ライザップの高収益ビジネスモデルと今後のマーケティング戦略とは

「結果にコミットする」というキャッチフレーズは、ダイエットに興味がない人でも聞き覚えがあるのではないだろうか。

このフレーズで一世を風靡したのが、パーソナルトレーニングジムのライザップである。
ライザップとは一体どんなジムなのか。
「結果にコミットする」とはどういう意味か。

さらに、急転落した原因や、今後の動向についても紹介する。

 

1. ライザップのビジネスモデルの特徴

急成長

短期間で急成長を遂げたライザップ。

ライザップとは、「結果にコミットする」というキャッチフレーズで一躍有名になった、パーソナルトレーニングジムである。

2010年に現代表取締役社長の瀬戸健氏によって設立された。

同ジム最大の特徴は、完全個室で顧客一人につき一人の専属トレーナーがつき、マンツーマンのトレーニングを行うという点である。

そのビジネスモデルは従来のものと何が違うのか。
ここでは、その特徴を紹介する。

1-1. 強く印象に残るCMとキャッチコピー

ライザップのことは詳しく知らなくても、「結果にコミットする」という同社のキャッチコピーには聞き覚えがあるという人も多いのではないだろうか。

また、暗い背景の中で見違えるようなビフォーアフターを見せるCMも、視聴者に強烈な印象を与える。

実際にCMの印象が強かったという体験者の声も多く寄せられている。
このように、ライザップは広告戦略に非常に長けているといえるだろう。

1-2. 物的資本から人的資本への転換

従来のジムといえば、トレーニングマシーンを設置し、顧客がそれを使って各自でトレーニングするという形が主流だった。

いわば従来のジムのビジネスモデルは、物的資本への投資がメインだったといえる。
しかしライザップは、マンツーマンの個別指導という形式をとり、トレーナーという人的資本への投資をメインとした。トレーニング回数は週2回であるが、専属トレーナーによるトレーニング指導、食事アドバイス、電話栄養サポート相談など生活全体を改善するメニューとなっている。厳しいトレーニングを乗り越えるため、必要に応じてメンタルサポートも行ってくれるため、継続するモチベーションを維持することができる。ここまでしっかりサポートするスタッフに投資することがライザップの人的投資の特徴である。

このように、ライザップは従来とは全く異なる新しいビジネスモデルをトレーニングジムに導入することで、成功をおさめた事例なのだ。

1-3. トレーニングだけではない!M&Aによる新たな価値の創造

ライザップは企業の買収にも非常に力を入れている。

美容・ヘルスケア業界のジャパンギャルズ、健康コミュニケーションズ、ライフスタイル業界のイデアインターナショナル、プラットフォーム業界の日本文芸社、サンケイリビング新聞社、またサッカーチームの湘南ベルマーレといった様々な企業をグループ会社にしている。

例えば、グループ企業の健康コーポレーションは、スキンケアや美容機器だけでなく、ダイエットや健康食品の商品も扱っている。ライザップの持つ顧客データを活用して商品を企画することが出来て、ライザップにも健康コーポレーションが持つ顧客データを活用した食事アドバイスなど、相互に顧客データを活用して成長していくことが出来るのだ。新たに顧客データを集めるコストや時間をかけずに、すぐにサービス検討に入ることが出来るということである。

様々な業種の企業を買収することで、こうした膨大な顧客データを取得し、新たなサービスを提供することや、より質の高いサービスを提供することに繋げることができるのである。

 

RIZAP GROUP

 

1-4. 30日間全額返金保証で最高のトレーニングを提供することをお約束

いかなる理由でも返金します。という言葉通り、結婚や引越しなどトレーニング内容に不満があった場合でなくとも、返金出来る制度になっている。それだけライザップのトレーニングは他社とは違う最高のトレーニング内容であることを表しているのだろう。

ライザップの料金は、普通のスポーツジムに比べてかなり高額である。しっかり結果を保証し、もし満足する結果を提供できなければ返金するという制度は、ユーザーの心をつかむものだといえる。

 

1-5. 徹底したコスト削減による高収益の実現

先にも述べた通り、ライザップは最新のトレーニングマシンを多数取り揃えるといった設備投資にかかるコストをかけずに運営している。だがそれ以外にも徹底したコスト削減を行うことで、高収益のビジネスモデルを実現しているようである。

その一つが立地。駅前にスポーツジムがあることも多いが、ライザップは駅から少し離れた場所に店舗を構えている。また、ライザップのトレーニングは筋肉トレーニングがメインだ。最新トレーニングマシンだけでなく、多くのスポーツジムにあるようなプールなどの設備がない為、それにかかるコストも削減することが出来ているのだ。

週刊ダイアモンド 人気爆騰!ライザップの秘密

2. なぜ急転落したのか

快進撃の続くライザップだったが、一転して2018年度上半期(4~9月)の連結決算では、純損益85億超の赤字に転落した。

原因は、多数の他業種企業に対しM&Aを展開したことだ。

経営不振の企業は再建を目指したが、思ったような成果が上げられなかった。

そのため、多くの子会社で損失計上し、赤字が膨らんでしまったのだ。
急成長にストップがかかったライザップだったが、2019年4~6月期決算では約14億円の営業黒字となり、4~6月期決算では10年連続で過去最高を達成している。

これは、成長から一転、赤字に陥ったライザップが、近年再びその勢いを取り戻していることを示している。

3. 社長の瀬戸健氏が考える、ライザップの未来

急成長を遂げ、グループ全体も拡大し、一時は停滞も見られたライザップ。社長の瀬戸氏は、今後どのような未来をライザップを通して描くのか。
その全体像を紹介する。

3-1. 蓄積したデータを生かし、「健康」にコミット

ライザップが今後注力していこうとするのが、「健康」にコミットする事業だ。20代から40代をメインターゲットとして「美容・ダイエット」、法人、ミドル・シニア世代をターゲットとする「健康・ヘルスケア」の2軸で更なる成長を考えているのだ。

ライザップはすでに顧客のビフォーアフターをもとにした膨大な量のデータを蓄積している。

これらのデータを生かし、ダイエットの先にある健康にコミットしていこうとするのが、瀬戸氏が考えるライザップの未来である。

 

3-2. 大学や医療機関との共同臨床研究

具体的には、大学や医療機関と提携し、共同で臨床研究を行っていくという。
すでに東京大学、東海大学、筑波大学などとの研究がスタートしているが、今後も多くの大学や医療機関との臨床研究を実施していく計画だ。

研究テーマはメタボに関連する生活習慣病、内臓脂肪の減少効果など多岐にわたるという。
研究で得られた成果は、学会等で発表していく予定だ。

3-3. シニア向けや、自治体でのトレーニング提供

また、シニア向けに、身体機能の維持や向上を目的としたプログラムを提供するという計画もある。メディカルトレーナーの育成などについても強化していくようだ。

それに加え、従来のジムでのマンツーマンのトレーニングではなく、自治体や法人などを対象に、複数人に対するトレーニングを実施する事業も展開するという。

4. 進化を続け、結果にコミットし続けるライザップ

ライザップを成功に導いたのは、従来のトレーニングジムとは異なる、人的資本に重きを置いた個別指導型のトレーニングを導入したことだ。
それにより成功を納め、膨大な量の減量や栄養に関するデータも蓄積した。

今後は、これらの培ったデータを生かし、ダイエットの先にある健康にコミットし、結果を出そうとしている。

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