lipsは現役の東大生二人が中心となって立ち上げられたメイク用品の口コミアプリである。
2018年末からはテレビCMなども行われ、大きな注目を集めている。
なぜ注目を集めているのか。
それはずばりlipsのビジネスモデルが時代に合わせて洗練されたものだからと言えるからだ。
今、話題を呼んでいる「LIPSパートナープログラム」を始め、lipsが展開するビジネスモデルと設立までの経緯を紹介する。
1. lipsのビジネスモデルは現代的で洗練されている
運営会社のAppBrewは、2018年にグリーなどから10億円の資金調達に成功した。lipsを含めたサービス
のビジネスモデルは実に洗練されたものといえる。
1-1. 口コミ投稿を収益化し、情報発信力を強化
lipsは口コミの質を上げる為の取組みに力を入れている。
2019年4月より「LIPSパートナープログラム」を取り入れている。ユーザーが口コミを書くことにより収益を得ることができる仕組みだ。もちろんどんなユーザーでも良いわけではない。過去6ヶ月以内に10以上あって、フォロワー数が2000人以上いることが条件となる。こうした条件を設定することで、より信頼性の高い口コミを増やすことが出来る。
また、収益化に伴って懸念される嘘の投稿や、ステルスマーケティングの取締り強化も行う。
収益を得ることで、ユーザーは自分の口コミの価値を実感し、より質の高い口コミを書くモチベーションに繋がる。また、運営者側にとっても質の高い口コミを増やして信頼性を向上させる、まさにWINWINの関係となることが出来るだろう。
LIPSの投稿が収益になる「LIPSパートナープログラム」を開始します
1-2. lipsは規模拡大して幅広い年齢層を狙う
lipsは運営会社の資金調達の成功などを背景に、テレビCMも開始している。その効果もあり、ユーザー数は順調に拡大を続けている模様だ。
サービス開始当初は10~20代の若年層が圧倒的に多かったサービスだが、今後は規模拡大に伴い、幅広い年齢層の獲得に動いていく。
1-3. 巨大ITベンチャー企業に成長することも目標
AppBrew取締役の松井氏はlipsだけのサービスに依存する考えはなく、今後は同じようなサービスの横展開を狙っているようである。
横展開が成功すれば当然、運営会社の規模も拡大していくだろう。
松井氏が目標としているのは数年で急成長するような巨大ITベンチャー企業であり、今後はAppBrewの更なるアクティブな活動が予想される。
2. lips誕生の経緯
lipsは多方面から注目を集めているコスメアプリだ。
スタートアップ企業であるAppBrewが運営する。
lipsはコスメに特化した口コミアプリとして2017年にリリースされた。
2019年3月現在で累計300万ダウンロードを突破する人気のアプリとなっている。
また、東大生が中心となって開発されたことも話題となっており、各種メディアなどでもニュースとして取り上げられているほどである。
lips運営に関わる二人の重要人物も紹介する。
・代表取締役 深澤雄太氏
lipsを語るうえで欠かせない人物は二人存在するが、そのうちの一人がAppBrew代表取締役の深澤雄太氏である。
深澤氏は1994年生まれで2013年に東京大学に入学した。
lips運営会社のAppBrewを最初に立ち上げたのも深澤氏であり、サービスの生みの親といっても過言ではない。
なお、プログラミングについては中学時代に独学で習得済みである。
・取締役 松井友里氏
もう一人の重要人物がAppBrew取締役の松井友里氏である。
松井氏も深澤氏と同様に2013年に東京大学に入学している。
また、7歳から高校卒業までをニューヨークで過ごすという帰国子女でもある。
もともと起業に興味はなかったが、AppBrewの立ち上げなどをきっかけにサービス運営に深くかかわるようになったのだ。
さらに、2018年にはForbes JAPANが選ぶ「30 UNDER 30 JAPAN」にも選出されている。
lipsが世の中に誕生するまでには、いろいろな紆余曲折があった。
具体的にどんな経緯でサービスが開始されたのか、その過程を見ていくこととする。
2-1. 東京大学在学中に同級生と起業
lips運営の中心人物は共に東大生で、深澤雄太氏と松井友里氏である。
二人は最初から知り合いだったというわけではなく、一緒に授業を受けたことなどをきっかけとしてお互いのことを話すようになったのだ。
知り合ったときに二人が共通して興味を持っていたことがプログラミングであり、深澤氏はすでにWebサービスの開発も行っていたという。
そこで、松井氏も自然とWebサービス開発を手伝うようになり、次第にのめり込んでいった。
そのうち会社を登記して松井氏が取締役、深澤氏が代表取締役になりlips運営会社のAppBrewが創設されたのだ。
2-2. 試行錯誤の末にlipsを開発
二人でAppBrewを立ち上げるまでは順調だったが、lipsのサービスを生みだすまでにはさまざまな失敗もあった。
具体的には約1年で5つのサービスを立ち上げたものの、収益が上がらずすべてのサービスを最終的にはつぶした。
トレンドなどを意識してサービスを始めても、最初はまったく上手くいかなかったのである。
そんな中、松井氏は美容やコスメに関する情報を集めることを趣味として行っていた。
しかし、情報が整理されていないサイトが多いことに不満を持っており、その気持ちがlips開発へのヒントとなっている。
最初はコスメを使ったインスタのようなアプリをイメージして、最終的には口コミに特化したサービスになったのだ。
このサービスが大ヒットして、lipsやAppBrewの知名度は飛躍的に伸びていったのである。
3. lipsのビジネスモデルについて
世の中にはたくさんのビジネスモデルが存在するものである。lipsはどのようなビジネスモデルになっているのか、その特徴を見てみよう。
3-1. 口コミをマネタイズ化
コスメの口コミに特化したアプリであることは、lipsの大きな特徴である。
また、lipsはこの口コミの数々をマネタイズ化することにも成功している。
具体的には、アプリに日々寄せられる口コミデータを分析して、企業が商品開発やマーケティングに生かせるサービスを展開して、収益化しているのである。
このような利用者のデータ分析は大手IT企業も行っていることであり、合理的なマネタイズ方法といえるだろう。
3-2. Youtuberなどのインフルエンサーを宣伝に活用
スタートアップ企業であるAppBrewは大手企業のように、広告費に多額の費用はかけられない。
そこで創業者の二人が考えた宣伝方法がYoutuberなどのインフルエンサーの活用である。
このアイデアは成功し、当時の人気Youtuberがlipsを紹介したことで大きく利用者が増えていった。
3-3. 横展開できるように汎用性も意識
ビジネスを行うときは成功した要因を分析し、パターン化することも重要である。
lips運営会社のAppBrewではそのことも良く意識されており、最初から横展開できるように汎用性を意識してアプリ開発を行っていたのだ。
つまり、lipsだけに依存するのではなく、将来的には同じようなサービスを複数育てていくことまで考えられている。
短期だけではなく、長期的な視点も持ち合わせたビジネスモデルといえるだろう。
4. lipsが成功した理由とは?
lipsのサービスがビジネスとして成功したことには、複数の要因が存在する。
具体的にどのような要因で成功したのか、その詳細を見ていこう。
4-1. 口コミに特化したつくり
lips利用の主要な年齢層は10~20代の若年層であるが、この世代は口コミを参考に商品購入する人が多い世代でもある。
そんな中、コスメの口コミに特化したlipsのアプリは潜在的な需要を掘り起こし、時代の空気をうまく掴んだサービスといえる。
また、若年層ほど口コミをコミュニケーションツールとして利用する傾向があり、lipsはその役割も果たしている。
4-2. 一つのアイデアに固執しない柔軟性
lipsのサービスが生まれるまでは、さまざまな試行錯誤が繰り返されている。
その過程で、多くのアイデアも生まれた。
しかし、創業者の深澤氏は一つのアイデアに固執することなく、柔軟にいろいろなものを試していくというスタイルを選んだ。
通常は良さそうなアイデアがあるとそれに固執するものだが、一つのものに拘りすぎない柔軟性が結果的には成功したのだ。
4-3. 意思決定の早さ
柔軟性にも繋がる話だが、深澤氏はとにかく意思決定が早いという。
たとえば、スタートアップ企業で開発者の人数が少ないにもかかわらず、平均2カ月ほどで一つのアプリサービスを作成する。
さらに、結果が出なければどんなに苦労して開発しても、すぐにそのサービスは辞めてしまうのである。
この意思決定と行動の早さでいろいろと試行錯誤したことが、成功を導いたといえるだろう。
5. 話題を集めるlipsの今後に注目
lipsのビジネスモデルはとても現代的で洗練されていることが分かってもらえただろうか。それは試行錯誤をしながらも、成功した事例は徹底的に分析し、横展開できるように最初から考えてつくられているからである。
時代の空気を捉えるのも上手く、今後も期待できるサービスと考えても良いのではないだろうか。