上総利益に対して、スライドチャージ率を乗じた金額(5年経過後、条件によりチャージ率が減少)
  • セブン‐イレブン・チャージ1%特別減額

チャージ率は、ローソンは34%、ファミリーマートは35%と、なっているから、セブンイレブンのチャージ率の方が高いことになる。

スライドチャージについては以下のように適用される。

売上総利益

250万円以下・・・54%

250万円以上400万円以下・・・64%

400万円以上550万円以下・・・69%

550万円以上・・・74%

土地や建物の支払いもあるため、ロイヤリティは高い。

5. セブンイレブンフランチャイズの5つのデメリット

フランチャイズは加盟することで、そのブランド力に守られて売り上げを伸ばし、経営を軌道に乗せることができるが、そこにデメリットがあることも覚えておきたい。

主に、この4つのデメリットが想定できる。

・ブランド力のイメージ低下

・廃棄ロスについて

・ロイヤリティが高い

・営業時間と労働力不足の問題

・店舗独自の企画が出来ない

ひとつずつ解説していこう。

5-1. ブランド力のイメージ低下

フランチャイズのため、フランチャイザー側に問題が発生したり、他店舗での問題などが突然発生した場合、自身の店舗への影響は大きい。

例えば、近年多いのは、店員によるユーザーを不快にさせる動画投稿だ。
本人たちにとっては、ちょっとした遊び心だろうが、モラルに反し悪質なものしか見えない。

一部店舗、一部の店員がやったことは、同ブランドの店舗、働く店員、全てのイメージになる。
巻き込まれるように、経営は悪化してしまう。

また、本部の方針が変更されるとそれに従う必要も出てくる為、振り回される可能性も高いのだ。

5-2. 廃棄ロスについて

いま社会的に問題にもなっている、商品の廃棄コストについては、基本的には加盟店側の負担となっている。

なぜ、廃棄ロスを無くすことは、できないのだろうか?
この答えとして、セブンイレブンでは「廃棄ロス」と「機会ロス」という考え方がある。

廃棄ロスを無くすには、商品を売り切ってしまうように仕入れれば問題ないことだが、これを行ってしまうと、「品切れ状態」を作ってしまう。実は、コンビニとって、品切れ状態は致命傷なのだ。

「なんでも手軽に商品が手に入るコンビニ」で商品がない状態が続くと、それがコンビニのイメージとなってしまうからだ。他ブランドのコンビニにはなるが、「いつも品切れ状態」ということでSNSで拡散され、閉店となったこともある。

だから余ることを見越しての仕入れとなるから、廃棄コストが減ることはない。

コンビニでも値引きできるように声が上がっているが、セブンイレブンは現在のところ行わない姿勢でいる。

この廃棄コストについて、今後の動向に注目したい。

5-3. ロイヤリティが高い

フランチャイズには、ロイヤリティがある。
ブランド力の他に運営マニュアルなどが提供される対価として支払うものだ。

セブンイレブンのロイヤリティは高いというが、他ブランドのコンビニと比較してみたい。

 

ロイヤリティ

備考

セブンイレブン

Aタイプ 43%

加盟する側に所有する土地・店舗があるタイプ

Cタイプ スライドチャージ

 

ファミリーマート

スライドチャージ

加盟する側の所有する土地・店舗の有無に関係なし

ローソン

スライドチャージ

加盟する側の所有する土地・店舗の有無に関係なし

参考:FamilyMart
参考:LAWSON

やはり、セブンイレブンのロイヤリティは高いようだ。

しかし、よく“コンビニオーナーは本部の奴隷”と例えられることから、加盟する時には、果たして経緯の労力と得られる利益を比較して、そのロイヤリティに似合うだけの価値があるかを考えてほしい。

5-4. 営業時間と労働力不足の問題

“コンビニオーナーは本部の奴隷だ”と言われることが多かった。

その所以として、24時間365日店を開店し続けなければならないことが大きい。利用者側からしたら「いつでも」「好きな時に」「自分の自由な時間に」買い物ができる便利な仕組みだが、経営側の負担は相当なものだろう。

また、労働力不足も加速し、深夜の時間帯の労働力不足は一層大きくなり、経営側の負担になっている。

こうしたことを受けて、セブンイレブンでは営業時間の短縮が検討され始めている。129店舗が営業時間の変更を始めており、廃棄ロス削減やAI発注の導入など営業時間を短縮しても加盟店の利益が拡大する加盟店支援策を検討する動きが出ている。問題解決の為に少しずつ変わってきてはいるようだが、すぐに全てが解決する訳ではなく、時間が必要となるだろう。

もちろん、独立起業するという時点で、どのような業種であろうと、“常に仕事をしている状態”になるのだが、コンビニという業態柄、営業時間と労働力不足の問題には特に覚悟が必要だ。

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5-5. 店舗独自の企画ができない

経営をしていく上で、よりビジネスを楽しむ工夫をしたくなるものではないだろうか。

例えば、店舗のある地域ならではの文化に合わせたコラボ企画や、オーナーの好きなものを取り入れた独自のイベントや商品ラインナップなどである。せっかく膨らんだイメージを形に出来ないのは、デメリットと感じる人もいるかもしれない。

6. フランチャイズに向いている人

では、フランチャイズ経営は、どのような人に向いているのだろうか?

フランチャイズ契約をすると、開店までに店舗での研修などが用意されている。これは、作業を覚えたりする他に、本部の理念やマニュアルを覚えてもらう意味も含まれている。コツコツと地道に続けられる人に向いている。

そして、人間関係を良好に続けられる人にも向いている。
最低でも契約期間は15年とあるから、本部の人や一緒に働くスタッフとの人間関係は良好でありたい。職場はピリピリしていたら、その雰囲気はお客様にも伝わるから悪いイメージが定着してしまう。

開店後も、本部からのサポートはあるから、困った時には頼れるが、経営が上手くいくように加盟店側も考えてほしい。自分のコンビニを長く続けるための努力は必要だ。

日本人は「企業戦士」とも呼ばれるように、家庭以上に会社のことを優先する傾向がある。それが特性だとすれば、このフランチャイズでの起業は向いているのかもしれない。

7. ビジネスモデルを考えることが重要

起業する時にリスクは付き物だが、セブンイレブンのフランチャイズも同様のようだ。

そして強く思うのは、やはりビジネスモデルを考えるということだ。

  • 契約期間の売り上げを維持または伸ばしていく方法
  • 契約期間終了後にどうするのか?

経営が上手くいかなくて閉店というのは、なんとか避けたい。返済だけ残っても面白くない。
だからこそ、まずはこの2つについて、徹底したビジネスモデルを考えたい。本部がサポートしてくれるからと、何もしないで甘えているのは、直営店のスタッフと変わらない。

ブランドを守りながら、特色のあるフランチャイズ店として頑張って欲しい。

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