これまで、「動画を見るなら?」と聞かれた時には、「YouTube」と答える人が圧倒的に多かったはずだろう。
しかし、そんなYouTubeに追いつく勢いで、人気を集めているSNS動画があるのをご存じだろうか?
それが、「TikTok」というアプリだ。動画の編集や投稿が簡単にできることから、ユーザー数を順調に伸ばしている。
こうした人気アプリが世に出ると気になるのが、「どんなビジネスモデルなの?」、「収益はあるの?」という、マネタイズのポイントだ。
今回は、人気のTikTokのビジネスモデルについて追求していく。
出展:TikTok
目次
1.TikTokとは
まずは、TikTokがどんなサービスを行なっているのかを確認しておこう。
TikTokとは、短い動画を投稿して共有するアプリだ。
作成できる動画は、15秒から1分と本当に短いものだが、加工や編集機能が豊富に用意されているのが、魅力の一つである。
1-1.音楽の流れる動画
TikTokの動画投稿では、アプリ内で用意されている音楽を利用することができる。
例えば、音楽に合わせて踊る動画がある。
流行りの曲に合わせて踊ることは、よく見られる投稿スタイルだ。
芸能人やアーティストをマネして踊ったり、アレンジを加えて見せ方を変えるなど、同じ曲でも個性を出せることから、注目を集めている。
さらには、旅行やイベントのまとめてた画像を、音楽に乗せて投稿をする。
音楽による効果で、思い出に共感することができるのも特徴である。
1-2.動画編集が面白い
通常、動画を編集するには専用のソフトやアプリが必要となるが、TikTokでは、誰でも簡単に動画編集をすることができ、編集してさらに面白く投稿することができる。
- 倍速で撮影する
- 逆再生ができる
- 顔や肌に変化を加える
動画を多くの人に見てもらうためには、やはり面白さは欠かせない。
クオリティの高さというよりは、目を引くことがポイントとなる。
SNSやアプリでもあるように、「流行に乗る」というユーザーは多く存在する。
こうしたユーザーを、いかに取り込むかも戦略として考えておきたい。
2.TikTokのメインユーザー
動画の投稿や視聴ができるTikTokを利用しているのは、主に10代・20代の若年層だ。
若年層に人気な理由は、「いま、楽しいことを伝えたい」を可能にしてくれるところ。
実はこれ、人気のSNS「Twitter」と同じ。多くの利用者が10代・20代であり、トレンドを追いかけ、常に新しい情報を求め、発信できることに魅力を感じている。
友達と踊ったり、イベントの内容など「いまの自分を表現したい」を、短い動画を簡単に撮影して、すぐに投稿ができる手軽さが「ちょうど良い」のだ。
3.ビジネスモデルがない
多くのユーザーを獲得することに成功したTikTokの「マネタイズするポイント」は、どこにあるのだろうか?
答えから伝えると、TikTokには、収益化するビジネスモデルがない。
YouTuberが聞いたら、びっくりするような話だが、他の動画サイトで見られるマネタイズする方法は、現在のところ存在しないのだ。(2019年9月現在)
例えば、YouTubeであれば広告収入が有名だ。動画再生回数によって単価が設定されている。
だから、YouTuberは、動画のクオリティとともに、再生回数を上げる戦略を考えて投稿をしているのだ。
他の動画アプリでいえば、「17(イチナナ)」にもマネタイズするポイントがある。
こちらは、視聴者が応援したい「イチナナライバー」(動画投稿者)に、「投げ銭」できるシステムがある。これは、アプリ内で課金して購入したポイントを、直接プレゼントするというもの。
収入以外にも、アプリ内でイベントが開催され、ランキング上位になれば特典があり、誰にでも有名人になるチャンスがある。
このように、動画サイトやアプリには、「マネタイズする=収益化する」ポイントがあるが、TikTokには存在しない。
TikTokを運営する会社は、中国企業「ByteDance(バイトダンス)」という。中国国内でリリースしたアプリも人気があり、企業評価額は日本円にして約8兆円というから、その評価は非常に高い。
さらには、資金調達にも成功しているという情報があるから、どんなビジネスモデルでも成功させるだけの条件が揃っている。
今後、どんなビジネスモデルを展開していくのか気になるばかりだ。
4.TikTokでマネタイズするなら
TikTokのビジネスモデルは、現段階では手探り状態に見受けられるが、実際に考えられるマネタイズの方法はある。
4-1.広告モデル
ネットでは主流となり、ほとんどの企業が利用している。
利用するパターンを紹介しておこう。
- 自社製品・サービスの紹介
- 新商品・新サービスの紹介
- イベントの告知
- キャンペーンの告知
誰でも一度は、こうした広告を見たことがあり、webサイトやランディングページを閲覧したことがあるはず。
実は、広告モデルは全てのユーザーが同じ広告を見ているわけではない。
SNSや検索履歴のデータを元に、性別・年齢・地域・職業などを考慮して「これ、興味ありませんか?」という広告を選んで表示している。
だから、動画途中や投稿の間に表示され「邪魔だな」と思いながらも、広告が気になるのだ。
では、なぜTikTokに広告モデルが適しているのか?
大きな理由としては、2つある。
- メインユーザーが明確
- 1日の動画再生回数が多い
利用するメインユーザーは、先述の通り「10代・20代の若年層」だ。こうした若い世代をターゲットにしている商品やサービスを展開している企業には、広告を出すメリットがある。
TikTokでは、月間のアクティブユーザー(実際に利用したユーザー)が、1億人を越えるという。その中には「ティックトッカー」と呼ばれる、投稿するユーザーばかりではなく、動画の閲覧を楽しむだけのユーザーもいる。
これだけのユーザーに自社の広告が見てもらえるのだから、集客や購入のチャンスが、一段と増えることは間違いない。
4-2.インフルエンサー
多くのフォロワーがいる、インフルエンサーの影響は大きな反響がある。
例えば、Instagramでは、企業の商品を特典付きで紹介することで、収入を得ることができる。応援しているインフルエンサーの情報とあれば、興味を持つフォロワーが必ずいるからだ。
また、投げ銭システムを導入すれば直接ユーザーから収入を得ることも可能だろう。
5.新しい仕組みを作る
TikTokは、運営する企業に十分な資金があるので、ビジネスモデルがあれば、何をやっても成功するとも言われている。
仮に新しい仕組みを作るなら、どこにマネタイズするポイントがあるだろうか?
例えば、動画を投稿する「ティックトッカー」から、マネタイズすることを考えてみる。これまでのマネタイズでは、アクティブユーザーに広告・宣伝したり、視聴するユーザーが何らかの形で「お金を落とす」ことが、当たり前だった。
最近のSNSでは、素人が有名人になることを目的とするケースが多い。芸能界への狭き門を狙うより、自分だけのファンを増やして有名人になりたいという、ユーザーも少なくないからだ。そのための戦略があり、フォロワーや再生回数を増やすための行動をしている。
しかし、同じ目的でTikTokを利用するユーザーが増えれば、もちろんライバルが増える。必然的に、注目を集めてフォロワーを増やすことが難しくなる。
そこで、ファンを増やすためのシステムやイベント企画、開催をティックトッカー向けのサービスとして提供すれば、収益化することができる。
収益化するポイントがズレていたり、多くあることは、必ずしも得策とはいえないが、マネタイズするターゲットを増やしていくことは、得策だ。
企業や視聴するユーザーをターゲットとするビジネスモデルが多い中で、ティックトッカーをターゲットとして収益化するのは、運営側もユーザー側にもメリットがあるから、受け入れやすいと考える。
6.今後も注目していきたい
今後、TikTokがどのようなビジネスモデルで収益化をしていくか気になるが、逆に言えば、稼げるわけでもないのに、ユーザーが集まり、世界的な人気を維持しているというところに、魅力を感じる。
どんなことで、人気を集め、アクティブユーザー数を伸ばし続けているのか。いわゆる「無料サービス」でこれだけのユーザーを確保して、維持するのも大変なことだ。
こうした部分を分析することで、自身のビジネスや起業するヒントが隠れているかもしれない。
まだまだ、TikTokから目が離せない。