ブラックホールの研究で知られるスティーヴン・ホーキング博士は、物理学の世界で大きな衝撃を与える研究を行ってきた。
固定観念にとらわれず、常に進歩を続けてきた博士の人生や名言をたどれば、ビジネスシーンの参考にもなるだろう
この記事では、スティーヴン・ホーキング博士の波乱万丈な生い立ちや感情豊かな人となりをじっくりと解説していきます。
目次
1. スティーヴン・ホーキングってどんな人?重い障害を乗り越えて
1-1 オックスフォード在学中に発病
理論物理学者のスティーヴン・ホーキング博士は1942年にイギリスで生まれた。
彼の半生は、映画「博士と彼女のセオリー」でも描かれている。
その生い立ちは波乱万丈としかいいようがない。
ホーキング博士は、17歳で名門オックスフォード大学に入り、本格的に物理学の研究を始める。
幼いころから天才と周囲から評されてきた博士は、大学でも突出した学生となっていった。
ところが、博士は在学中に筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症してしまう。
病気が進行していくにつれて、歩行はおろか会話もまともにできなくなってしまった。当時の医学で博士の寿命は長くないとみなされていた。
1-2 障害を抱えながらも宇宙の研究に没頭
しかし、幸いなことに博士はALSの進行を食い止めることに成功した。
それでも、重度の障害は残ってしまう。
ホーキング博士といえば、車椅子姿を思い浮かべる人が多いのもそのためだ。
また、博士は晩年、コンピュータの合成音声によってコミュニケーションを図ろうとしていた。
それでも、病気は博士の頭脳までむしばめなかった。
障害を抱えながらもホーキング博士は一般相対性理論を深く研究し続ける。
そして、生涯を通して物理学の新発見を発表し続けた。
ハンディキャップは夢をあきらめる理由にならない。博士は自分の人生を通して、人間の知性の可能性を証明したのである。
2. スティーヴン・ホーキング博士の主な研究内容とは
2-1 若くして世界中に知られる存在へと
在学中からホーキング博士は独特な理論で学界を揺るがしていた。
代表的なのは、ブラックホールの「特異点定理」だろう。
ホーキング博士にとって、ブラックホールは長年の研究課題であり続けた。
ホーキング博士は最初に、ブラックホールの内部で事象はどのように起こっているのか疑問に思った。
そして、一般相対性理論では説明できないイレギュラーな場所がブラックホールの内部だと結論づける。
そのうえで、ブラックホール内部を特異点と呼び、外部への影響がないことを理論的に証明してみせた。
ホーキング博士の名前は、特異点理論によって世界中に広まったのだ。
2-2 ベストセラー作家としても人気に
その後もホーキング博士は、精力的に学問の道を突き進んでいった。
1974年には有名な「ホーキング放射」理論を発表する。
ホーキング博士は、ブラックホールが素粒子を放出しているとして、やがて爆発を起こすと説明した。
その後、同様の現象が実際に観測され、ホーキング放射は裏付けられることとなる。
しかし、ホーキング博士が一般層にも知られるようになったのは著作の面白さが大きいだろう。
彼は、宇宙の奥深さや魅力を誰でもわかるような言葉で解説した。
著作の数々で書かれている内容は、高度にもかかわらず読みやすいだろう。
ホーキング博士を作家として敬愛している読者は後を絶たない。
3. 感情豊かな一面も!思想から見えるホーキング博士の人となり
3-1 AIやSNSの危険を説いた
高度な理論と計算に裏打ちされたホーキング博士の研究を調べていくと、彼がコンピュータのように思えてくるだろう。
しかし、実際の博士は感情的な部分をたくさんみせてきた人間である。
成功者は理屈だけで動くのではない。
崇高な理念と正しい欲求を抱き続けた者が、大きな成果を挙げられるのだと教えてくれる。
たとえば、晩年のホーキング博士はAIの台頭を恐れる発言を残している。
さらに、一部のSNSが体制的になりつつある状況にも警鐘を鳴らしていた。
博士にとってテクノロジーは「進化さえすればいい」ものではない。
人類のためになるからこそ、意味があると考えていたのだ。
3-2 既存の思想にとらわれない
ホーキング博士は、しばしば「社会で科学が敬意を払われていない」との旨を述べていた。
彼にとって科学とは、筋道を立てて自分の頭で物事を考えることである。
もしもすべての人間が彼のように頭を働かせたら、一部の独裁者に人生を委ねはしないだろう。
そして、既存の思想にとらわれず柔軟な考え方ができるようになるのではないだろうか。
ホーキング博士が若いころ、誰も一般相対性理論の絶対性を疑ってなどいなかった。
しかし、ホーキング博士は「一般相対性理論は通用しない状況もあるのではないか」
という過程から研究を進めていった。
変化を恐れなければ、誰もがパイオニアになる可能性を秘めている。
4. スティーヴン・ホーキングの名言にビジネスを学ぼう
ホーキング博士はさまざまな種類の名言を残している。天才が困難や苦悩を経て残した言葉は、学問以外の道でもヒントを与えてくれるだろう。
4-1 「私の目標はシンプル。宇宙を完全に理解すること」
仕事をしていると、目先の作業にばかり意識が向けられて大きな目標を忘れてしまうこともあるだろう。
「何のためにどんな作業をしているのか」について自覚しておかないと、「作業のための作業」が繰り返されていく。
ホーキング博士は「宇宙を理解する」という生涯の目標を忘れはしなかった。
4-2 「行き詰まっても、逆上してはいけない。何が問題かを考え、他の方法を試す」
ホーキング博士が「ブラックホール情報パラドックス」を証明するのに費やした期間は29年だった。
プロジェクトが停滞しているとき、感情的になっても解決にはならない。
冷静に問題を受け入れ、間違いを探すしかないのだ。
答えはいつ出るかなど予測できない。
それでも、動かなければ絶対に状況は改善されないといえるだろう。
4-3「神は存在しない」
晩年、ホーキング博士はあらゆる宗教に対して、神の存在を否定した。博士が宗教や信仰心を侮辱していたわけではない。
ただ、博士は自分で調べ、見たものしか信じようとしなかった。
同じように、ビジネスで成功を収めたいのであれば、あやふやで楽観的な情報を信じてはいけない。
自分の頭で考えて導き出した結論なら自信を持って主張できるだろう。
5. ビジネスパーソンも読みたいホーキング博士の著作3選
ホーキング博士の著作はいずれも優れた内容ではある。ここではあえて、ビジネスパーソンに役立つものを3つに絞ってみた。
5-1「ホーキング、宇宙を語る」
1989年に発表された、世界的ベストセラーだ。ホーキング博士が自分の生涯、病気を振り返りながら宇宙を形成する理論を解説していきたい。今までわれわれが深く考えてこなかった事象にも、成り立ちと終わりがあるということを彼は語る。何気ないデータにも、裏側には深い物語がある。仕事に取り組む際の視点について考えさせられる一冊だ。
5-2 「ホーキング、未来を語る」
宇宙や時間について、さらに深い理論が登場する内容だ。読み物としても楽しいものの、「自分が宇宙の中心である」というテーマは啓発的でもある。
勝手に自分の可能性を決めつけてはいけない。
どんな場所でも思考と想像力は自由である。本書には、柔軟な発想を身につけるためのヒントがあふれている。
5-3「ホーキング、自らを語る」
全著作の中で、最も詳細にホーキング博士の人生が語られた本だ。
注目したいのはやはり、病気との向き合い方だろう。
「それほど研究の妨げにならなかった」という文章からは、博士の研究にかける情熱が伝わってくる。
何かを言い訳にしている限り、成長することはできない。与えられた環境で精一杯努力すれば道は開けるだろう。
6. スティーヴン・ホーキングの生き方に社会人としてのあり方を学ぶ
突拍子もないといわれてきたスティーヴン・ホーキングの宇宙論は、いまや常識として世界に定着している。
ビジネスの世界でも、誰かの真似をするのではなく新しいことを始める勇気を持ってみよう。
ホーキング博士の人生は、すべての社会人に希望を与えてくれる。