「にじさんじ」という言葉をご存じだろうか。
にじさんじとは今、右肩上がりでチャンネル登録者数を増やしているYouTubeチャンネルのことだ。
「月ノ美兎(つきのみと)」をはじめ70名以上のバーチャルYouTuberがにじさんじに所属している。
このにじさんじを手掛けているのが「いちから株式会社」だ。今回は、いちから株式会社のCEOであり、若干23歳で一躍時代の寵児となった「田角陸」氏の素顔について迫っていく。
目次
1. 「田角陸」氏とはどんな人物なのか
若干、23歳にして社員20名、所属ライバー70名以上、資本金1億5000万円の会社を経営している田角陸という人物はどんな人なのか。
今でこそ、華々しい成功を掴んでいる田角氏であるが、過去には手痛い経験もしている。
YouTube事業を始める前に、大学時代の友人と4つの事業を立ち上げるも、出資のメドが立たず撤退。事業を一緒に進めていた友人は田角氏の元を去っていった。
大学時代は株式会社ガイアックスで長期のマーケティングインターンに従事していた田角氏。
「人生はミュージカルだ」という信念のもと、「失敗をネガティブに考えたことはない」と大学時代の事業について語っている。
性格は前向きでポジティブ、「ダメなところが100個あれば、実行しながらダメなところを1つずつ潰していく」言うは易しだが、実際にどれだけの人がこの言葉の通りに実行できているだろうか。
リスクを恐れない大胆さの中に、日々やることをやるだけという地に足がついた考え方が見え隠れする。
1-1 重要なのは「とにかく行動すること」
さらに、田角氏は「やったか、やらなかったかでしか人の差はない」とも語っている。
情報感度の高い人であればキズナアイを始めとしたVtuber界隈が盛り上がってきているのは分かっていただろう。
ニコニコ動画から人が離れ、YouTubeのバーチャルライバーに人気が集まった。
この時代の流れを感じた人は多いだろうが、その潮目を感じて実際に行動した人がどれだけいるのだろうか。
田角氏は2017年6月にAppleのWWDCで発表された表情認識技術(Face Tracking)を見たとき、新しいトレンドが来ると予感したそう。
そして、表情認識技術を利用したiPhoneアプリ「animoji」とYouTubeのライブ配信を掛け合わせ、そこに独自IPを活用したキャラ設定をつける。
キズナアイが盛り上がっていたことから、マーケットはあると判断し、にじさんじのプロジェクトを立ち上げた。
その結果、にじさんじのYouTubeチャンネルは公開からたった4カ月でチャンネル登録者数が総計100万人以上を突破、今もなお伸び続けている。
もし、大学時代の事業撤退で気持ちが萎えてしまっていたら、この結果は生まれなかっただろう。
「1人でもやる」失敗さえもバネに変えて、次のチャンレンジをする。根っからの起業家精神を持っているのが田角陸という人物なのかもしれない。
2. 「田角陸」氏のモットーは「短期決戦」
そんな田角氏のモットーは「短期決戦」だ。もともと、集中力が長く続かない性格。
これと決めたものは短期集中で結果を出す。田角氏は早稲田大学の出身だが、高校2年生まではダラダラと過ごし、1年間しっかりと集中して大学に合格している。
Vtuber業界に関しても「いつまで続くかは分からない」としながらも、短期集中型の自分の性格を理解し「次に来る」と思ったところにはリスクを恐れずチャレンジしていく。
もしかしたら、次はYouTube事業と全く別の事業を起こすかもしれない。
そんな期待をせずにはいられない力強さを感じるのが田角陸という人物だ。
3. にじさんじとは?
にじさんじとは、YouTube上でバーチャルキャラクターを使って活動する「Vtuber」が所属しているライバープロジェクトだ。
ライバーとは、主にYouTubeやSHOWROOMなどのネット配信サービスを利用して動画のライブ配信を行う人を指す。
通常のYouTubeでは事前に撮影した動画を編集し投稿するが、ライブ配信ではリアルタイムで視聴者とやり取りをしながら動画配信を行う。
通常の動画投稿よりも視聴者との距離が近く、相互にコミュニケーションが取りやすいことがライブ配信の特徴だ。
3-1 にじさんじの看板Vtuber「月ノ美兎(つきのみと)」
にじさんじは70名以上のVtuberが所属する人気のライバープロジェクト。
その牽引役ともいえるのが「月ノ美兎(つきのみと)」である。
月ノ美兎は2018年4月に活動を開始したVtuberで、チャンネル登録者数は37万以上を誇る。キャラ設定は高校2年生、ツンデレだが根は真面目な学級委員という清楚系委員長キャラだ。
しかし、実際の配信はキャラ設定を度外視した自由奔放そのもので、逆にそれがファンを作る要因となっている。
にじさんじは月ノ美兎のようなVtuberが数多く所属しており、それぞれが独自のキャラ設定で配信を行っている。
ときにはにじさんじ所属のライバー同士でライブ配信を行うこともあり、相乗効果でファンを増やし続けている。
3-2 にじさんじは70名以上のVtuberが活動中
にじさんじに所属しているライバーは多種多様だ。
月ノ美兎のような真面目キャラもいれば、数千年を生きる鬼の女王、人語を話せる柴犬までいる。
それぞれが自分のキャラ設定の中で日常の出来事や自分の好きなことをライブ配信しているのだ。
女子高校生というジャンルでも、真面目なキャラ、元気なキャラ、クールなキャラなど設定がかなり細かく分けられている。
ライバーは70名以上もいるため、自分の好みにあったライバーが1人は見つかるだろう。
3-3 にじさんじの魅力は「自由さと責任」
にじさんじと同じようなライバープロジェクトは他にもいくつか存在するが、にじさんじほどライバーが自由に活動しているプロジェクトはないだろう。
各ライバーはキャラ設定が予め決められているが、厳密に守られているわけではない。
ときには自分のキャラ設定では言わないような言葉やセリフを言うこともある。
それは一重に仕掛け人である「田角陸」氏のマネジメント方針の現れだ。
「絶対的に、自主自律」にじさんじを運営している「いちから株式会社」が掲げるモットーである。
いちから株式会社はVtuberが無限の裁量権と自主性を発揮できる環境を提供する。
その環境の中でクリエイター自らが仕事を生み出し、自己責任でやり抜く。だからこそ、キャラ設定を守るも守らないもクリエイターに委ねられているのだ。
エンターテイメントの新しいカタチが出来上がりつつある今、いちから株式会社は新時代のエンタメを日々、創造し続けている。
4. いちから株式会社について
いちから株式会社はVtuberを始めとしたクリエイターサポート事業、豊富なIPを活用したライセンス事業を主軸にしているスタートアップ企業だ。
設立は2017年5月2日、代表取締役CEOは田角陸氏である。
「魔法のような、新体験を。」いちから株式会社のミッションだ。
アニメや漫画に出てくるようなキャラクターがネット上で人間のように動き、リアルタイムで視聴者とコミュニケーションをとる。
YouTubeを中心としたバーチャルライバーの存在は普段、YouTubeを見ない人からすれば、すでに魔法に近いかもしれない。
いちから株式会社はそんなVtuberのライブ配信をサポート、マネジメントしている。
もっとも、いちから株式会社は自主自律がモットーの会社だ。
所属ライバーの配信内容に関してフィードバックすることはほとんどなく、配信内容はライバーが自分自身で考えている。
同時接続人数を運営上のKPIに設定し、「生で配信を見てくれる視聴者」を重要なポイントとしている。
いちから株式会社の看板ライバーである「月ノ美兎」の瞬間同時接続人数はなんと約1万5000人以上。
その他にも、5000人以上の視聴者がライブ配信で見にくるライバーが何十人もいる。
ときには、人気ライバー同士がコラボし、ライバーのファン同士が交流する場面もある。
数多くのライバーを擁するにじさんじだからこそ、作り出せるコンテンツだ。
ライバー同士のシナジー効果を生み出す、これも田角陸氏の戦略の1つである。
5. にじさんじの活動から目が離せない
にじさんじはチャンネル公開から瞬く間に国内でもトップクラスのバーチャルライバープロジェクトとなった。
今後もファンを増やしながら魅力的なコンテンツを発信し続けてくれるだろう。
「魔法のような、新体験を。」その理念はもうすでに現実のものとなっているのかもしれない。