マッチングアプリと聞けば男女が出会うためのビジネスモデルだと捉えられがちだが、売り手と買い手を結びつけた時に得られる仲介料で、収益を図るマッチングモデルは、今インターネット上で普及しているビジネスモデルの一つである。
そんな人気のあるマッチングモデルについて今回は焦点をあてた。
・マッチングモデルとは(特徴、注意点)
・マッチングモデルの事例
・マッチングモデルの成功術
マッチングモデルを熟知するために必要な3つの知識を紹介する。
目次
1. マッチングモデルとは
売り手と買い手となる顧客同士を紹介(マッチング)し、仲介手数料を得て収益を上げるビジネスモデルである。
つまり、売り手と買い手がマッチングしなければ収益は発生しない。
収益化に効率よく結びつけるためには、買い手にとっても、売り手にとっても、魅力に感じる情報を多くそろえる必要がある。
魅力に感じる質の良い情報を多くそろえることが、マッチングモデルビジネスを成功へと導く鍵となるわけだが、これが一番大変な作業になる。
不動産を例に説明すると…
物件情報を豊富に取り揃え、買い手と売り手に認知してもらうために、
・営業担当の外回り営業
・大量に広告を打ち出す
・イベント開催
etc…
いろんな手法を凝らして、コストをかけてでも情報を集めなければ、売り手と買い手をマッチングさせることができない。
また、売り手だけに魅力のある情報では買い手は離れていき、逆もまた然り。情報のバランスも大切なのである。
しかし近年、インターネットの普及によって、買い手と売り手、双方が魅力に思う情報収集が容易になったことから、マッチングモデルを使ったビジネスモデルも広がりつつある。
何故なら、本来なら個人同士では出会うことが困難な状況でも、インターネット上で買い手と売り手のお互いの情報を閲覧しやすくなったからである。
1-1. 特徴
インターネットの普及によって、マッチングモデルのマイナスポイントである情報収集が容易になったと上記しましたが、今後のビジネスモデルとして採用を検討しているのであれば、特徴も抑えておく必要がある。
・自社のサービスや商品を持っていなくてもOK
・3方(買い手、売り手、仲介業者)の利益が一致する
・収益化するまでに時間がかかる
・収益が安定しにくい
・自社のサービスや商品持っていなくてもOK
集客さえできれば、固定費用(自社のサービスや商品)をかけなくても、すぐに始められることができる。
また、ブログ等ネット上で集客が実現できれば、広告費をかける必要もない。売り上げがほとんど収益になることは、とても大きなメリットである。
インターネット上で集客ができるのであれば、実店舗も持つ必要もないため、PCと電話があれば、自宅でもマッチングビジネスを始められる。
つまり、固定費がかからない分、損失を最小限におさえることができるビジネスモデルなのである。
・3方(買い手、売り手、仲介業者)の利益が一致する
世の中に広がるビジネスには、誰かが損をして成り立つものも数多く存在する。
それに反して、マッチングモデルの場合、
・業者を知れて喜ぶ顧客
・見込客を紹介してもらって喜ぶ業者
・仲介料を得られて喜ぶマッチングサイト
誰も損をしない仕組みが確立されているのがマッチングモデルの特徴の一つでもある。
・収益化するまでに時間がかかる
買い手にとっても売り手にとっても魅力に感じる情報を大量に確保するためには、時間がかかる。
そしてマッチングモデルの収益化は、売り手と買い手をマッチングさせなければいけない。
情報収集後→マッチング成功→報酬が発生する
このステップを踏んで初めて収益化となるため、初月から報酬を発生させることは難しいと考えた方が賢明である。
・収益が安定しにくい
マッチングモデルはフリーミアムのように、契約成立後、毎月安定して収益が得られるビジネスモデルではない。
つまり、契約成立時に発生した報酬額のみが収益となる。
契約数を増やさなければ、今後のビジネスとして成り立たなくなってしまうのだ。
マッチングモデル運用のスタート時には、収益が無い月もあれば、契約を結べる月も出てくる。
収益が安定するまでは、気を抜かずにどんなやり方で結果を出せるかPDCAサイクル(plan計画・Do実行・Check評価・Action改善)を意識する必要がある。
1-2. 注意点
インターネットを活用したマッチングモデルでは特に起こりうる問題がある。
・サイト経由せずに売り手と買い手が取引をする
・税込か税抜きか記載せずに表記すると、誤解が生じやすい
・商品発送のトラブル
【サイト経由せずに売り手と買い手が取引をする】
アウトソーシングを目的としたマッチングモデルによく見られる問題です。
サイト経由せずに、直接売り手と買い手同士直接契約をされると、マッチングサービス提供元には1円も収益が発生しない。
さらにこの不正契約のもとで問題が発生した場合、利用ユーザーはサポートを受けられず泣き寝入りせざるをえない状況になる。
このリスクを防ぐためにも、利用規約にあたって「直接取引禁止」事項をしっかりと設けることがポイントだ。
【税込か税抜きか記載せずに表記すると、誤解が生じやすい】
税抜きか税込かの記載が無い場合、売り手と買い手の間に誤解が生じやすくなる。トラブルの元になりかねないので、しっかりと記載しておく必要がある。
【商品発送のトラブル】
ECサイトやフリマサイトによく見られる問題である。
【商品が届かない、届いた商品が壊れている、サイズを間違えたから変えて欲しい】
インターネット上の買い物は、実店舗のように実際に目にしてすぐに購入するわけではないので、サイズが合わなかったり、配送途中で商品が壊れてしまったりなどトラブルが起きやすくなる。
トラブル対応の仕方によって、今後の利用客をファンにできるかどうかが決まる。
1「当事者間で起きた問題につきましては、当事者間で解決してください」
2「当事者間で起きた問題は本来、当事者間での解決をお願いしておりますが、
特例として本事務局から販売元の業者様に現状確認のご連絡を致しました。
以下が回答になります。ご確認下さいませ。」
おそらくほとんどの方が2番の対応例に好印象を持ったのではないか。トラブル対応によって、クレームからファンになるケースもある。
そのチャンスを逃さないように、しっかりとトラブル対応マニュアルを作っておくことが大切である。
1-3. アフィリエイトとの違い
アフィリエイトとマッチングモデルの大きな違いは、企業と直接取引するかどうかである。
ASP(アフィリエイト広告を所持する企業)が保有している広告を、HPやブログに貼り付け、広告を経由して商品やサービスが売れたりすると、収入を得られるのがアフィリエイトである。
マッチングモデルの場合、ASPを介せず、直接企業と取引になる。
アフィリエイトもマッチングモデルも企業と組むという点においては、非常に似ているが、仲介業者を挟むかどうかが違う点になる。
2. マッチングモデルの事例
マッチングモデルの「紹介」によって成り立つ形態には、大きく4つに分類される。
1.仲介料で利益を上げる
【例】
・家を買いたい人=家を売りたい業者
・家を借りたい人=貸したい人
2.掲載料で利益を上げる
【例】
・掲載料による課金
3.基盤となるビジネスモデルにオプションを付けて収入を得る
【例】
・条件のいい会社を紹介してほしい人=優良な人材を紹介してほしい業者
例えば時期によって、大量に有能な人材を必要とする企業がいるとする。
有料オプションをつけると、より質の良い企業の募集要項を作るサービスを提供することで、条件のいい会社を探している人の目に留まりやすくする有料サービスだ。
時期によって、オプションの付け足しが選択可能なことで、マッチングサービスの魅力が上がる。
4.広告収入
【例】
・ECサイトで広告バナーと貼り付け、副収入を図る
マッチングサービスは運営初期では、安定したアクセス数を増やすことが難しい。その際に、副収入として広告バナーを用いる方法もある。
人と人を紹介するマッチングモデルもあれば、業者を紹介するマッチングモデルもあり、マッチングサービスは何かと何かを引き合わせるサービスなのである。
その「紹介」によって成り立つ形態は、実に多様化しており、おもしろいマッチングモデルサービスが生まれてきている。
2-1. SUUMO
スーモは、住宅・不動産売買や賃貸物件サポートする情報サイトである。
ここでは不動産会社から掲載料を徴収するというビジネスモデルを利用し、売り物件をサイトに載せ、サイトを訪れた顧客から申し出が出ると、マッチングに繋がるという仕組みだ。
・家を買いたい人=家を売りたい業者
・家を借りたい人=家を貸したい人
etc…
これらの当事者間のニーズをマッチングさせて収益化を実現している。
2-2. indeed
インディードは、条件の良い仕事先を紹介してほしい人と、優良な人材を確保したい企業を結びつけるマッチングモデルサイトである。
掲載料は無料だが、クリック課金制度の紹介型のマッチングモデルになり、広告収入を得ている。
2-3. ゼクシィ縁結び
ゼクシィ縁結びは、以下の当事者間のニーズに応えた婚活支援のマッチングサービスだ。
・彼氏が欲しい人=彼女が欲しい人
・結婚するために相手を見つけたいけど、出会いがない
2-4. mercari
メルカリは、以下の当事者間のニーズに応えるインターネット上のフリマサービスを提供しているマッチングサイトである。
商品が売れた時に、手数料として10%引かれた額が売り手の報酬となり、手数料と10%分がメルカリの収益になり、紹介型のマッチングモデルとなる。
・安くて質の良いものが買いたい=不用品を売りたい
2-5. リクナビNEXT
リクナビNEXTは転職を希望する人と人材が欲しい企業とのマッチングサービスとなる。マッチングが成立した時に収益があるものではなく、サイトに掲載する際の掲載料が収益となるビジネスモデルである。
掲載料の設定にも工夫があり、原稿の長さや掲載する期間によって料金が変わる。
マッチングの有無にかかわらず収益があるため安定しているとも言えるが、掲載料金の価格によってはサービスを始めて間もない場合はなかなか集客できない恐れがある。お試し期間を設定するなど、掲載しやすい入り口を作っておくこともポイントの一つである。
2-6. Wantedly
Wantedlyは人材が欲しい企業と働きたい人をマッチングさせるサービス。企業側の求める人材採用をサポートするためのオプションが豊富である。トライアルプランで無料から始め、その後は安いプランで運用しながら、状況に応じてオプション追加をしたりして変化を付けながら人材集めができる。
また、サイト内に広告を出すこともでき、1回表示される度に何円、という広告収入も得られるようになっている。広告収入の導入は簡単だが、検索サイトとは違い表示回数も少ないため、今回の場合は広告収入をメインに収益化させることは難しいと考えるだろう。
マッチングサービスで掲載料ももらい、マッチングが成立しなくてもオプション料金の発生で収益を上げることも可能なのである。
2-7. ユニークなマッチングモデルの事例
1.akippa
akippaは、当事者間の以下のニーズに応えた駐車場シェアリングサービスを提供するマッチングサイトである。
akippaの掲載料は無料となっており、利用者が駐車場を使用した際に支払う額から40%と消費税を引いた額がオーナーの取り分となっており、この40%と消費税が利益となっている。
・目的地周辺の駐車場の利便性が悪い=空いた土地を有効活用したい
2.Airbnb
エアビーとは、民泊仲介サイトとして、宿泊施設として部屋を貸したいor借りたい人をマッチングさせるサービスを展開しているアメリカの企業だ。
・安くて質の良い民宿に泊まりたい=空いた部屋を有効活用したい
日本でも住宅宿泊事業法が2018年6月15日に施行され、民泊に注目が集まっている。
旅行者と部屋を貸す側の双方からの手数料が収益となる。今後マッチングが増加する可能性があるサービスと言える。
3. マッチングモデルの成功術
ここではマッチングアプリによるビジネスモデルを成功させるための、5つの手順をご紹介する。
マッチングモデルを採用したなら、成功させる術も身につけておこう。
1.マッチングサイトをOPENする
2.業者に営業をかける
3.不正利用されない仕組み作りを作る
4.成約率UPのためにはテストを繰り返す
5.集客の仕組みを作る
3-1. マッチングサイトをOPENする
マッチングモデルを成功させる鍵は「集客」ができるかどうかである。それにはインターネット上で誰でも閲覧できるマッチングサイトをOPENすることで周知しやすくなる。
見込客を確保するためには、有益な情報を頻繁にUPすることが大事である。
ランニングコストをかけないためにおすすめなのが、顧客がまだ知らないような有益な情報をブログ記事として載せ、顧客が時間と労力を掛けずにまとまった情報を手に入れられるようにすることだ。
顧客にとって有益な情報であればあるほど、サイトの信頼度がUPし、直接問い合わせへとつながるようになります。
問い合わせをした顧客に、後は業者を紹介することでマッチング(契約成立)へと繋げることができるだろう。
3-2. 業者に営業をかける
業者を獲得するために有効な方法は、顧客を確保した後に、目星をつけた業者に営業をかけることである。
例え飛び込みで営業をかけたとしても、業者にとっては
・すぐに見込客を確保できる
・受注を受けなくてもペナルティがない
リスクが無く、集客をしなくても受注さえすれば収益化図れるといったメリットしかない。
だから、集客さえできれば、業者を獲得していなくてもすぐに獲得しやすい。
とはいえ、業者からの信頼を獲得するためには、業者からオファーされる仕組みを作る必要がある。需要があり、顧客、業者の信頼関係があってこそ、マッチングモデルは成功する。
マッチングサイトからも業者が参入しやすいように、業者向けの募集ページも合わせて作成することをおすすめする。
3-3. 不正利用されない仕組み作りを作る
業者からの申告で嘘をつかれてしまうと、売り上げの一部をマッチングサイトの報酬として得る時に改ざんされたり、契約成立未申告の事案が発生したりなど、さまざまな不正利用による問題が起こる。
不正利用の対策としては、
・契約成立後の近況調査
・顧客のフォロー
・アンケート調査
etc…
契約成立したら終わりではなく、その後の対応によって不正利用を未然に防ぐ仕組みを作ることができる。
3-4. 成約率UPのためにはテストを繰り返す
成約率UPのためには、顧客&業者対応マニュアルを作り、ひたすらPDCAを繰り返すことが大切である。
反応が大きかった事例や、トラブル事例などをマニュアルに反映させることで今後の信頼度を高めたり、結果的には成約率UPに繋がることになる。
「契約が成立したから終わり」で満足しないで、今後の成約率UPのための資料として活用し、顧客&業者対応マニュアルを作成すれば、アルバイトを採用して完全自動で収益化させる仕組みを作ることもできる。
3-5. 集客の仕組みを作る
顧客と業者を結びつける「集客」の仕組みを作ることで、業者からは「集客のプロ」として一目を置かれ信頼されるようになる。
これをさらなる収益化のために「集客方法の伝授」として企業コンサルティングをはじめてみることもおすすめだ。
何人もの顧客を紹介して、企業がその恩恵で設けているのであれば、「集客のプロ」として結果を出している以上、企業は認めざるを得ないだろう。
逆に企業から「集客方法」についてアプローチをかけられることがあるかもしれない。
この時、月額課金にして集客コンサルティングをすれば、安定した収益が見込めるようになる。
4. マッチングモデルでビジネスチャンスをつかむために
マッチングモデルでビジネスチャンスをつかむために大切なことは、顧客が知らない有益な情報を提供し、顧客が目的達成のために有する時間や手間をいかに省くことができるかである。
また、マッチングモデルを採用する分野選びも大切で、集客ができなければ、そもそもマッチングモデルは成り立たない。
ある程度ニーズのある分野に参入し集客を図ることが大切で、専門知識を取り入れたり、見た目が綺麗なサイトを作成したりといったことよりも、より強い集客力を付けることがポイントである。
また、高額でも需要のあるものであればマッチングサービスも成功する、ということも頭に入れておきたい。高額でも売れる商品があるのは、それだけ魅力があるということであり、業者、顧客への伝え方が大切である。
・マッチングモデルとは(特徴、注意点)
・マッチングモデルの事例
・マッチングモデルの成功術
マッチングモデルをはじめるにあたって、まずは今回紹介した3つの知識を参考にどう運用していくか考えてみる必要があるだろう。