アメリカで、ドローンによる運搬の実用化に向けた試験が行われた。空撮するイメージが強いドローンだが、実際には測量、災害救助や運搬などでも活用されているのは、ご存知だろうか?
ドローンに注目する業界は多く、ビジネスチャンスとなるのは間違いない。
そのために、まず知ってほしいことは、ドローンを飛ばすには、ルールがあるということだ。
今回は、ドローンにできることや、日本でのビジネスチャンスについて迫っていく。
アメリカ初! 商用定期配送に向けて
アメリカでテスト運送されたのは、医学的試料(サンプル)だ。
貨物運送会社UPSとドローンメーカのMatternetがパートナーシップを結び、ドローン配送の実用化に向けた試験プログラムとして行われた。
テスト飛行したのは、病院とラボの間。これまで人間が約30分かけて輸送していたサンプルが、ドローンだと3分で届けられるという。
3分であれば、拠点となるラボを増やすことなく、1ヶ所にて行うことができる。
つまり、運搬の時間短縮に加え、人件費の削減にもなるのだ。
アメリカでも、ドローンの商用定期配送は初となるため、この試験結果への注目は高いだろう。
ドローンは「モラルと知識」でビジネスチャンスを掴む
さて、ここで考えたいのは、日本でも同様のことができるのか? ということ。結論から言えば、現行の規制ではできないのだ。
あまり知られていないが、ドローンを飛ばすにはクリアしなけらばいけないことがある。それが、「飛行禁止区域」と「飛行ルール」だ。例えば、人口が集中している区域で飛ばしてはいけない・日中で肉眼で監視できる範囲であること、飛ばせる区域や時間が限られてしまう。
実際、日本郵便などドローンによる運送実現に向けて、テスト飛行を続けているが、規制以外の問題として、盗難・積載重量・墜落、これをどうクリアするのかとなる。
現行の規制で可能だとすれば、レストランや旅館など敷地内にある離れ家や個室に、料理やドリンクを届けるというのはどうだろう。従業員と接することなく過ごせること、そして、アトラクションの一つとして楽しんでいただくことができる。
さらに、もう一歩踏み込んで考えてみたい。
こうしたサービス業以外にも、ドローンを事業に取り入れたいと考える企業は多い。しかし、ドローンに関する規制を知る人、飛ばせる人は、ほとんどいない。ビジネスである以上「そんなルールは知らなかった」では、すまされないし、罰則もある。
ならば、ドローンのことを熟知している人材を育てるのはどうだろう? ルールを守り飛ばすことができる人材を育てたり、派遣するのはどうだろう? 可能性は無限だ。それだけに、ドローンをビジネスチャンスとしないのは、もったいない。
現在、国が定めるドローンを飛ばすための必須講座や資格はないが、民間資格や学校がある。これもドローンをビジネスチャンスとした一例だ。
ドローン事業は、「モラルと知識」を知るものこそ先駆者となれる。