完全自動運転で成功!株式会社ティアフォーのビジネスモデルとは

ドライバーがいなくても自動車を走行できる「完全自動運転」は、様々な業界から注目されている技術だ。

日本においては、株式会社ティアフォーが完全自動運転で積極的な挑戦を続けている。この記事では、ティアフォーのビジネスモデルを解説していく。

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1. 株式会社ティアフォーの歩み!どのような事業内容なのか

1-1. 自動運転のトップランナー

2015年8月、自動運転に関するオープンソース「Autoware」が公開された。
ほどなくして、12月には加藤真平により株式会社ティアフォーが創業される。

ティアフォーは完全自動運転プラットフォームの実用化に向け、研究と実験を重ねた。

そして、2017年には一般道路での自動運転テストを成功させる。
ティアフォーの功績は世界的にも認められ、2018年12月には米Apex.AI、英Linaro/96Boardsらと「The Autoware Foundation」を設立した。

このことで、Autowareは正式に世界進出を果たしたといえるだろう。
2019年6月には経済産業省事業が自動運転の安全性評価の標準ソフトウェアとしてAutowareを認定する。ティアフォーは自動運転というジャンルにおいて、日本のトップランナーに躍り出たのだった。

1-2. 大手企業が引受先となり巨額の資金調達に成功

ティアフォーが目指すのは自動運転システムの商用化である。
2019年時点ではまだ試用段階ではあるものの、業界内でのティアフォーに対する評価は高い。

そのため、投資家たちが融資をする先として、ティアフォーは有力候補に挙がっている。
2019年7月、ティアフォーは「シリーズAラウンド」の累計資金調達額が113億円に達したと発表した。

引受先にはKDDIやヤマハをはじめとした大企業がずらりと並ぶ。
それだけ、ティアフォーの技術が信頼を得ている証だといえるだろう。

2019年8月には資金調達が120億円を突破し、ティアフォーの勢いはいまだ止まらない。

2. 株式会社ティアフォーのビジネスモデルと理念は?

2-1. 新しいBtoG型ビジネスを提唱

自動運転のソフトウェアが必要とされるのは、過疎化地域などが中心だ。
しかし、自動運転はソフトウェアだけ調達すれば実現するわけではなく、専用車両も欠かせない。

株式会社ティアフォーはソフトウェアや地図と一緒に車両も研究開発し、実用化までの道のりを進めている。
ただ、車両を過疎地域に運搬するコストを考えれば、従来のBtoBやBtoCのビジネスが成り立ちにくいのが現状だ。そこで、ティアフォーは「BtoG」型のビジネスを提唱する。企業(Business)から公的機関(Government)へと取引を行い、国から予算を計上してもらおうという考え方だ。

ティアフォーのビジネスモデルは、社会問題の解決を目指すうえで非常に重要である。

2-2. 創造と破壊を目指す

ティアフォーはもともと、大学で自動運転の研究をしていた集団によって立ち上げられた。
今もなお、向学心と挑戦心は変わっていない。加藤氏はティアフォーの理念を「創造と破壊」だと語る。

従来の価値観を壊し、新しいビジネススタイルを確立するのがティアフォーの目指す場所だ。
過疎化地域への自動化普及にこだわるのは最たる例だろう。

単純に売上だけを考えれば、都市部をターゲットにしたほうがビジネスは続けやすい。
しかし、多少の苦労があったとしても、より切実な需要のある過疎化地域に進出したいとティアフォーは考える。

その姿勢からは、利益だけを追う企業にはなかった、仕事の本質が見えてくるだろう。

3. 株式会社ティアフォーが自動運転の分野で成功した秘訣

3-1. オールラウンダーとして成功

自動運転を研究してきた企業はティアフォーだけではない。
それでも、ティアフォーが業界トップに立てたのは、事業性に縛られなかった点だろう。

たとえば、ティアフォーは自動運転システムの開発だけにとらわれているわけではない。
自動運転を導入した後、どのような物流システムを構築するのかのサポートアップまで担当している。

自社のスキルを生かせる分野であれば、積極的に請け負っていこうという気持ちがティアフォーにはある。
単なる研究組織ではなく、営利組織として成長していくため、ティアフォーは柔軟に仕事と向き合ってきた。
その結果、「オールラウンダー」を自称するまでになったのだ。

3-2. 広い問題意識を持つ

勘違いしてはいけないのは、ティアフォーは「売上になれば何をしてもいい」という考え方の企業ではない点である。
ティアフォーは自動運転システムの研究開発において、明確な倫理観を持っている。

たとえば、雇用問題について、ティアフォーは解決の糸口を探り続けている。
自動運転が導入されれば、ドライバーの首切りなどに発展しかねない。

だからこそ、ティアフォーは「運転手不足の解消」というテーマを掲げてビジネスを行っている。
自社の利益に留まらない広い問題意識が、結果的にティアフォーを業界トップの企業へと押し上げたのだ。

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4. 株式会社ティアフォーが残す今後の課題について

4-1. 技術以外に立ちはだかる壁

Autowareをはじめとする株式会社ティアフォーの技術力は、世界中で認められている。
今後、ティアフォーは世界中でAutowareを導入するための国際組織を強化していくことに注力する方針だ。

そして、ティアフォーが組織の中心としてAutowareのチューニングやカスタマイズを担当する流れを目指す。
ただ、技術面では申し分ないだけに、ティアフォーが課題とするのは既成の価値観や風習との向き合い方だろう。

そもそも自動運転への懐疑論は完全に払しょくされてはいない。
地域性や地形によっては、自動運転に適していないエリアも残されている。
環境に制限されず、自動運転を導入していけるかはティアフォーが取り組んでいくテーマとなる。

4-2. ときには体制そのものを変えていかなくてはいけない

採算性も、自動運転を研究する以上は無視できないポイントだ。
ティアフォーが掲げるように運転手不足の過疎化地域へAutowareを導入したとしても、収支がプラスになることはない。

そのような事業へと積極的に取り組もうとする公的機関は少数派だろう。
つまり、ティアフォーが変えていかなくてはいけないのは消費者心理というよりも、行政そのものとなる。

ティアフォーは法規制や倫理についても学び続けており、理想論を押し付けるのではなく、冷静に行政との落としどころを探している。

両者にとってのメリットが明確になったとき、自動運転は全国的に推進されるだろう。

5. 経営者なら参考にしたいティアフォーのビジネススタイル

5-1. 目的を先に考える

技術者が起業する際、陥りがちな罠が「技術の追求が利益になる」という思い込みである。
確かに、他社にはない技術を開発すれば有利になるのは間違いない。

しかし、技術のアピールだけに留まり、実用化の目途が立たなければ投資先として魅力はないだろう。
ティアフォーは「運転手不足の解決」「自動運転のグローバル展開」といった目的が明確だった。

目的を達成するためなら、強みであるAutowareにこだわらず、柔軟な提案ができる。経営者なら、目的に則した戦略を立案するようにしよう。

5-2. 倫理観を持って仕事をする

利益にこだわるあまり、企業が持ち合わせるべき倫理性を欠いてしまっては意味がない。
一部の消費者の得を優先して、ほかの消費者を切り捨ててしまってはマーケットが先細っていくだけだ。

ティアフォーは過疎化地域の問題を研究したうえで、郵便や宅配便が少なくなっている現実を変えていこうという道徳観を維持している。
ティアフォーの壮大なビジョンは、つまるところ、高い道徳観念に基づいているといえるだろう。

ビジネスでは目先の利益だけにとらわれて、理念がブレてはいけない。創業当時の気持ちを忘れず、筋の通った経営を心がけよう。

6. 株式会社ティアフォーは創造と破壊を生み出すイノベーター

既存の価値観を破壊し、新たな価値観を創造する株式会社ティアフォーは、技術関係の企業における良き手本となるだろう。
ティアフォーのビジョンは世界レベルであり、実現までの道のりは多くのビジネスパーソンに刺激を与えてくれるはずだ。

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