動画配信サービスのamazonプライムが成功を収めている。
レンタルビデオやテレビから、映像に関する娯楽が移行していることを示す出来事だ。
同時に、「定額サービス」の台頭も象徴している。この記事では、amazonプライム成功の秘訣を解説していく。
目次
1. 動画サービスの代表格!amazonプライムの事業内容や売上について
1-1 全世界で1億人以上が視聴しているプライムサービス
2005年、アメリカでamazon.comがプライムサービスを立ち上げた。
有料会員になることによって、配信されている動画を視聴したり、一部商品を当日配送してもらえたりするサービスである。
日本には2007年に進出し、スマートフォンの台頭にともなって会員数を増やしている。
全世界で会員数は1億人を超えており、日本でも2019年9月時点で600万人以上の会員が登録している。
2019年4月には年会費が3900円から4900円に引き上げとなったにもかかわらず、会員の増加傾向は終わっていない。
これは、amazonプライムのメリットが世間に浸透している証だろう。
2. 人気作品だけでなくオリジナル作品も見放題
amazonプライムのサービス内容は動画や音楽、書籍の配信が中心だ。
有料会員は動画が見放題であり、映画やアニメ、ドラマなどを自由に選択して視聴できる。
視聴可能な作品には制限があるものの、人気作品が数多く揃っており会員を飽きさせない工夫もなされている。
また、amazonプライムのオリジナル作品も積極的に制作されてきた。
放送コードなどの都合で内容に制限がかかりやすい地上波と違い、創作面を突き詰めた作品が多いのはプライムサービスの特徴である。
そのため、ライト層のみならずマニアックな映像ファンからもamazonプライムは支持を受けてきた。そのビジネスモデルは、起業を目指す人々にとっても大きく参考にできるだろう。
3. amazonプライムの理念を紹介!ライバルとの違いは?
3-1 本社の経営理念に基づく運営を
そもそもamazon.comの経営理念は「地球上で最もお客様を大切にする企業」である。
この考えに基づいて、amazonは配送期間を短縮したり、ラインアップを常に広げたりするなどしてサービスの充実を図ってきた。
amazonプライムもこうした本社の理念の延長線上にあるサービスである。
amazonプライムの根底にあるのは「ショッピングの楽しさ」だ。
配送や広告のことなど気にせず、商品を選ぶ純粋な喜びに会員が浸れるよう、ところどころに工夫がなされている。
当日配送サービスや、ポップアップのない動画配信などは好例だろう。
また、家族特典やクレジットカード特典など、還元の多さもamazonプライムの特徴だ。
3-2 特典でライバルを引き離す
プライムサービスは増加傾向にあり、ライバルは続々登場している。
しかし、amazonプライムの優勢を覆すほどのサービスは現れていない。
単純な動画配信数だけであれば、amazonプライムを超えるものも少なくないにもかかわらずだ。
確かに、会費の安さは大きい。
多くのプライムサービスが月額1000円前後であるのに対し、amazonプライムは年間で4900円。
月額で登録したとしても500円で済んでしまう。
ただ、もっとも大きな魅力となっているのはamazonとの連動だろう。
amazonプライム会員になることで商品の配送が無料になるなど、動画以外のサービスでも得をする仕組みだ。
そのほか、消耗品が切れるまでに注文できるサービスを受けられるなど、会員限定の特典は非常に多い。
4. amazonプライムのメリットとデメリットを理解しておこう
4-1 メリット
料金と使い勝手の両方で、amazonプライムには多くのメリットがある。
それゆえに、同サービス内でのシェア率トップを誇っているのだ。
・特別取扱商品の手数料が無料
amazonプライム会員になれば、さまざまなサービスを無料で利用できる。
中でも、特別取扱商品の手数料までも無料になるのは、会員のショッピングライフをかなり便利に変えるだろう。
・限定クーポン
会員には、amazonで使える限定クーポンが配布される。動画だけでなく、普段の買い物でもお得な商品選びができるのだ。そのほか、会員限定セールも積極的に実施されている。
・フォトストレージとファイルの容量
amazonプライム会員はフォトストレージを無制限で利用できる。
また、5GBまでのファイルなら無料で保存が可能だ。
・デメリット
amazonプライムの悪評はほとんど聞こえてこない。
強いていうなら、専門性の薄さにあるだろう。
・動画や音楽専門のサービスとの違い
amazonプライムで配信されている作品はメジャーなものが大半だ。
そのため、マニアックな作品と人気作品が混在している専門的なサービスと比べると、品ぞろえが薄く感じる人もいるだろう。
・年会費
月額で計算すると決して高くはないものの、4900円に見合うだけのサービスを受けられるのかと不安になる人もいる。
それほど映画や音楽に興味がない場合、amazonプライムに入会してもほとんど利用しないこともあるだろう。
そのかわり、amazonで日用品を購入するときなどには特典を受けられるため、決して「無駄」とまではいえない。
5. amazonプライム成功の秘訣!起業家なら学びたいポイントは?
5-1 トレンドだけでなくオリジナルを追求
配信サービスの多くは、人気作品をいかに揃えられるかという点に注力してきた。
実際、それで成功を収めたサービスもあっただろう。
しかし、トレンドの移り変わりは激しい。
特に、映像や音楽の世界は毎日のように新作がリリースされている。
トレンドだけを追い求めても、いつ人気の陰りが表れるかは分からないのだ。
その点、amazonプライムは自社のオリジナル作品も積極的に制作してきた。
自社制作ならば、動画の利益は全て入ってくる。
それに、人気作品を追っているだけの他社とは明確に差別化できる。
日本のamazonプライムのオリジナル作品はアメリカに次ぐ本数である。
オリジナルへの挑戦は、amazonプライム成功のポイントだろう。
5-2 既存客を確実に囲い込み
amazonプライムが料金の値上げに踏み切ったのは、新規開拓のフェーズが終了したと見切ったからである。
もちろん、amazonプライムが会員募集を止めたわけではない。
しかし、既存客だけでも十分利益は得られると判断したからこそ、囲い込みを開始したのだ。
amazonプライム会員でいる限り、amazonでの買い物でも特典がたくさんついてくる。
1年で1000円高くなるくらいの値上げなら、ついてくる会員が大半だろう。
ビジネスにおいては、既存客を確実に囲い込めるほど、ライバルにはない強みを示し続けることが大切なのだ。
6. amazonプライムの課題と将来的な経営ビジョンとは?
6-1 サブスクリプションサービスとの戦い
動画見放題というシステムは、ショッピングサイトよりもむしろサブスクリプションサービスに近いといえるだろう。
しかし、サブスクリプションの音楽サイトなどでは、無料会員プランでもほとんどの機能を使えるところが登場してきている。
単純な配信数でamazonプライムを上回っているサイトも多い。
純粋に映像や音楽が好きな人は、サブスクリプションサービスに魅力を感じてしまうだろう。
無料サービスに対して有料であるからこそのメリットを示し続けられるかは、amazonプライムに残された課題といえるだろう。
6-2 アメリカでは年会費1万円以上!
アメリカでは日本円にして1万円以上の年会費を徴収しているにもかかわらず、登録者が減る予兆はない。
それは、サービスを受ける側の特別感を煽る工夫がところどころになされているからだ。
会員限定のメディア発行や、セレブ向けの情報配信などによって、会員は料金に見合うだけの満足度を得ている。
日本でも今後、amazonプライムの値上げが起こる可能性はあるだろう。
そのとき、既存客にどのような特別感を提供できるのかが、収益増加の鍵を握っている。
7. ユーザー目線を意識したのがamazonプライム勝利の法則
数ある動画配信サービスの中でも、amazonプライムはユーザー目線が徹底して意識されてきた。
ショッピングサイトとの連動も強みとして働いた。
常にユーザーの利益を考え、サービスに反映するのは企業成長につながる考え方の基本だろう。