2018年、フリマアプリ「メルカリ」の上場により、国内ITベンチャー企業への関心は一気に高まりました。
個人投資家はもちろん、ソフトバンクグループやトヨタ自動車、KDDIなどの大企業からのITベンチャー企業への投資も急加速している今、ITベンチャー企業への就職・転職を目指す方も多いのではないでしょうか。
しかし、「大企業に就職した方が安心なのではないか?」「実際、給与の面はどうなのか?」「自分に合っているのはどういった働き方なのか?」と、キャリアプランの立て方で悩まれる方も少なくないのではないでしょうか?
今回は、そんな大注目のITベンチャー企業について、徹底的に分析・ご紹介していきます。
是非、今後のあなたのキャリアプランの構築に役立てていただけたらと思います。
目次
1. ベンチャー企業とは
ベンチャー企業について、あなたはどんなイメージを持っているでしょうか。
「社長が若くて小規模な会社?」「新しい情報技術を開発・運営している会社?」
1-1. ベンチャー企業の定義
実際の所、ベンチャー企業の定義というのは様々で、サイトや団体によって見解が異なっています。
多くの場合は新しい技術やアイデア・知識をもとにサービスやビジネスを展開し、長期的な成長を目的とした企業のことを指しています。企業としては成長途中の場合が多く、投資機関より援助を受けている企業も多くあります。
しかし、ベンチャー企業は、展開するサービスやビジネスが必要とされるものであれば、短期間で急速に成長する可能性を秘めています。
また、「ベンチャーランキング」や「メガベンチャーランキング」を見てみると、ITベンチャー企業が多くあげられています。それだけIT事業がベンチャーとしてスタートしやすく、ITベンチャー企業が、今後注目されているということなのかもしれません。
1-2. 中小企業とベンチャー企業の違い
「中小企業」とは企業の規模を表す言葉であり、資本金や従業員数に取り決めが存在しています。
(資料:中小企業庁)
その点では、中小企業の中に含まれるベンチャー企業も存在するというわけです。
そして、ベンチャー企業の特徴が規模ではないという事であれば、DeNAやサイバーエージェントなど、大企業と同規模企業へと成長した企業も、ベンチャー企業というわけです。
つまり、中小企業とベンチャー企業は、資本金や従業員数によって分けられるものではなく、企業の状態やビジネスモデル、安定性という点になります。
2. キャリア選択最初の壁「大企業vsベンチャー企業」
2-1. 大企業とベンチャー企業の働き方の違いとは
あなたがキャリア選択を迫られた際に、「大企業」と「ベンチャー企業」を比べ、悩む方も多いのではないでしょうか。
同じIT業界であっても、その働き方の違いは大きく、あなたのキャリアを大きく左右する選択となります。
大企業とベンチャー企業。ここでは、それぞれのメリットデメリットをご紹介します。
あなたの理想とする働き方は、どんな企業にマッチするのか、キャリアプランの材料にしてみてくださいね。
2-1-1. 歴史と知名度が信頼の証。「大企業」で働く
メリット
KDDI(株)やソフトバンクグループ等、日本において知らない人はいないであろう大企業で働くメリットは、やはり多少の景気に左右されることがなく安定している点です。
社会からの信頼がある為、大企業に勤めているという事が自身の誇りにも繋がります。福利厚生も整っており、ライフステージが変わっても働き続けることができる場合が多いです。
資金力が有る為、スケールの大きな仕事に携わることができるのも魅力の一つです。
デメリット
企業の規模が大きくなればなるほど、個人の裁量権は小さくなっていきます。やりたい事があっても、実現するに至らない。希望の部署に配属すらされない。等、自由度の低さ=やりがいの低さとなる場合もあります。
多くの人材を抱えているが故、役職に就くまでの道のりが遠く、先輩や上司との人間関係の難しさを感じることもあるでしょう。
2-1-2. 新規事業を軸に急成長を遂げたベンチャー企業 「メガベンチャー」で働く
メリット
DeNAやサイバーエージェントに代表されるメガベンチャーは、時代の流れを先読み、先行する経営で急成長・変化を遂げており、事業に成功し上場をしたり、規模を大きくしている組織の大きなベンチャー企業を指します。
メガベンチャーでは、若くしてスケールの大きな仕事に挑戦したり、大口の顧客を担当したりと、スピード感と責任感、決断力を持って、自身の力で仕事を進めるスキルを身に着ける事ができます。
仕事ぶりや成果によって年齢に関係なく評価され、役職や給与へ反映されやすいのも、大企業にはないメリットです。また、ベンチャー企業よりも福利厚生が整っている傾向があります。
デメリット
ベンチャー企業に比べると運営の基盤が整えられている場合が多く、すべてをゼロから作っていく。という手応えは感じにくいかもしれません。
任される仕事が大きい分責任も大きくなりますが、成果主義のプレッシャーに負けることなく、前向きに自ら動き続けられる人材でないと、スピーディな社内の動きから取り残されてしまうこともあります。
給与や福利厚生の面でも、大企業と比べると若干低い水準となる場合があります。
2-1-3. 新技術や新しいサービスで、市場を開拓するスタートアップやベンチャー企業で働く
メリット
会社規模が小さく、個々の裁量が大きくなります。経営者との距離が近く、風通しが良い企業が多いです。
「やってみたい」というアイデアが自身の計画と行動により、会社の利益に直結します。
会社が成長していくのを身近で感じられるので、大きなやりがいを感じることができます。
年功序列ではなく、能力とアイデアを持った人材に仕事を任せていきますので、仕事の幅は広く、タスク処理スキルも上げることができます。
デメリット
大企業やメガベンチャーと比べ、会社自体が不安定という点は不安要素です。
また、人材が足りていない企業が多く、個々の仕事の幅が広い為、オーバーワークになりがちです。繁忙期には日々の処理が追い付かず毎日残業・泊まり込みという場合もあるでしょう。
現場・事業第一の企業が多い為、教育制度・福利厚生の面でも、不満を感じることがあるかもしれません。
2-2. 数字から見る大企業とベンチャー企業の違い
次に、実際に大企業・ベンチャー企業の従業員数・平均年齢・平均年収にはどんな違いがあるのか、まとめてみました。
大企業
(資料:YAHOO!JAPANファイナンス 2019年1月時点)
ベンチャー企業
(資料:YAHOO!JAPANファイナンス 2019年1月時点)
大企業では年功序列のシステムが残っている場合が多く、年齢が高くなるにつれ、年収も上がる傾向がありますが、これだけの従業員数の中で、役職に就き、高い年収を得ることができる人材は一握りです。
その点20代や30代の若年層でも、役職や成果によってはベンチャー企業の方が年収が高い場合もあります。
3. ITベンチャー企業で活躍できる人材とは
では実際にITベンチャー企業では、どんなスキルやマインドを持った人材を求めているのでしょうか。
3-1. 目的意識を持ちセルフスタートできる
成長し始めたばかりの企業では、顧客・教育・マニュアルをはじめとする基盤が整っていないことが殆どです。
その中で、自ら考え・行動することは絶対的な条件です。いかなる時でも、ポジティブな思考を持ち、ゴールを設定することはもちろん、課題を見つけ軌道修正していくのも自分自身です。
ITベンチャー企業は、常に変化し成長しています。そのスピードに乗るだけではなく、周りを巻き込みスピードを創り出せる人材でなくてはなりません。
3-2. スピーディにマルチタスクをこなす
他に負けない専門知識や技術はあるに越したことはありません。
しかし、仕事量に対して、十分な人材を確保できている企業は少ない為、決められたタスクをこなすだけでなく、担当以外の業務もこなしていく技量を必要とします。
得意領域以外の業務であっても、「私がやります」というフレキシブルなスタンスを持って取り組むことで、自らの仕事の幅を広げ、成長することができます。
3-3. キャリアプランを持つ
ITベンチャー企業には、決められたエスカレーター式のキャリアは存在しません。明確なビジョンを描き、自身のキャリアプランを実現する為に、会社を1つのステップとして、前を向き続けることが必要です。
会社にやらされている仕事ではなく、自分自身が成長するためにする仕事であれば、やりがいも感じられるはずです。
3-4. 起業を目指す
ITベンチャー企業には、将来起業したいという思いを持っている人材が多く、同じ志を持つ仲間と切磋琢磨できる環境は、仕事や起業へのモチベーションに良い影響を与えてくれます。
また、一社員でありながら、会社の全容を見渡すことができ、どんな業務でもやらざるを得ない中で、応用力を身に着ける事ができます。「起業をする」という目標が定まっている人材であれば、目の前の失敗に挫折することなく、ポジティブに突き進んでいけるはずです。
4. 編集部厳選!大注目ITベンチャー企業ランキング
2018年6月、経済産業省は、世界で戦い、勝てるスタートアップ企業を生み出し、革新的な技術やビジネスモデルで世界に新しい価値を提供することを目的とした、「J-Startup」をスタートしました。政府が潜在力のある企業を選定し、民間からの支援を集中することで、成長促進していくプロジェクトです。
現在、国を挙げてITベンチャー企業を育てていこうという施策が始まっているように、その働き方に注目が集まっています。
ということで、編集部厳選の今後注目のITベンチャー企業をご紹介します。
4-1. 株式会社サイバーエージェント
メディアでも度々話題になるメガベンチャーです。
ネットベンチャーを中心とした投資事業を主力に、ネットによる広告、メディア、物販を展開しています。
スマホ向けコミュニティーサービス、ゲーム、エンタメなど新しい事業・子会社を設立し成長し続けています。
様々なインターンが開催されているため、要チェックです。
4-2. LINE株式会社
今やスマホユーザーには必須の「LINE」を始め、「NAVER」「livedoor」のウェブサービスに関する事業を展開しています。
現在は、金融やAIサービス開発へも投資を始めており、今後どう成長していくか楽しみです。
4-3. UUUM株式会社
YouTuberを中心とするクリエイターのサポートやコンテンツ開発を行っている企業です。
はじめしゃちょーやHIKAKINなど、日本トップクラスのユーチューバーが所属しています。
今後は、インターネット動画業界でのさらなるシェア獲得、新コンテンツ、EC事業の拡大を目指し、さらなる成長が期待されます。
4-4. クルーズ株式会社
インターネットコンテンツ事業(ソーシャルアプリケーションプロバイダー)。
インターネットコマース事業 (SHOPLIST.comなどの運営)
2018年すべての事業を子会社化。
エンジニアの誰もが企画も開発も自由に活躍できる組織体制を売りにしており、採用にも積極的な企業です。
4-5. Fringe81株式会社
インターネット広告技術の開発/コンサルティング/ HRテック領域等におけるウェブサービスの提供。
『学生が本当に行ってよかったINTERNSHIP AWARD 2018』にて、自己成長、内定直結度の2部門にて1位に選出。
また、総合評価では2位に選出される等就活生からの評価も高い企業です。
J-Startupプログラムの特待生に選出されています。
4-6. BASE株式会社
「ネットショップを開店したい」というお母さんのセリフをきっかけにEコマースプラットフォーム「BASE」を企画、開発、運営。
ショップ編集から決済、アクセス解析、受注・在庫管理まで全ての機能を無料で提供しています。
オンライン決済サービス「PAY.JP」やID型決済サービス「PAY ID」企画、開発、運営。今後の、ユーザー目線の新しいサービスの展開が気になります。
4-7. Freee株式会社
100万以上の事業所が利用するクラウド会計ソフトNo,1のfreee。2018年には65億円以上の資金調達を達成しました。現在も積極的に採用活動を行っています。
LINEやソフトバンクとも連携して開発や事業を行っており、今後も大注目です。
4-8. FiNK株式会社
ダイエットアプリ「FiNC」は、1年3ヶ月で200万ダウンロードを突破。
2018年9月には55憶円の資金調達を達成し、アプリを使った健康管理の為のAI開発やデバイスの開発に期待がかかっています。
J-Startup企業に選出されています。
4-9. 株式会社メルカリ
日本最大のフリマアプリ「メルカリ」を運営する企業。ベンチャーランキングなどにも度々登場し、20代から30代の女性を中心に月間利用者は1300万人を超えており、まさにメガベンチャー企業といえるでしょう。
バーコード出品やAIによる画像検索などの機能改善によるメルカリ事業の強化だけでなく、キャッシュレス市場の拡大に向けてメルペイ事業の強化にも力をいれているようです。
4-10. 株式会社DeNA
モバゲーを中心に、AI事業やヘルスケア事業、スポーツ事業といった幅広い事業展開を行っています。
AIを活用したヘルスケア事業の技術開発のように、各分野のシナジー効果にも注目です。
5. ITベンチャー企業のユニークな福利厚生
福利厚生で企業を選ぶことは難しいですが、大事なモチベーションアップの一つになることも。そこで、自由度の高いITベンチャー企業ならではのユニークな福利厚生を3つご紹介します。
5-1. 女性活躍促進制度 macalon
働く女性を応援する制度は増えていますが、株式会社サイバーエージェントでは、8つの制度がパッケージになっているのが特徴です。妊活から出産後の子育てに関する制度まで充実しているので、女性が安心してしっかり働ける環境が整っています。
5-2. 11ヶ月働いて1ヶ月休む会社
ワヴデザイン株式会社では、「良質なデザイン(アウトプット)とは、充実した経験(インプット)があってこそ生まれるもの。」という考えから、1ヶ月なんでも好きなことができる休暇を設けています。働き方にこだわる人が多いベンチャー企業には、特に魅力的な制度かもしれません。
5-3. ぜんいん人事部化計画
面白法人カヤックでは、「”何をするか”より”誰とするか”」を合言葉に一緒に働きたい人が最終面接から受けることができる「ラストパス」などを配布されています。毎日一日の大半を一緒に過ごす仲間はとても大切ですよね。社員の気持ちに寄り添った社員にとっても会社にとってもプラスになる制度だと思います。
6. まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回ご紹介したITベンチャー企業はごく一部ですが、あなたのキャリアプランを実現する為のヒントは見つかりましたか?
今この瞬間にも、日本のどこかで新しいITベンチャー企業が立ち上がり、新しい技術や事業が生まれ、刻一刻と成長し変化し続けています。
挑戦したい事業や仕事内容だけでなく、経営理念や社風など、自分の理想とする働き方と照らし合わせ、あなたのキャリアプランを実現できる企業を見つけてください。