インスタグラムで情報発信を続けるイチナナキログラムが、若年層を中心に大きなムーヴメントを巻き起こしている。
社員60名と決して大きい会社ではないが、若い社員を中心に売上げを向上させるための仕組みを作り上げてきたのだ。
この記事では、若者に人気の通販サイト「17kg/イチナナキログラム」が成功した秘訣や戦略を紹介する。
目次
1. イチナナキログラムとは?
イチナナキログラムは、10代から20代の女性をメインターゲットにしたプチプラ韓国レディスファッションの通販サイト。
売上げに直結しないと考えられていたインスタグラムを活用し、前年比売上高500%で急成長を遂げた注目のアパレルブランドだ。
これまで日本にはショップはなかったが、2019年4月にはラ・フォーレ原宿に初となる実店舗を構え、今後の更なる飛躍に期待が高まっている。
2. イチナナキログラムの戦略4選
トレンドが激しく変わる時代の中で、現代のチームの在り方を根本的に覆したイチナナキログラムは、これまでにない新たな発想で激戦区を勝ち抜いてきた。
今や公式インスタグラムのフォロワー数は40万人を超え、若者に支持されるブランドに進化を遂げたのだ。ここでは、そんなイチナナキログラムの時代を先行く戦略を解説する。
2-1 社員でエンジニアは雇わない
イチナナキログラムの社員数は全60名だが、その中にエンジニアは一人もいない。
そして今後も採用する意向はないと、2018年にイチナナキログラム取締役COOに就任した秋山洋晃さんはインタビューで答えている。
その根底にあるのは、エンジニアの開発力を武器にしないという戦略だ。
IT業界が発展する中で多くの企業は優秀なエンジニアを求めているが、人材不足の影響で人件費が急騰しているため、採用するのも困難な状況になっている。
そこで考えたのが、エンジニアがいなくても戦える商品を作り出すことだった。
また、人件費など固定費用を最低限に抑えることで企業は身軽になり、新しい挑戦もしやすくなるのだ。
2-2 在庫管理は外注に任せる
多くのファッションブランドは、自社で在庫を管理するための倉庫を所有している。
しかし、イチナナキログラムでは倉庫を持たないという戦略に出た。
その理由は、社員のすべての労力を企業の成長や新しい挑戦に費やして欲しいというCOO秋山洋晃さんの戦略にある。
毎シーズン新しい商品が生み出されて販売されている中で、在庫管理や検品は多くの時間を要する業務の一つだ。
しかし、作業ばかりに追われていては決して新しいものは生み出せない。
そしてそのことが企業を成長させるうえで、足かせになると秋山氏は考えたのだ。
新しいアイデアやPR戦略など、仕事においてコアとなる部分に集中することで、成長のスピードを加速させられるに違いないと。
また、ファッションブランドで働く楽しさは、ものを生み出すことではないだろうか。
そのため、在庫管理や検品など「作業」にあたる業務は、能動的に取り組みたい仕事であるとはいえない。
しかし、この作業を外注することで社員はものを生み出すクリエイティブな仕事に時間を費やせるため、社員の働くモチベーションにもつながるのだ。
自分が生み出した商品が売れれば、社員の士気も上がり、会社としても成長することができるだろう。
2-3 オフィスはコンパクトにする
急激に成長を遂げるブランドだけあってオフィスも大きいと考えられがちだが、お世辞にも大きとはいえない。
なぜなら、オフィスはマンションの一室だからだ。
室内には、会議スペースと10席ほどの業務スペースを設けている。
そして、フルリモートとフルフレックスを導入して、社員が自由に働ける環境を追求しているのだ。
これは、固定費用を抑えることに通ずるだろう。
また、フルモートとフルフレックスを導入することで社員の働き方は自由になり、アウトプットを生み出す時間を作り出すことができるのだ。
ITが進化していく中で、通話チャットアプリを使用すれば、同じ場所にいなくても会議や商談はできるようになっている。
オフィスにいる時間がどんどん少なくなる中で、賃貸の高いオフィスは必要ないと考えたのだ。
3. イチナナキログラムが成功した秘訣
成功の秘訣はすべて、若くて優秀な人材を集めることにある。
日本の人口がどんどん減少している中で、多くの企業は優秀な若手の人材を獲得することに苦労していることは間違いないだろう。
そんな時代の背景もあり、イチナナキログラムのスタッフは都内在住にこだわらず、地方在住者も積極的に採用しているのだ。
これは現段階でリモートワークを取り入れている会社の強みでもあると言えるだろう。
また、イチナナキログラムには仕事をするうえで、ある程度の権限を社員に与えるという大きな特徴がある。
多くの企業は上司の許可が下りないと業務の進行を許されないことがほとんどだが、イチナナキログラムではそのようなことは一切ない。
それは、顧客が10代から20代である以上、同世代の社員が感じる感覚が一番正しいという判断なのだ。
また、たとえ失敗したとしてもそれを改善していくことで会社が成長できるという考えなのだ。
経営陣は責任を取るだけという潔さが、ここまでブランドが人気を博した成功の秘訣といえるだろう。
4. 顧客が感じるイチナナキログラムの魅力
若い社員を中心に作り出される商品は、同世代ともいえる顧客にどのように映っているのだろうか。ここでは、顧客が感じるイチナナキログラムの魅力について紹介する。
4-1 人気モデルが数多く愛用している
自分が好きなモデルが着用しているブランドを、真似したいと考える人は多いのではないだろうか。
イチナナキログラムは、若い層に人気のあるモデルが数多く着用しているということもあり、それが購入につながっていることも多いのだ。
イチナナキログラムではインスタグラムを中心に発信しているため、購入に大きく作用しているのだろう。
4-2 商品がとにかく安い
イチナナキログラムはプチプラ商品なので、とにかく安いことが大きな魅力になっている。
たとえば、スカートやボトムス、ワンピースが約4000円以下で購入することができるのだ。
送料も一律320円となっているため、お金がなくてもおしゃれをしたい若年層にフィットしているといえるだろう。
4-3 トレンド性の高いデザイン
イチナナキログラムで取り扱っている商品は、ドレンド性のある商品を数多く展開している。
若い社員を中心に発信されているイチナナキログラムだけあって、その時代にあったトレンドを上手にデザインに落とし込んでいることが分かる。
また、デザインも可愛い系からカジュアルなものまで幅広く展開されているので、選択肢が多い点も魅力的な部分だといえるだろう。
5. イチナナキログラムの今後はどうなる?
ここまで説明してきたとおり、固定費用を最小限に抑えてどれだけ売上げを向上させるかが施策となっていたが、ある程度ブランドの認知が高まっている中で、これからは面を広げたいというのがイチナナキログラムの掲げる目標だ。
たとえば、これまでインスタグラムを中心に情報を発信してきたがユーチューブチャンネルを開設したり、ラ・フォーレ原宿以外にも実店舗を増やしたりするなど、新たな顧客獲得に力を注ぐことを考えているのだろう。
しかし、これから利益を生み続けるためにも時代の流れにうまく乗ることが大きなポイントになっていることは間違いない。
そのため、好奇心の強い若年層のアイデアを中心に、挑戦できる機会を増やしていくことがイチナナキログラムの大切な課題になるだろう。
6. イチナナキログラムをビジネスモデルに人気ブランドに成長させよう!
これまでの考え方を一新して挑んだイチナナキログラムの戦略は、人材不足が問題視される日本で最適なやり方だといえる。
楽しく働ける環境を企業が整えることで、社員の仕事へのモチベーションも高まり、より良いパフォーマンスが発揮できるのだ。
これからの時代は、社員を中心にした組織づくりが重要だといえるだろう。