ZOZOTOWNビジネスモデルから学ぶ高収益を得る物流システム構築の方法

ファッションEコマースサイトZOZOTOWNを運営している株式会社ZOZO(旧名:スタートトゥデイ)は現在最も注目されている企業のひとつである。

その理由は圧倒的な利益率の高さだ。

そこで今回はZOZOTOWNのビジネスモデルの仕組みと、どのようにして高い利益率を実現しているのかについて詳しく解説する。

1.  ZOZOTOWNの3種類の出店システム


ZOZOTOWN

株式会社ZOZOのメインとなる事業は、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」の運営だ。

ZOZOTOWNはさまざまなテナントが出店するモール型のサイトであり、出店には受託ショップ、買取ショップ、「ZOZOUSED」の3種類がある。

1-1. 受託ショップ

受託ショップは商品をZOZOTOWNの物流拠点に受託在庫として預け、売れるとZOZOTOWNの物流拠点から発送される方式だ。

この場合、売れた際には受託販売手数料を支払う。2018年3月の時点で1105店舗が加盟している。

1-2. 買取ショップ

買取りショップはZOZOTOWNが商品を買取る方式だ。

2018年4月時点で買取りショップとなっているのは6店舗だ。

1-3. ZOZOUSED

そのほか、個人などから中古として買取ったアイテムはZOZOTOWN内の中古品販売サイトであるZOZOUSEDで販売できる。

この場合、商品が売れると発送は販売者自身が行う。

2. ZOZOTOWNの売り上げ増加に貢献するWEAR事業

また、ZOZOは主要事業の一つとしてスマホアプリ「WEAR」を運営している。

WEARは公式サイトの定義によれば「ファッション市場全体の活性化をその目的とした、日本最大級のファッションコーディネートアプリ」だ。
2017年12月末の時点で1000万ダウンロードを突破するなど、大きな注目を集めている。
WEARでは、実店舗で販売されているファッションアイテムのバーコードを読み取ることができる。

そうして読み取ったバーコードをアプリ内に保存することで、同じものがZOZOTOWNにあればそれを購入できるというわけだ。

また、自身のコーディネート写真を投稿することによってほかの人からのコメントがもらえるなど、ファッションに特化したSNSのような機能もある。

さらに、このWEARに投稿されたコンテンツからZOZOTOWNへユーザーを誘導することができるだけでなく、このアプリ自体がひとつのメディアとなることで広告枠を提供している。

3. プライベートブランド事業は将来的に撤退


ZOZOSUIT

そのほか、ZOZOはプライベートブランド事業も行っている。とりわけ有名なのは、自分の体型を測ってくれる「ZOZOSUIT」だ。

ZOZOSUITは黒い全身タイツのような形状をしており、それを着たユーザーがスマホで自分を撮影してZOZOTOWNに送ると、そこから体型を計測できるというものだ。

このZOZOSUITを使用することにより、購入者はネットで服を購入する際に多く起こりがちなサイズ違いの問題が発生しにくくなるというメリットがある。

その一方、ZOZO側にとっても膨大な顧客の体型データを入手してそれを活用できる、というメリットがある。

このデータを活用してZOZOのプライベートブランドでは商品あたり数千パターンのサイズ幅を展開している。

あらかじめ需要が見込まれるサイズについて多く在庫を仕入れておくことができるので、迅速に購入者へと発送できるわけだ。

ただし、このプライベートブランド事業はコストが高く赤字が続いていることから、将来的には撤退すると発表されている。

4. ZOZOTOWNの純利益はなぜ高いのか?

ZOZOTOWNが新進企業の中でも高い注目を集めている理由は、純利益の高さだ。

ZOZOTOWNの売上高はおよそ1000億円弱と、ファッション小売業界の中では小規模にすぎない。
しかし、純利益は約200億円となっており、他の企業と比較しても圧倒的な高収益を実現しているのだ。

こうした高収益を実現している理由として挙げられるのが、ZOZOTOWN独自のビジネスモデルだ。

ZOZOTOWNにテナント出店した場合、商品が売れるとおよそ28%程度の受諾手数料を支払うことになる。

この受諾手数料率は、楽天やアマゾンといった他のEコマース企業と比較してもかなり高い金額だ。

それにもかかわらず、2018年3月現在で1105店舗ものアパレル企業がZOZOTOWNに加盟している。つまり、28%という高い受諾手数料を支払っても充分にメリットがあるということだ。

4-1. ZOZOTOWNが物流業務を引き受けている

では、そのメリットとはどのようなものなのだろうか?

そのメリットは、大きく分けて、2つある。

まずひとつめ、ZOZOTOWNは商品の物流に関するフルフィルメント業務を一手に引き受けてくれるという点だ。

ZOZOTOWNにテナント形式で出店すると、商品を受託在庫として預けることになる。

そうするとZOZOTOWN側で商品の写真撮影などが行われ、サイトに掲載される。

商品が売れた場合には、ZOZOTOWNの物流拠点である「ZOZOBASE」から商品が発送されるというわけだ。

ZOZOTOWNが物流を引き受けてくれることにより、出店企業は梱包や発送という業務から解放される。

仮に注文が突発的に増加した場合でも、対応できないといったリスクを避けることができるのだ。

4-2. 即日配送サービスによって商品到着日数の短縮

ふたつめは、ZOZOTOWNはサイト内の販売を一手に引き受けることで高品質な配送サービスを実現しており、即日配送サービスなども行っているということだ。

そのため、自社で発送するよりも到着日数を大幅に短縮化できるというのも、出店企業にとって大きなメリットだ。

4-3. ZOZOTOWNは在庫のリスクがない

他社にとってメリットがあるのと同様、一方では、ZOZOTOWN側にとっても受託販売というのはメリットが多い。

なぜなら、ZOZOTOWNが抱えている在庫の所有権が各ブランドにあるということは、仮に売れ残ったとしてもそのリスクを負うことがない、ということだからだ。

ZOZOTOWNはサイトとしては大量の在庫を抱えていながら、実質的には在庫のリスクがない。

その分、経営的にも安定した状態でビジネスを続けられるというわけだ。

5. 楽天など他企業との違いとは

まず、よく比較の対象となる楽天との違いは物流の仕組みにある。

5-1. 楽天との違い


楽天

楽天もZOZOTOWNと同じようにサイトへのテナント出店料が収益の中心だ。

しかし、楽天は独自の物流機能を持っておらず、出店している各店舗がそれぞれ商品を発送している。

これは楽天の販売している商品には食料品など長期保存でないものが多いことが大きな理由だ。

一方、ZOZOTOWNは長期保存の可能なアパレル商品を扱っている。

受託販売のため、商品の撮影や問い合わせ、販促も基本的にZOZOTOWN側で行っているのだ。

こうしたことから、同じテナント出店料を収益の中心とした企業であるにも関わらず、ZOZOTOWNと楽天では収益率に大きな差が出ている。

楽天のテナント出店料がおよそ2~7%程度であるのに対し、ZOZOTOWNの受託販売料はおよそ28%だ。

その分楽天では自社で商品画像を用意しなければならなかったり、出店者が自ら発送しなければならなかったりする。

5-2. アマゾンとの違い


アマゾン

同じくEコマース企業として最大手のアマゾンは、ZOZOTOWNと同じように独自の物流拠点を備えている。

しかし、アマゾンの場合、販売している商品の多くはアマゾンの在庫だ。

一方ZOZOTOWNは一部プライベートブランドも販売しているものの、その比重はかなり少ない。

アマゾンのように在庫リスクを抱えずにビジネスを展開している、というのもZOZOTOWNの大きな強みといえるだろう。

6. ZOZOTOWNの物流の仕組み


ZOZOTOWNは完全自社完結型の物流センターと物流システムを「ZOZOBASE」として運営している。

ZOZOBASEで行っているのは、
・入荷
・撮影
・採寸
・保管
・梱包
・発送
といったフルフィルメント業務全般だ。

物流センターには撮影スタジオが完備されており、カメラマンとモデルが常駐している。

ZOZOBASEでは常時4000近いブランドの商品があり、1日に2900点もの新商品が届くといわれている。

これらの商品が入荷するとわずか数時間で商品がサイトに掲載され、注文があると即日から数日という短時間で顧客の元に届く仕組みとなっているのだ。

そういったスピード感と柔軟性を持ったオペレーションが提携企業にとって大きな魅力となっている。

こうしたオペレーションを実現するため、ZOZOBASEの構築時には出荷の作業効率を高めるための設備投資に数十億円を投入したといわれている。

ZOZOBASE完成後も設備の追加や刷新に対する投資を実施することで、さらなる拡張が予定されている。

そうして取り扱いブランドや商品数の増加にも対応できるようにしているのだ。

7. 低リスクで高収益を実現しているZOZOTOWN

ZOZOはその収益の大部分をZOZOTOWNの販売受託手数料から得ている。

競合サイトと比較しても高く設定されている販売受託手数料は、物流システムの完成度の高さによって保障されている。

そうして販売手数料をメインの収益にすることにより、ZOZOは自らは在庫を持たずにビジネスができる、という低リスクも実現しているのだ。

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