シェア率世界No.1・Slackのビジネスモデルから探る収益アップの秘訣

チームコミュニケーションツールは、ビジネスシーンにおいて重要度を増している。

この分野において、世界No.1のシェアを持っているのが「Slack(スラック)」だ。

ここでは、なぜSlackがこれほど多くのユーザーの支持を獲得できたのか、どんなビジネスモデルを採用しているのかなどを解説する。

1. 世界No.1コミュニケーションツール「Slack」はどこが優れているのか?

Slackは世界でシェアNo.1を誇るチームコミュニケーションツールだ。

こうしたツールとしては「Skype」「LINE」「Chatwork」など他のチームコミュニケーションツールを用いている人もいるだろう。Slackが他と違っている点、優れている点と考えられているのは以下の3点である。

1-1. メッセージの検索

1つは「メッセージなどの検索がしやすいこと」だ。

ビジネスの場では、仕事の関係上、同じ言葉や似たような言葉を何度も使うのが普通である。

Slackは検索結果が非常に見やすく、検索の学習機能も備えるため、必要な情報を素早く探し出せると評価されている。

1-2. デバイスとの連携

2つめは「あらゆるデバイスのリアルタイム連携が容易であること」だ。

スマホやタブレットなど、あらゆる機器がインターネット上につながる現在において、デバイスを選ばないというのは必須の仕様であるが、Slackはすべてのコミュニケーションを1つの空間上で行うことにより、誰がどんなアクションを起こしたかをすぐに察知でき、全体で共有する機能が優れているといわれている。

1-3. ファイルの共有

3つめは「ファイル共有機能が優れていること」が挙げられる。

Slackではメッセージ、画像、動画、文書などあらゆるファイルを共有可能だ。

しかも、これらのファイルをファイルサーバーで共有する機能を備えている。そのため、たとえば画像ファイルを個々のユーザーのローカルフォルダにダウンロードすることなくサムネイルで確認するなどができるのだ。

このように、必須の機能や基本機能のレベルが高く、使いやすいのがSlackといえるだろう。

企業理念は「皆さんのビジネスライフを​よ⁠り⁠シ⁠ン⁠プ⁠ル⁠に⁠・​よ⁠り⁠快⁠適⁠に⁠・​よ⁠り⁠有⁠意⁠義⁠に​」であり、ユーザーファーストを貫いているのだ。

2. Slackのビジネスモデルが成功した訳とは!?

Slackのビジネスモデルを特徴付けるキーワードは「フリーミアムモデル」と「サブスクリプションモデル」である。

フリーミアムモデルとは、ユーザーにまず無料で使ってもらい、その後、付加価値をつけた有料版に乗り換えてもらうというビジネスモデルだ。

Slackでは、メッセージ数が一定以内なら、誰でも無料で利用できる。そのため、小規模のプロジェクトチームなどがSlackを使い始めやすい環境を提供しているといえる。

このビジネスモデルで重要なことは、当然ながら、提供するサービスを気に入ってもらうことである。

また、無料版であっても実用するのに十分な機能を提供していることも大切だ。

Slackは連携できるアプリ、サービスが豊富で、利用制限をあまりかけていない。また、使いやすいシンプルなユーザーインターフェースを備えており、初めて使うユーザーなどにも十分配慮されているのが特徴だ。

3. 始まりは自分用! Slackの開発秘話

「フリーミアムモデル」と「サブスクリプションモデル」のいずれにおいても重要なのは、ユーザーをいかに満足させられるかといえるだろう。

つまり、Slackのビジネスモデルの成功の鍵は、ユーザーファーストといえるのだ。

このユーザーファーストを高いレベルで実現している背景のひとつには、Slackが自社用のツールだった経緯があるといわれている。そこで簡単にSlackの開発秘話を紹介する。

Slackの創設者はスチュワート・バターフィールド(Stewart Butterfield)であり、Slackの開発以前の仕事としては写真シェアサイトである「Flickr(フリッカー)」が有名だ。

Flickrが軌道に乗ったのち、彼はゲーム開発という新たなジャンルに挑戦する。

しかし、開発チームの志気はあがらずプロジェクトはとん挫、そんなときに生まれたアイデアがIRC(インターネット・リレー・チャット)の開発だった。

開発チームは自分たちの仕事用としてIRCを使っていたが、これによりemailの煩雑さから解放され、仕事が効率的になったという経験をしていたからである。

スチュワート・バターフィールドもこのツールに将来性を感じ、Slackの開発に着手したというのが、Slack誕生のきっかけだったのだ。

もともと、自分たちの仕事用なので、当然ながら、ユーザーファーストに満ちたツールであったことだろう。

そして、開発チームは自らの経験からユーザーの評価をできるかぎりフィードバックして改善することが、優れたコミュニケーションツールを作るには不可欠だと知っていた。後に、レビューなどをしてくれたすべてのユーザーに対し、個別に返信メールを書いたというのが、ユーザーファーストの姿勢を表した一例といえる。

フリーミアムモデルおよびサブスクリプションモデルのビジネスモデルで成功する下地は十分だったのだ。

4. ユーザーファーストでコアなファンを囲い込む

ユーザーファーストの精神は、コアなファンの獲得につながった。コアなファンの獲得が、チームという小さな領域を囲い込むことになり、やがて巨大な企業の共通ツールとなった事例を紹介する。

4-1. 株式会社ディー・エヌ・エー

株式会社ディー・エヌ・エー(以下DeNA)では、当初、コアなファンであるエンジニアたちによって極小規模な範囲で使われ始めた。

すると使い勝手の良さが徐々に伝わっていき、プロジェクトを効率的に進めるツールとしてSlackを採用するチームが増えていったという。

Slackの使用は、コミュニケーションに壁が生まれやすい部署間の垣根を取り払い、トップダウンとボトムアップの両方をスムーズに行えるツールを求めていたDeNAの会社方針とも一致していた。

そのため、DeNA全体の共通ツールとして採用されるまでになったのだ。

5. Slackは今後どうなる!?

2017年にアマゾンがSlackを90億ドルで買収しようと検討していると報道された。

また、SoftBankが巨額の投資をSlackにしたという報道もあった。

こうした情報の真偽や、アマゾンやSoftBankの目的などについて正確に述べることはむずかしいことである。

しかし、これらの企業が、Slackをビジネスパーソンとのつながりを持つための足場として、非常に高く評価しているであろうことは間違いないといわれている。

アマゾンは、個人消費の分野では大きな成功を収めているがビジネスパーソンとのつながりがあまりなく、この面を強化したいのだという人もいる。

また、ネットショッピングにおいては、現在のところ、ウェブサイトにアクセスしてクリックやタップをする方式が一般的である。

しかし、近い将来においては音声認識機能が発達することによって「Amazon Echo(アマゾンエコー)」などの音声認識デバイスを用いて注文するようになるとみられている。

そして、その際に最適なプラットフォームになるのがSlackだと考える人もいるのだ。

こうしたことからも、今後Slackに注目する企業は増えると予想される。また、一般の人の日常生活を大きく一変させる可能性をもったツールともいえるだろう。

6. ユーザーファーストと明確なターゲット設定がSlack成功の理由

世界No.1のシェアを持つSlackはフリーミアムモデルとサブスクリプションモデルを採用している。

ユーザーファーストでツールを作成したことや、最終的に有料版に移行してほしいユーザーのターゲットが明確であったことが、これらのビジネスモデルでSlackが成功した理由だ。他のツールやサービスにおいてもこの成功に学ぶことは多い。

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