マネタイズを成功させるには「市場を生み出すセンス」と「根気強さ」が大切である。
九州に、「どうしても地元を活性化したい!」という男がいた。
その男とは、どこまでも“九州産”にこだわった商品「九州パンケーキ」をヒットさせた、松岡浩司氏(48)。
この「九州パンケーキ」にはさまざまなストーリーがある。
空前のパンケーキブームを経た後の急激な下落。
しかし松岡氏は、「地元愛」を貫き通した結果、あらたな商品を開発し、地方創生事業を成功へと導くこととなった。
今回は、その経緯を追うとともに、地方創生事業を成功させる秘訣について検証していこう。
1. 九州産をこだわりぬいた「九州パンケーキ」
九州パンケーキ
九州7県の雑穀や小麦を使った「九州パンケーキ」は、九州の世界観を一つの食品で表現するために開発された商品である。
「県境を超えた地域の名前がついた商品を作りたい」
松岡浩司氏は「地元愛」が市場につながるか、常に模索していた。
そして九州パンケーキのコンセプトが固まったのは2011年。
ハワイの人気パンケーキ店の上陸を機に、日本中で空前のパンケーキブームが起きたのがきっかけに、「九州」×「パンケーキ」の組み合わせを思いついた。
同時にSNSの普及期とも重なり、さらに2016年に放送された起業家ドキュメンタリー番組「カンブリア宮殿」にて取り上げられ、知名度が急上昇したのである。
地元創生を目指す新たな課題は「九州ブランド」の設立
しかし、宣伝効果でビジネスが軌道に乗り始めた「九州パンケーキ」にとって、2018年は苦渋の一年だった。
日本中で巻き起こったパンケーキブームが下火になったからである。
そこで2019年2月、新たな地方創生事業を目指し、九州ブランドの設立「九州アイランド」の商標を取得申請した。
【(九州アイランド)ブランドの基本コンセプト】
・地元に根差した九州企業である
・九州の豊かさを表現している
・九州を代表する製品、もしくはそれを目指すものである
・地域循環型の生産理念を持っている
・独自の生産技術、もしくはユニークな開発アイデアである
・安心して食べられる
・安心できる製造方法である
「地元愛」を根底に、7つの基本コンセプトを掲げ、2019年3月に第一弾となる商品、「7グレインパスタ」が発表された。
「市場のニーズを見つけ、根気強くマネタイズ戦略をすること」
これこそが、マネタイズを成功へと導いた企業の共通点であると言えるだろう。
「九州アイランド」が、九州ブランドとして今後どのような展開を見せるのか、非常に興味深い。
九州パンケーキ:https://www.kyushu-pancake.jp/