インド発の不動産会社、通称oyoが日本でも注目されつつある。従来の不動産ビジネスを変える可能性も大きいといえるだろう。
この記事では、oyoのビジネスモデルの詳細や成功の秘訣、使ったお客の感想などを解説していく。
目次
1. oyoのビジネスモデルを解説!大きな魅力は何か?
1-1 YAHOO!と合同ブランドを設立
2019年に入り、oyoは日本でもホテル事業に乗り出すことを発表した。
oyoはYAHOO!とパートナーシップを結び、「oyo life」というブランド名を設立、本格的なビジネスを展開する。oyoのビジネスモデルが画期的だったのは、不動産取引におけるわずらわしい手続きをスマホひとつで行える仕組みを確立させたからだ。
貸し主と借り主はoyoのシステム上で交渉を行う。
契約期間は1カ月~1年の間で選べる。
敷金も礼金も仲介手数料も発生しない。
そのうえ、光熱費は賃料に含まれているうえ、物件には家具や家電まであらかじめそなわっている。ユーザーにとっては得な条件ばかりそろっているのがoyoの驚愕するべき特徴である。
1-2 oyoの進出で不動産ビジネスが変わる?
oyoの日本進出は、多くの国内企業に脅威を与えているといえるだろう。
なぜなら、賃貸契約のスムーズさにおいて、oyoに勝る国内の不動産会社はほとんどないからだ。
敷金・礼金など従来のしきたりが、ユーザーの負担になってきた背景ももちろんある。
だが、それ以上に「賃貸借契約」がなくなることが、借り主にとって大きな魅力なのだ。
通常、日本の賃貸物件ではトラブルを防ぐために賃貸借契約を貸し主と借り主の間で締結させる。ただ、契約書が作成されるまでに時間のかかることも多いうえ、内容は素人に理解しやすいものではない。
契約書を省略したことで、oyoでは物件探しから入居までの期間が大幅に短縮されたのだ。
2. oyoの仕組みとは?どうして儲けが出るのか
2-1 サブリース方式で儲けを出す
敷金・礼金が無料で仲介手数料もかからないとなれば、「何で利益を得ているのか」と疑問に思う人もいるだろう。
oyoが基本的に採用しているのは「サブリース」である。
いわゆる「又貸し、転貸」とも呼ばれる方法で、つまりはoyoがすでに契約している物件を借り主へと紹介しているのだ。
そのため、oyoは物件の内装を整えた状態で借り主へと提供できる。
敷金や礼金がなくても、継続的な賃料で十分に利益は回収できる。
そのうえ、oyoは「スマホひとつで契約」という手軽さを打ち出した。
そこに、日本の賃貸契約の手間に辟易していたユーザーたちは飛びついたというわけだ。
2-2 oyoはホテルビジネスにも進出
賃貸だけでなくホテルビジネスにも進出している。「oyo hotels」はすでにホテル予約やフランチャイズを中心に日本で活動している。
「ホテル業界のAmazon」と評する声まで出てきたほどだ。oyoのホテルビジネスにおける特徴は、人工知能(AI)の大胆な導入だろう。宿泊需給データは常にAIが解析を行い、マーケティングの問題点をあぶりだしてくれる。
そして、需要をAIが予測し、ホテルの効率的なマーケティング戦略へと生かしているのだ。
oyo hotelsは小規模の宿泊施設から歓迎されている。知名度、発信力で大型ホテルグループに太刀打ちできない以上、限られた費用と人材をフル活用するための戦略が必須だ。
oyo hotelsはそれを提供している。
3. oyoに対する評価は?不動産業界にもたらすもの
3-1 サブリース自体は新しいビジネススタイルではないものの
日本におけるoyoへの評価はおおむね好意的だ。
大前提として、oyoのビジネスの根幹をなすサブリースそのものは目新しいスタイルではない。
日本でも多くの不動産部件でサブリース取引が行われてきた。
ただ、oyoの革新性はサブリースに徹底的なこだわりを見せ、ほとんどすべての取り扱い物件について同等のスムーズな取引を実現させている点にある。
また、oyoの注目度、知名度そのものが物件の宣伝になっているとの見方もできる。
これまで日本の不動産ビジネスでは、長年にわたって一部の大手仲介業者が中心にあった。
その牙城が外資系企業によって崩される可能性が生まれているのは特筆するべき状況だ。
3-2 伝統的な賃貸契約を見直すきっかけに
oyoが日本進出を果たす前から、敷金・礼金といったしきたりの必然性は疑問視されていた。
また、仲介手数料にまつわるトラブルも絶えなかった。
それなのに、どうしてこれらの伝統がなくならなかったのかというと、日本社会全体が慣れきってしまったからだといえるだろう。
そのため、日本の伝統を無視したoyoのビジネスモデルに共感を寄せているユーザーは多い。
ただし、契約書が結ばれないことで不安を感じるとの意見もネット上では散見する。
oyoがスタイルを貫くのか、それとも日本の顧客相手に微調整を加えるのかは注目のテーマだろう。
4. oyoを利用したユーザーの感想は?
4-1 すでにoyoはサービスを開始している
2019年の春からoyoのサービスは利用が可能となっている。
実際にサービスを利用した人の声から、oyoのメリット・デメリットを見ていこう。
・設備が豪華で驚く
好意的な意見としては、やはり「設備の豪華さ」を評価するものが目立った。
引っ越しにおいて、借り主の悩みとなっていたのは家具や家電にかかる費用である。
oyoを利用すればその分のコストを削減できる。
そして、より条件のいい部屋と契約する余裕も生まれるのだ。
・コンビニで鍵を受け取れる便利さ
契約内容にもよるものの、oyoでは提携しているコンビニエンスストアで鍵を受け取れる。
つまり、物件を決めてから入居するまで、担当者と顔を合わせることすらない場合も出てくるのだ。
下見などの風習が億劫に感じていた借り主からは「楽」との声が寄せられていた。
・初月分の支払いを済ませたら即契約完結
oyoの契約は初月分の家賃を支払うことで完結する。
入居までに時間がかからず、すぐにでも引っ越したい人にはぴったりのサービスである。
・安さ重視のサービスではない
注意したいのは、oyoはあくまでも「便利さ」と「生活の満足度」を目指しているサービスだという点だ。
oyoの物件は管理費なども含まれているので、通常の物件よりも賃料はやや高い。
「安ければどこでもいい」と考えている借り主にはマッチしにくいだろう。
5. oyoのCEOが語る理念は?アジア企業の可能性
5-1 敏腕CEOの若さが不動産業界に嵐を呼び込んだ
2019年7月時点でoyoは110万室もの客室を展開している。
1位のマリオットホテルが131万室なので、ハイペースでの成長を続けていけば近い将来に1位奪取も現実的だ。
oyo創業者でグループCEOのリテシュ・アガルワル氏はAIなどの最新テクノロジーを利用することの重要性を何度も語ってきた。
不動産ビジネスやホテルビジネスは歴史が長いだけに、古い価値観があちらこちらに残されている。
2013年、10代でoyoを創設したアガルワル氏は、若さゆえに既存の価値観を無視して新しいビジネスモデルを確立できたのだろう。
5-2 世界1位という揺るがない目標
アガルワル氏にとって「世界1のホテルグループになる」とは最大の目標である。
しかも、「2023年までに」とまで予告している。
彼が果てしない夢物語を口にしているわけではないのは、oyoの成功を見ていると明らかだ。
アガルワル氏が世界1位にこだわるのは「アジアの会社でもトップに立てると証明したい」という野望があるからだ。
野心を口にすることで人は彼に引きつけられ、協力者は増えていく。
oyoは不動産業界、ホテル業界だけにとどまらず、世界経済の勢力図すらも塗り替える可能性を秘めている、一大プロジェクトなのである。
6. oyoが提示する大規模なビジネスモデルから刺激を受けよう
大きな目標に向かって、着実に結果を残しつつあるoyoのビジネスモデルは非常に刺激的だ。
不動産やホテルの業界人でなくても、oyoの活動から刺激を受けることは多いだろう。
そして、自分の仕事のあり方を見つめ直してみるのも大切だ。