オフィスという観点が少しずつ変わり始めている。
リモートワークと呼ばれ、特定のオフィスを持たず、社員も出勤しない。Wi-fiとパソコンがあれば、日本だけでなく海外でも仕事ができる。
こうした働き方を可能にしている一つに、ビデオ会議サービス「Zoom」がある。リモートワークでなくとも一度は利用したことがあるだろう。
今回、このZoomが米ナスダック市場に上場した。このニュースにより、ビジネスマンにも大きな期待が生まれた。
ここでは、2つの期待についてご紹介したい。
「Zoom」米ナスダック市場に上場
出典:Zoom
2019年4月18日、米ナスダック市場にビデオ会議サービス「Zoom」が上場した。
前日には、公開価格を36ドルにすると伝えられた。
しかし、当日の市場ではそれを大幅に上回り、初値65ドル、終値は62ドルとなった。現在のZoomの時価総額は159億ドルに達しているという。
IPO(新規上場)において、この結果がどれだけすごいことか、理解できるだろうか?
日本の株式で例にすると、ソフトバンクだ。2018年12月19日に東京証券取引所第1部に上場した。公開価格は1550円とされたが、実際には15%も下回る終値1282円という結果になった。
日本の携帯電話の大手キャリアであるソフトバンクでも上場では苦戦を強いられているのだ。
創業者のEric Yuanは、5300万株を保有、同社株の22%を占める。推定資産額は33億ドル(約3700億円)というビリオネアとなった。
さらに、これまでに出資した、ベンチャーキャピタルのEmergenceは、Zoomの株式の12.5%を保有し、セコイア・キャピタル(資金調達を主導)は、11.4%を保有している。大きなリターンを得ているのだ。
今後は、大規模な企業の顧客開拓を行い、自社が掲げる「偉大な企業」を目指す。
さらなるサービス向上と投資する期待
このニュース、一般的なユーザーには関係ないようにも思えるが、2つのことが期待できる。
まずは、大規模な企業の顧客開拓だ。
企業が大きくなるほど、仕事先への信頼や評価を重んじる。今回、Zoomは上場することで「信頼できる企業」であるという地位を得た。そして、現状のサービスを軸に、さらに求められるものは高くなるだろう。そうなれば、ユーザー側もさらに快適にサービスを利用することができ、ビジネスの幅を広げてくれると期待が持てる。
もう一つは、出資元へのハイリターンだ。
日本では、まだ投資に対してどこか他人事のように取られがちだ。そして、リスクを恐る傾向にある。今回のケースは、次元が違うかもしれないが、投資への期待は持てる。将来性のある企業を見つけ、投資することは、より良い社会を作る貢献にもなる。
今後、Zoomの活躍次第では、さらに期待は膨らむだろう。