2013年から東急不動産株式会社が展開している会員制サテライトオフィス、ビジネスエアポート。
順調に店舗数を増やしている背景には、どのようなビジネスモデルがあるのだろうか。
ビジネスパーソンの需要を捉えた、ビジネスエアポートの成功の秘訣に迫る。
目次
1. ビジネスエアポートの特徴とは
ビジネスエアポートとは、コワーキングスペースとレンタルオフィスの機能をあわせたような会員制サテライトオフィスである。
ほかのコワーキングスペースやレンタルオフィスにはないビジネスエアポートの特徴とは、どのようなものだろうか。
1-1 ラグジュアリーな空間
質の高い家具を取りいれ、統一感のある色味で雰囲気を演出したラグジュアリーな共用ラウンジがある。
コワーキングスペースとして利用することもできるうえに、顧客や取引先との商談や打ち合わせに使うこともできる。
働きやすい環境を整えることで、クリエイティビティやモチベーションアップにつなげる意図があるという。
1-2 常駐のコンシェルジュ
受付には常駐のコンシェルジュがおり、サポートが受けられる。
ホスタピリティあふれるコンシェルジュが顧客や取引先を丁寧な対応で案内してくれることにより、商談や打ち合わせにもスムーズに入れるだろう。
さまざまな職種の人が利用しているため、仕事でいきづまっていることをコンシェルジュに話してみると、解決につながるような人を紹介してもらえる可能性もある。
1-3すべての店舗が利用可能
2019年7月現在でビジネスエアポートは8店舗あり、2019年9月に9店舗目がオープン予定だと発表されている。
各店舗に利用料金を支払うのではなく、月額料金を支払えばすべての店舗が利用できるのだ。
営業職であちらこちらの取引先へいくような場合、その日の取引先から一番近いビジネスエアポートの店舗を訪れてすぐに報告書を作成することが可能となる。
取材の場所が一定ではない記者などの職業でも便利だろう。
移動にかかる時間や労力を抑え、カフェにかかる費用も抑えることができる。
リフレッシュスペースもあるため、休憩して疲れをとってから仕事にとりかかるのもよいのではないだろうか。
2. ビジネスエアポートが生まれた時代背景
ビジネスエアポートの生まれた背景には、出社して働くことに限らないワークスタイルが増えたことや起業家を支援することへの需要などが考えられるだろう。
2-1 ノマドワーカーやテレワーカーの増加
ノマドワーカーやテレワーカーといった働く場所にとらわれない働きかたが増え、コワーキングスペースの需要が高まった時代背景がある。
業務の一部をテレワークにする会社も出てきている。
10時から17時以外の時間にコワーキングスペースやラウンジを利用するプライベート会員プランは、会社での勤務時間以外を有効活用したいビジネスパーソン向けのものだといえる。
2-2 起業における初期費用軽減の需要
終身雇用の時代が終わりを告げ、一生をずっと同じ会社で働く人が減ってきている。
転職だけでなく、起業を考える人も少なくないだろう。
賃貸物件を事務所として探して起業するとなると、敷金や礼金などに加え複合機やシュレッダーなど最低限の設備が必要になる。
継続的にかかる費用としては、家賃や光熱費などがあるだろう。
ビジネスエアポートには、共用スペースを利用しながら法人登記ができるアドレス会員プランがある。
レンタルオフィスのように固定の部屋を使うサービスオフィス会員プランもある。
どちらもネット回線などの仕事環境は整っているため、起業の初期にかかる費用を軽減することができるのだ。
3. 起業家にとってのメリット
起業家にとって、ビジネスエアポートを利用するメリットとはどのようなものだろうか。
3-1事業規模が拡大しても移転せずに済む
起業したての頃は職員が自分1人であり、レンタルオフィスで十分だというケースが多い。
しかし、事業規模が拡大して職員が増えてくると手狭になる場合がある。
ビジネスエアポートには、複数人用のサービスオフィス会員プランもあるため、法人登記を変更することなくプランを変更するだけで部屋を変えることが可能だ。
もちろん、部屋の空き状況にもよるが、職員の増減によって移転する必要がないのは便利だといえるだろう。
3-2 アドレス価値が高い
ビジネスエアポートの店舗は、千代田区や港区といった一等地に住所があるものが多い。
そのため、名刺に書かれている住所つまりアドレスに価値がつくのだ。
駆けだしの会社だったとしても、一等地に住所を置いていることで信用を得られる可能性がある。
4. ビジネスエアポートの成功の秘訣とは
ビジネスエアポートは、2013年に事業を展開し始めてから着実に店舗数を増やしている。
ビジネスエアポートの成功の秘訣は、いったいどこにあるのだろうか。
4-1 さまざまな需要に対応
ビジネスエアポートは、ノマドワーカーやテレワーカーといった個人事業主に働きやすい場所を提供することから、複数人の職員の抱える起業家に法人登記をさせて個別のオフィスを提供することまで、さまざまな需要に対応している。
さまざまな個性を持った人たちが、1つの共用スペースを使うことによってクリエイティビティが生まれる可能性もある。
関わりを持つ機会のないはずの人たちに交流の機会を持たせることによって、何かが生まれる可能性を持たせようとしているのではないだろうか。
すべてをコワーキングスペースにしたりレンタルオフィスにしたりすることとは違い、1つの場所でさまざまな需要に対応することによって多様性のある共用スペースが生まれるだろう。
4-2 隙間時間を活用できる立地
ビジネスエアポートの店舗は、どれも駅の近くに建てられている。
複数の路線が利用できる利便性の高い駅を厳選しているといってよいだろう。
どの店舗を利用するにしても、隙間時間を活用できる立地であるのがうれしいところだ。
会社を訪れる顧客や取引先にとっても、駅から時間がかからないに越したことはない。
ビジネスパーソンにとって、1分1秒がとても大切なものであると理解しているからこその立地であろう。
4-3 料金プランがわかりやすい
ビジネスエアポートは、ほとんどのサービスが含まれた料金プランであり、オプションで料金をとられることが少ない。
オプション料金をあれやこれやととられた結果、高くなってしまうというケースがないため、利用者の満足度が高いのだろう。
わかりやすい料金プランであることも、魅力のうちの1つだ。
5.ビジネスエアポートの評判
ビジネスエアポートを利用している会社からの評判には、どのようなものがあるだろうか。
5-1 席の種類で気分転換できる
コワーキングスペースには、隣の席との間に仕切りのある席や窓際で見晴らしのよい席、くつろげるソファ席などがある。
集中して仕事をしたいときには隣との仕切りがある席、体を休めながら資料に目を通したいときはくつろげるソファ席など、その日の気分や仕事の進み具合によって席の種類を変えることが可能だ。
締め切りが近いにも関わらず集中力が続かない場合には、いろいろな席を転々として気分を変えながら仕事を進めることもできる。
5-2 会議室でのティーサーブがうれしい
会議室を利用するときには、事前の予約が必要となる。
予約をして会議室を利用すると、ティーサーブが受けられる。大切な顧客や取引先とミーティングをする場合には、ティーサーブがあることで印象がよくなるだろう。
6. ビジネスエアポートの成功の秘訣を参考にしよう
ビジネスエアポートは、時代の変化による需要とビジネスパーソンの需要をよく捉えている。
快適なコワーキングスペースがほしい人にもレンタルオフィスがほしい起業家にも求めるものを提供し、次世代に活躍する人を応援するスタンスだ。
ビジネスエアポートの成功の秘訣を参考にしよう。