「紙媒体からデジタル化に情報発信方法を変える」ここに大きなビジネスチャンスが潜む。
なぜなら2007年に発売されたiPhoneの登場により、スマホが爆発的に普及している背景から、人々がインターネットに費やす時間が増えているからだ。
インターネットは家事の合間や通勤時間などのわずかな時間で、あらゆる情報を得ることができるため、人を「何気なく見たくなる」気持ちにさせる。
利用ユーザーが拡大していることで、企業が情報を届けやすい基盤が出来上がっていると言えるだろう。
これまで人々が情報収集するツールは、テレビや新聞、雑誌などの紙媒体も多く占めていた。
紙媒体の場合、発刊するための型(刷版)が必要となる。
刷版は発刊部数に関わらず作らなければならず、発刊部数を少なくしても一枚当たりの刷版の単価が高くなるため、多額のコストがかかっていた。
「情報発信を紙媒体からデジタル化にする」
一見ただ情報発信方法を変えただけに見えるかもしれないが、紙媒体では得られないデジタル化ならではの効果が生まれる。
1. 情報がシェアされる
「似顔絵って難しいよね 似せるための観察方法と考え方」(著者:マジェリン&かっと)
情報のデジタル化ならではの大きな効果は情報がシェアされ拡散されることである。
電子出版事業を手掛ける株式会社インプレスR&Dが、個人が出版した優秀なPOD書籍※を決める「ネクパブPODアワード2019」を開催した。
その優秀賞に輝いたの書籍が「似顔絵って難しいよね 似せるための観察方法と考え方」(著者:マジェリン&かっと)。
似顔絵師の夫婦2人で制作した似顔絵の技術書である。
似顔絵サンプル150点以上を掲載し、似せるために必要な観察方法と考え方を解説しているユニークな書籍だ。
受賞の影響で700冊以上、約170万円の売上実績があったという。
同じく優秀賞を獲得した事例を2つ紹介しよう。
分子栄養学という、一般の方には難解な内容を中学生でも理解できるようにと、手技治療院を経営する著者が解説している。
難しい理論をわかりやすくするため、本文は対話形式で構成。
例えを使って、気軽に読み進められるように工夫されている。
受賞の影響で、3200冊以上、約390万円もの売上実績を得られたそうだ。
「ビリー・ザ・キッド、真実の生涯」 飜訳:西川秀和 著者: パット・ギャレット
最後の事例は、POD出版をSNSで購入者を募り、紙媒体からデジタル化へ遂げた書籍だ。
SNSとPOD出版という、新しい時代の宣伝方式と出版方式の組み合わせで効果を出した点が高評価を得られた。
あるゲームに登場するキャラクター「ビリー・ザ・キッド」から、史実にも興味を持つファンに、この本を読んでもらいたい著者の想いから翻訳されている。
SNSの宣伝告知により、24時間で100冊以上が売れるという快挙を達成した。
デジタル記事にすると、他の人の意見や評価を読むことが可能になる。
それは自分の考えに近いのか逆なのか、思いもしなかった意見なのか、さまざまな意見をシェアできる事に繋がる。
話題性があればあるほど、シェアされた情報の拡散力は強いのだ。
情報がシェアされる強みを持つweb媒体には、たとえ個人でも高い費用対効果を出せる可能性を秘めている。
「紙媒体からデジタル化に情報発信方法を変えること」を単なる情報発信方法を変えただけであると捉えないで欲しい。
これからさらなるインターネット利用者が増えて、デジタル媒体を購読するユーザーが増えるということに、大きなビジネスチャンスが潜んでいることに着目すると、新しいビジネスの糸口が見えてくるだろう。
※PODとは、必要な時に必要な分だけ印刷するオンデマンド印刷のことである。