ブロックチェーンはユーザー同士がお互いを監視しあうことで信頼性の高いデータ送信が可能になっており、さまざまな分野で応用できると期待されている。
そのようなブロックチェーン技術に注目した新しいビジネスモデルのひとつとして期待されているのが、polipoliだ。
この記事では、PoliPoliのビジネスモデルについて紹介していく。
目次
1. ブロックチェーン技術を使って政治をマネタイズ
PoliPoliは若干19歳の大学生が立ち上げた会社である。一緒に働くメンバーもすべて大学生であり、19~20歳が主力となっていて非常に若く、バイタリティーのある会社だ。
PoliPoliの主力ビジネスである「PoliPoli」は、政治とテクノロジーの融合を理念として掲げているが、創業者本人の政治に携わってきた期間はそれほど長いわけではない。
それにもかかわらず、会社を設立した理由は、政治という分野は課題がたくさんあるが、その分マーケットも大きいと感じたからだ。得てしてビジネスというものは、社会が抱える問題(ニーズ)を解決するときに大きな利益を生むものである。
PoliPoliは、政治という身近な存在でありながら、その複雑さによって誰もが手を付けられなかった、消費者のニーズにいち早くビジネスとして取り組んだ企業だといえるだろう。
しかし、創業にあたってはどのように政治をマネタイズするかが重要で、PoliPoliもその点に関しては苦労した。
なぜなら、政治という一般的に難しいものとされる話題は、消費者の関心を呼びにくくマネタイズしにくいからだ。
一方、政治家や政党からすると、自らの主義主張を訴えやすいツールであればニーズはあり、比較的マネタイズはしやすいだろう。ただし、過去においては大手企業が政治のマネタイズに挑戦したことがあるが、結局撤退している。
政治におけるビジネスをマネタイズすることは容易ではないが、PoliPoliは主に仮想通貨に利用されているブロックチェーン技術を活用することで、さまざまな問題点を解決した。
では、どのようにして政治という分野をマネタイズしたのだろうか。
2. 政治についてよい意見をいうとトークンがもらえる
PoliPoliのビジネスモデルを簡単に解説すると、「政治についての話題で、他人から良いことを言っていると評価されたらトークンがもらえる」というものだ。
政治について語るのは、政治家でも市民でもどちらでもよい。誰もが発言権を持っており、評価されることでメリットが出る仕組みだ。
PoliPoliの特徴としては一次情報に特化した、率直な意見が出やすいことだろう。SNSなどのコミュニケーションツールが発達する前までは、問題点があればマスメディアが取材して、市民はそれをニュースを通して知るしかなかった。
たとえば、「交通量の多い交差点が通学路になっているので、歩道橋を設置して欲しい」などである。
しかし、マスメディアには日々多くの情報が入ってくるので、そのすべてを発信できるわけではない。また、基本的に多数の視聴者が満足するような番組構成を余儀なくされるので、政治家の発言も人気のある人ほどよく取り上げられるものだ。
では、「SNSで情報を発信すればよいのではないか」と考える人もいるだろう。
しかし、残念ながらSNSでは匿名性が高いため、情報としての信頼性に欠けてしまう。さらに、SNSの特徴として、いわゆる「荒らし行為」を行う人々がいるのも事実だ。せっかくまともな意見を述べていても、荒らされてしまうと建設的な議論はたちまちストップしてしまうだろう。
PoliPoliはそれらの問題点を解決するため、ブロックチェーン技術を活用して意見を堂々と言える場所を作り出した。情報の信頼性とまじめに意見交換できる場所を確保し、誰もが情報を発信できるプラットフォームを用意したのだ。
3. 市民側のメリット
市民側のメリットは、身近な場所で困っている情報をダイレクトに幅広い人へ向けて発信できることだろう。
PoliPoliは、多くのユーザーで政治議論を交わすことを目的としているので、国際問題や日本全体の問題といった、大きい枠組みでの話題を語ることも問題ない。
しかし、そのような話題はニュースで取り上げられる機会も多いので、基本的にはもっと身近な話題が語られることを想定している。たとえば、
・保育園を作ってほしい
・道路幅をもっと広げて欲しい
などという要望だ。身近な問題をテーマに掲げて情報を発信し、多くの共感を集めた場合には、発信者のユーザーにトークンが発行される。
3-1. PoliPoliスコアからみたメリット
他のユーザーからの評価が高い人物は、「PoliPoliスコア」がよくなる仕組みだ。
PoliPoliスコアは、自分が提供した話題への「いいね数」や、「政治家への配布トークン」「保有トークン」で成り立っている。
ブロックチェーンを活用してユーザー同士でやりとりされるトークンは、将来的に上場して売買できる可能性もあるので、保有しておくメリットがあるというわけだ。
また、保有しているだけでPoliPoliスコアは上がるので、情報を発信するモチベーションにもなるだろう。
PoliPoliのような政治を扱う分野は、政治家や政党にとっては非常に大きな関心を集めやすいが、一般市民のなかには「小難しい話題」として積極的にかかわろうとしない人もいる。
しかし、PoliPoliスコアやトークンといったインセンティブを用意して、ユーザーの関心を集めることにしたのだ。
そして、PoliPoliスコアを導入することで、情報の信頼性の担保や場が荒れることを防ぐ効果も期待できる。SNSが抱えている問題を解決するという意味でも、PoliPoliスコアやトークンは大切なのだ。
4. 政治家側のメリット
政治家側のメリットは、大きく分けて3つある。
4-1. お金について
トークンで得られる「お金」だ。
PoliPoliは誰でも参加できるので、市民だけでなく政治家も情報を発信する権利がある。つまり、議論を交わした結果、評価がよければトークンがもらえるのも市民と同じなのだ。
PoliPoliでもらえるトークンは、提携するサービスで活用できる。
たとえば、「アンケートによる世論調査」「パンフレットの印刷」などだ。世論調査やパンフレットの印刷は、一般市民にはあまり縁のない話であるが、政治家にとっては大きな支出の一つである。政治活動の支出の一部をPoliPoliのトークンで補えるというのは大きなメリットだろう。
4-2. 有権者に知ってもうチャンス
政治家のメリットの2つ目は、PoliPoliを利用することで有権者の理解が進むことが挙げられる。
政治家の活動は、一般市民からすると見えない部分が多いのは事実だろう。そのため、政治に関心のない市民からすると、政治家は普段どんなことをやってくれているのか、いまいちわからないものだ。
そのような状態では、選挙があったときに得票数を伸ばすのは難しいだろう。そこで、すでに政治家のなかにはSNSを利用して、情報を発信する人もいる。ニュースでは取り上げられない行動を積極的に発信していくことで、有権者に自らの功績を訴えるわけだ。
しかし、TwitterやFacebookのようなSNSでは閲覧者に特別なメリットはないので、閲覧者数を大きく伸ばすのは難しい。
しかし、PoliPoliではPoliPoliスコアやトークンといった市民側にメリットのあるシステムを導入することで、より多くの市民の関心を集められる。有権者に自らの功績をアピールするという点において、SNSよりも効果が期待できるだろう。
4-3. 信頼度の高い情報
政治家のメリットの3つ目は、正確なデータを集められることだ。
PoliPoliは情報の信頼性を確保するために、利用にあたって個人認証を基本としている。
また、市民は自らの保有するトークンを支援したい政治家に投げ銭することが可能だ。そのため、投げ銭してくれた人を解析することで、「自分を支持してくれている年代や性別」「どの地域で人気があるのか」といった情報を正確に把握することが可能なのだ。
自分の支持者たちを正確に把握することで、どの地区へ重点的に演説に行くかや、どの年代層を狙った施策をアピールするかといった具体的な戦略を描けるだろう。
5. PoliPoliのマネタイズとは
PoliPoliにおけるマネタイズは、基本的にトークンエコノミーの通貨発行益を想定している。
PoliPoliは2018年7月にベータ版の提供が始まったばかりであり、2019年2月時点ではまだサービスとしては試運転の状態というのが実情だ。
それにもかかわらず注目を集めているのは、政治という分野のマーケットの大きさに魅力を感じている事業者が多いからだろう。政治はひとそれぞれ主義主張が異なるので、かなり複雑な問題を抱えている。しかし、裏を返せば問題を解決すれば、かなり大きなビジネスチャンスになりうるのだ。
PoliPoliは、まだビジネスとして始まったばかりなので、まずは政治コミュニティを徐々に一般市民に浸透させていくことを目的としている。2019年には地方統一選挙や参議院選挙が行われる予定であり、政治コミュニティをより多くのユーザーに広めるチャンスになるだろう。
将来的には、政治家の動画配信や、議会に備え付けられているタブレット端末からリアルタイムで、市民と意見交換できるようなサービスの提供を検討している。いずれにしても、PoliPoli社としては、トークンの付加価値による利益をメインに運用しているので、ユーザー数を増やすサービスを展開していくことだろう。
6. PoliPoliの新しいビジネスモデルは今後も成長する可能性がある
PoliPoli社が提供するPoliPoliは、政治とテクノロジーを融合させた新しいビジネスモデルである。
政治という難しい問題を、ブロックチェーンによって一般市民に身近な問題として考えてもらおうとする理念から誕生した。
政治分野はこれまでマネタイズが難しかったが、今後はマーケットが拡大される可能性があるだろう。