モノを所有する時代から、モノをシェアする時代に大きく変化しています。
そのきっかけとなったのが、サブスクリプション型のビジネスです。
この記事では、Microsoftのoffice365のサブスクリプションにおけるビジネス戦略について解説します。
目次
1. そもそもサブスクリプションってなに?
従来は商品やサービスを購入するのが一般的でしたが、料金を払って一定期間サービスを受けられる権利を得るサブスクリプションのスタイルが主流になりつつあります。
サブスクリプションの本来の意味は雑誌の定期購読や予約購読ですが、その中で代表的なものが新聞です。
新聞は、1カ月、半年、1年といった期間で料金を支払い、毎日新聞が自宅に届けられるシステムになります。
このシステムこそが、サブスクリプションです。
現代では、この手法がさまざまなジャンルのビジネスで活用されており、「商品やサービスを買う」から「商品やサービスを使う権利を買う」に徐々にシフトされています。
ITの発達により、今後はさらにサブスクリプションビジネスは拡大していくでしょう。
2. サブスクリプションと定額制の違い
サブスクリプションと混同されやすい定額制ですが、この2つのサービスには異なる点があります。
そもそも定額制とは、商品やサービスに同じ金額で定期的に課金することです。
サブスクリプションが定着する前は定額制を採用する企業が多い傾向にあり、商品やサービスを使う権利を販売するという基本的なシステムは変わらないため、この2つのサービスは同じ意味合いで使われることが多いのが現状です。
定額制は企業が推奨する商品やサービスを提供しますが、サブスクリプションはさらに踏み込んで、顧客が必要としているものや顧客満足度に焦点を当てています。
それは顧客を1つの団体と考えるのではなく、個人のニーズにあったサービスを提供できるように、選択肢の幅を広げることで顧客の信頼を獲得しているのです。
たとえば料金プランで言うと、昼や夜の時間帯で分けたり、本契約に入る前のお試し無料プランを設けたりするなど、顧客の生活や気持ちに寄り添ったサービスが提供されています。その点が定額制との大きな違いだといえるでしょう。
3.サブスクリプションのメリット・デメリット
3-1 顧客目線でのメリット
従来のモノを購入する方法であれば、自宅に置くスペースを確保しなければいけません。
本やマンガ、CDがそれにあたるでしょう。
当たり前のことですが、モノを買うと保有するモノは増えていきます。
サブスクリプションを利用すれば、そんな心配も必要なくなるのです。
さらに、サブスクリプションのサービスは、ほとんどの場合使いたい放題を採用するものが多いので、使えば使うほど1回の金額がお得になります。
毎回購入するよりも、はるかにコストを抑えられるということです。
また、サブスクリプションはいつでも解約できます。
複雑な解約手続きも不要で、利用したものの自分に合わないと感じた時点でパソコンやスマートフォンなどの端末から簡単に解約することが可能です。
小さなことかもしれませんが、顧客にとっては大きなメリットだといえるでしょう。
3-2 顧客目線でのデメリット
いつでも簡単に解約できるサブスクリプションですが、解約をしない限り料金が発生します。
また、使用した分だけ料金を払うわけではないので、使用頻度が少ない月も一定の金額を支払わなければいけません。
その点は顧客にとってデメリットになるといえます。
サブスクリプションは契約する際も複雑な契約は必要ないため、さまざまなサービスを契約してしまい、結果的に費用が高くなってしまう場合もあります。
そのサービスの中には、滅多に使わない機能やサービスが含まれていることもあるので、注意することが大切です。
3-3 企業目線でのメリット
企業は、一定の期間で契約するため、継続的な売上げとして利益を生むことができます。
解約する顧客の数を予測することはできませんが、契約する顧客の数から利益をある程度把握することができるでしょう。
また、契約数が減ったとしても、減少した理由などを見直して改善点を見つければ、新たな顧客を獲得できます。
利用者の情報や利用された統計データも蓄積できるので、顧客のニーズもつかむことが可能です。
対象物を選ばないサブスクリプションのサービスは、さまざまな業界で導入できるのも大きなメリットではないでしょうか。
デジタル化が進む中で、アナログにも対応できるのは非常に魅力的な事業形態だといえます。
3-4 企業目線でのデメリット
軌道に乗るまでは、すぐに利益が出にくいことが挙げられます。
特に初めてサブスクリプションを導入する企業であれば、それは顕著で広報活動などを駆使して、まずサービスを行っていることを知ってもらうことが必要です。
また、ある程度顧客を獲得して一定の利益を上げたとしても、安心はできません。
顧客は常に新しいサービスを求めているため、新鮮なコンテンツを提供し続けることが大切です。
サブスクリプションを提供する企業は年々増加傾向にありますが、その数多くの中から顧客に選んでもらわなければいけません。
しかし、新しいコンテンツを作るためにはコストがかかるため、ある程度資金を用意することも必要でしょう。
4. office365のサブスクリプションとは
Microsoftは、OfficeアプリケーションをOffice365というサブスクリプションのスタイルで提供しています。
従来はパソコンにインストールしなければ利用することはできませんでしたが、現在はアプリケーションをクラウド化してWord やExcel、PowerPointなどを月額数百円で使用することか可能になりました。
サブスクリプションが始まる前は、すべてのアプリを購入しようとすると多額のお金が必要だったため、ユーザーにとっては大きな負担になっていたといえます。
office365のサブスクリプション化により、価格の安さや導入の手軽さから利用者が増え、大幅に売上が向上しているのです。
5. office365のサブスクリプションに学ぶ戦略
サブスクリプションで利益を上げるには、サービスを継続してもらうことが何よりも大切です。
企業は解約率を下げるために、常に顧客に利用し続けてもらうマーケティング戦略が必要になります。そのためには、新規顧客の獲得だけでなく、既存の顧客に向けた戦略も重要になるでしょう。
5-1 サービスを利用する価値を提供する
Officeは、数年に1度のサイクルで必ずアップデートされてきました。
従来は一括で費用を払って新しいバージョンを購入することが一般的でしたが、コストを抑えたい人は、バージョンアップをせずに購入したままのバージョンで使う人も少なくありませんでした。
office365のサブスクリプションでは、利用しているあいだは、自動的にアップデートされるため、常に新しいバージョンを使用できます。
office365は、継続することで得られる新しい価値を提供しているのです。
5-2 他のサービスと差別化する
office365では、オンライン ストレージやSkypeからの無料通話サービスを提供しています。
これはサブスクリプションでしか得られないサービスになるため、ユーザーにとっては付加価値になります。
他のサービスにはない付加価値をサブスクリプションに付けることで、継続や購入を後押しできるのです。
5-3 継続しやすい体制をつくる
office365のサブスクリプションでは、1カ月の無料お試し期間を設けています。
たとえ企業が1カ月間の利益が出なくても、ユーザーにサービスを体験してもらうことで契約へのハードルを下げる効果があります。
さらに、新しいコンテンツを提供する際も全ユーザーに対象にお試し期間を設けるなど、継続する体制をサービスを提供する側でつくることが重要なポイントでしょう。
6. office365サブスクリプションのビジネスモデルを自社に導入してみよう
ジャンルを問わず導入することが可能なサブスクリプションは、今後もさらに飛躍することは間違いありません。
起業を考えている人であれば、office365のサブスクリプションをビジネスモデルに、自社の分野に導入を検討してみてはいかがでしょうか。