最近、ネットニュースなどで「マネタイズ」と言う言葉を目にすることが増えてきている。それくらい関心度が増してきているキーワードであるにも関わらず、本当の意味を知っている人はまだ少数だろう。
ではマネタイズとはどのような意味なのだろうか?
この記事では、マネタイズの意味から、実例を交えた代表的なモデル、それから実際に自社サービスをマネタイズ化するためのポイントについて説明したい。
目次
1. マネタイズとは
マネタイズとは一般的に、無料のサービスを収益化するという意味である。元々は英語の「monetize(収益化)」からきており、ビジネス用語として無料のサービスを収益化するという意味へと広がったものといえる。
そのため「この新しい無料コンテンツをゆくゆくはマネタイズ化したい」といった使い方だけでなく、「このサービスのマネタイズ方法は2つだ」と収益化を意味する形でも使われることがある。
具体的には様々な手法を組み合わせて効率の良い収益化を行う事で実現する。まずはマネタイズにおける収益化の仕組みを理解していく。
このページでは、それぞれの手法を紹介し、さらに効率の良いマネタイズの実現のヒントを探っていくことにしよう。
2. マネタイズの使い方例
マネタイズの成功例として分かりやすく有名なものは、TwitterやFacebookといったSNSの中の広告である。詳しくみていくと、
1.マーケティングを実行した中で、効果的に広告が打てると言う広告主側のメリット
2.そして広告が表示される事で、有益な情報を得られると言う顧客満足に繋がるサービス
3.それらを仲介するのがSNS提供会社
このように3つの視点とそれぞれのメリットがある事が分かる。
マネタイズの成功例の特徴としてあるべき姿は、この様にすべての登場人物にメリットがあるという点である。どちらかだけが利益を得て、もう片方は損益を出すと言う事ではなく、相互利益を得られるという点が、マネタイズの一番の魅力だと言える。
3. 4つのマネタイズモデル
マネタイズには以下の4つの代表的な手法がある。
・広告モデル
・課金モデル
・仲介モデル
・ECモデル
それぞれについて代表的な例を挙げて説明していく。
3-1. 広告モデル
大手のブログサービス提供会社は広告収入で利益を得ているといっても過言ではない。
様々なページに張り巡らされた広告バナーをクリックまたはプレビューする事で広告収入に繋がるというわけだ。
個人メディアでも、GoogleAdSenseに代表されるアフェリエイトバナーを実装すると収入を得る事ができるのである。そうする事で、情報提供者が無料で行なっているサービスに広告を利用し、収益化出来るのだ。
3-2. 課金モデル
こちらの課金モデルは、アプリ内の課金を思い浮かべると分かりやすいのではないだろうか。
その他には課金した人だけが閲覧できるニュースサイトの運用や、会費制の自由に発言やディスカッションができるオンラインサイトの運用なども、課金モデルと言えるだろう。
通常は無料で提供されているアプリに、便利な機能をつける事で課金を促し、収益化をはかる。
3-3. 仲介モデル
売り手と買い手をマッチングさせて、仲介手数料という形で収益化するのが、仲介モデルである。
例えば、メルカリなどのフリマアプリや、クラウドワークスなどの仕事斡旋サイトなどがこちらのタイプになる。こちらも需要と供給、双方の利益が得られ、マッチングを行う事業主も利益を得る事が出来るという点で、大変有益なマネタイズの手法となっているのだ。
3-4. ECモデル
インターネット上で商品を販売する手法である。大手のECサイトと呼ばれるものには楽天やAmazonなどがある。
個人でネットショップの運営ができるBASEやカラーミーショップなども、利用者である販売側からするとインターネット上で物販を行うECモデルであるが、運営会社からすると販売者と購入者を繋ぐ仲介モデルでもある。
4. サービスをマネタイズ化する4つのポイント
これまで、4つのマネタイズモデルについて説明してきた。ここではAmazonを例にとり、サービスをマネタイズ化するポイントについて紹介していく。
4-1. 市場を見極める
現在、EC業界は、スマートフォンの普及と比例し、拡大傾向の強い市場となっている。
固定費が必要な新しい店舗を増やすよりも、より便利に買い物ができる通販サイトであるAmazonの利用者は年々増加しているといっても過言ではないだろう。
買い物する時間を費やす事が難しい人達にとっては、スマホで買えるAmazonの様なサイトは、非常に便利である。通常の店舗では見つからない様な商品も検索で探せるというメリットもあるのだ。今後ますます、Amazonの様なマーケットは拡大傾向にあるだろう。
このようにマーケットの拡大に合わせ、新規サービスの展開や、サイトのリニューアルなどを実施し、魅力あるコンテンツを提供し続けている。
4-2. ターゲットを理解する
Amazonの利用者の中には忙しく働くビジネスマンが多く存在し、そんな方々に便利なのが「バーチャルダッシュボタン」だ。
何度もリピート購入するものを、ワンクリックにて購入できるサービスで、購入者の発注の手間を大きく省く事で、実店舗での購入よりも簡単で便利に欲しいものが手に入るサービスとなっている。購入機会を増やし、逃さないという戦略と言えるだろう。
この様に、ターゲットの欲求を満たす事が、顧客の利益となり、リピーターを生む原動力となるのである。
4-3. コンテンツの質を重視する
Amazonが提供するサービスは、単なるECサイトとしてではなく、3つのマネタイズがされている。
1.Amazonプライム
送料無料サービスや、有料ビデオコンテンツの視聴などの特典があり、Amazonの利用者に人気の高いサービスで顧客満足度の充実に貢献している課金モデルである。
2.Amazon セラーセントラル
Amazonを利用して商品を販売することも出来るサービス。Amazonからみると仲介モデルとなる。
3.Amazon アソシエイト
広告モデルを提供するアフェリエイトセンターとしての仲介モデルという側面と、広告を出してもらい母体のECサイトの売り上げ向上にも寄与するという広告モデルとしての側面も持ち合わせている。
4-4. 相互利益を目指す
マネタイズの最大の魅力である、「相互利益」の実現は、様々なタイプのマネタイズの手法を用いる事で、同時に複数の利益を得られ、また複数の顧客へ利益をもたらす事が可能である。
その事で、より強いビジネスを展開する事が可能になり、拡大を加速することや、新しいビジネスを展開する場を得る事が出来るだろう。
この様に、「相互利益」が存在する事で、非常にメリットの高いビジネスと評価されやすくなる為、マネタイズをマネタイズしていく場合には、是非とも取り組むべき案件だと言えるだろう。
5. マネタイズ化する場合の注意点とは
5-1. マネタイズ化するタイミング
提供するコンテンツにもよりますが、特に課金モデルの場合には、マネタイズ化するタイミングには注意が必要である。マネタイズ化をイメージするあまり、急いで収益化するサービスをリリースしてしまっては、無料のサービス時に集客出来たユーザを取り込めなくなってしまう。
どのタイミングでマネタイズ化するのか、どの部分を追加・変更するのか、しっかりと見極めることがとても大切なことなのである。
5-2. コンテンツの分析と改善
利用するユーザがいつも同じだとは限らない。時間の経過と共に、ユーザの思考や流行も変化する可能性は十分にあるのだ。そうした情報にいち早く気づき、対応することがとても重要になる。
そのためには、利用ユーザの利用時間やコンテンツへの流入元など、データを使ってコンテンツの分析を常に続ける必要があるだろう。
6. 効率の良い収益化とは
収益を得るためには、初期投資に加え運転資金が必要になり、実際に事業を黒字化するためにはそれ相応の時間が必要になる場合が多い。というのが今までの業務運営であった。
しかし、マネタイズという視点を取り入れるだけで、必要経費の回収も夢ではないのである。
例えばコーポレートサイトや個人メディアのブログ運営を行う上で、今までは完全に無料での情報提供に過ぎなかった所にマネタイズを取り入れるとする。
・アフェリエイトバナーを貼り広告収入を得る
・より有益な情報を提供するために会費を納めた会員のみに閲覧可能な記事を作成する事で課金収入を得る。
・関連商品(サービス)の販売を行う。
これらのマネタイズを実行する事で、有益な情報提供の場であるブログにも、収益化を実現する事が出来るのである。
7. マネタイズの実例
本章では、実際にマネタイズして収益化に成功した企業の紹介をしていこう。
7-1. LINEマンガ
読み放題のマンガアプリの中で高いシェアを誇る「LINEマンガ」は、他の漫画アプリでも採用されている、F2P(Free to Play、基本無料で課金要素有り)方式を採用している。
新刊の閲覧などには課金が必要となるが、連載マンガの初めの数刊が無料購読出来る為、無料利用者を非常に多く獲得している。
また、リアルとの連携も積極的に行っており、書店業界を盛り上げるきっかけにもなっている。
7-2. インテリア写真SNSの「RoomClip」
インテリアや雑貨の写真を投稿できるアプリで、投稿者が写真に写っている家具にタグ付する事ができる。それぞれの商品ページに設置されたリンクを通して購入するとアフェリエイト収入が入る仕組みになっており、投稿写真をECサイトに販売している。
ECサイトでは、おしゃれにコーディネートされた商品写真を販売ページに使用する事で商品の魅力をアピールしている。このようにして、無料のSNSをマネタイズして収益化した例として、参考にしてほしい。
7-3. Dropbox
オンラインストレージサービスであるDropboxは、フリーミアム(基本無料)でのサービス提供を行っている。フリーミアムのサービスは、会員数を増やしやすいという利点があり、Dropboxも非常に多くの利用者を獲得している。
しかし、ストレージ容量の増加には課金が必要になっているが、無料利用分でもかなり利用価値が高いため、なかなか課金に繋がらない事が懸念点だ。
8. コンテンツとの親和性と、複数手法の同時利用が鍵
マネタイズとは、無料サービスの収益化で、その手法は多岐に渡る。
まず、マネタイズの代表例としては、4つの手法があった。
・広告モデル
・課金モデル
・仲介モデル
・ECモデル
さらに、サービスをマネタイズする方法には4つのポイントがあった。
・市場を見極める
・ターゲットを理解する
・コンテンツの質を重視する
・相互利益を目指す
今回、LINEマンガやRoomClip、Dropboxなど、実際に成功している実例を3つ紹介したが、提供しているコンテンツと親和性の高いものを選び、複数の手法を同時に利用する事で、より効率的なマネタイズの実現が可能になることがわかった。
既に提供しているサービスをマネタイズする事で相互利益が生まれ、よりビジネスチャンスを広げるきっかけにもなるだろう。